hearthのお気楽洋書ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (ツイッターは、hearth@洋書&映画)

Jurassic Park (Michael Crichton) - 「ジュラシック・パーク」- 114冊目

ジャンル: 小説(SF)
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★★☆
 
   映画でも空前のヒットとなったマイケル・クライトン著の同名の原作。 (1990年発刊)  
  最初、映画のノベライズ版かと思ってましたが違ってました。小説が先で独自のストーリー。  文章が平易で読みやすくかなり面白い。  作者はハーバード出身の医者だけに、医学や遺伝子工学の説明部分はリアルで分かりやすかったです。  


読みどころポイント

● 日本企業名がハマグリだったりデンサカだったり、ハマチだったり、ひ、ひどすぎる。 もう少しネイティヴチェック入れればいいのに… こんなに綿密な小説書く人なのにこの辺のリサーチがいい加減だなぁ。

● こまっしゃくれた妹レックスの描き方がうまい。こんなに身勝手な子供はいないだろうというくらい憎らしい。(映画では頭の良いお姉さんだったが、原作ではワガママ放題の妹だった。 ここまで腹立つ子供はそういない)

● 数学者イアン・マルコムが頭脳明晰でカッコイイ。  中盤辺りで傷ついてベッドの上に横たわりながら、現代科学の問題点と限界について持論を展開するシーンがある。 これがとても素晴らしくその主張展開には納得させられた。

● 「進化の歴史が証明しているだろう。命は自由を求めるもんだ。命は新しい世界を探すんだよ。それが厳しく危険だったとしても、命はおのずと抜け道を見つけ出すんだ」  

Because the history of evolution is that life escapes all barriers. Life breaks free. Life expands to new territories. Painfully, perhaps even dangerously. But life finds a way.”

(人工的に生み出された恐竜が自然繁殖するとは考えられないと説明されてグラント博士が言った言葉。  映画版でも使われていた。)

● (襲いかかるラプトルに対処しようとするハンターに対して) ハモンドが不満を漏らす。「ワシの恐竜たちに何をするつもりじゃ」 
「それは質問が違ってませんかね、ハモンドさん」 マルドゥーンが応える。「問題は、恐竜たちが我々に何をしようとしているかという事です」

Hammond whined, “But what are you going to do to my animals?” “That’s not really the question, Mr. Hammond,” Muldoon said. “The question is, what are they going to do to us?”

(あまりにも危機感が無さ過ぎるパークオーナーのハモンド。この事態を招いた自責の念が全く無い。   彼の信じられないぐらいの無能な能天気さと、失敗を全て他人のせいにする態度には本当に読んでいてイライラさせられた。)


     この小説は大きなシステム関連プロジェクトを立ち上げた企業が失敗していくリアルな例を表しているように感じました。  アイデアは盛り沢山だけど、プログラムはバグだらけ。 トラブルがあってもトップは危機感が全くなく必要な手を打たない。   既視感を覚えたのはトップの態度ですな。

「指示は出した。 後はよきにはからえ」

Jurassic Park: A Novel

Jurassic Park: A Novel

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The Analects (Confucius) - 「論語」- 113冊目

ジャンル: 古典
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★☆☆☆

「洋書読みの洋書知らず」が「The Analects (論語)」を読んでみました。 英語のフィルターを通しているためか、意味の理解度としては漢文で読むよりも分かりやすかったような気がします。 が、「心で読む」というレベルでいくとキチンと読むことができていなかったようです。 また日本語の読み下し文の踊るようなリズム感も英文になると消えてしまうようで…
四大哲学者の一人である孔子の教えであり、本来は座右の書となるべきグレードの本作を、こんな「えー加減」な読みのままにしておくわけにはいきません。 スマンカッタ… 何度も何度も染み込むように繰り返し読むべきなのでしょう。 のちに再読したいと思います。


メモポイント
(幼い頃からの刷り込みのためか、やはり日本語の読み下し文の方がリズミカルでしっくりくるようです)

● A man who has committed a mistake and doesn’t correct it is committing another mistake.
過ちて改めざるこれを過ちという

● If you see what is right and fail to act on it, you lack courage.
義を見てせざるは勇無きなり

● Fine words and an insinuating appearance are seldom associated with true virtue.
巧言令色鮮し仁

● Confess your ignorance, and you will escape ignorance.
知らざるを知らずとなすこれ知るなり


少しThe Analects から外れてしまいますが、明治時代に日本の資本主義の礎を築いた澁澤栄一翁が「論語と算盤」という本を書いていますが、こちらは読みやすい。 徳育を精神的支柱として商業の公共性 ・社会性を身につけて、拝金主義 ・利己主義を抑止すべきと書いています。


以下、「論語と算盤」からメモポイント。

● 冷徹なビジネスマンである澁澤翁は孔子の哲学を次のように考えていました。 不思議や奇跡を信じる人を否定はしないが、まずは事実を重んじる。

「しかして余は 、宗教として将た経文としては 、耶蘇の教えがよいのであろうが 、人間の守る道としては孔子の教えがよいと思う 。こはあるいは余が一家言たるの嫌いがあるかもしれぬが 、ことに孔子に対して信頼の程度を高めさせる所は 、奇跡が一つもないという点である 。基督にせよ 、釈迦にせよ 、奇跡がたくさんにある 。耶蘇は磔せられた後三日にして蘇生したというがごときは 、明らかに奇蹟ではないか 。もっとも優れた人のことであるから 、必ずそういうことは無いと断言もできず 、それらは凡智の測り知らざる所であるといわねばなるまいが 、しかしこれを信ずれば迷信に陥りはすまいか 。」


● これも翁の気概を見せた一文です。 生涯、プリンシプルを貫く事にこだわった白洲次郎のようです。

「苟も事の成敗以外に超然として立ち 、道理に則って一身を終始するならば 、成功失敗のごときは愚か 、それ以上に価値ある生涯を送ることができるのである 。況んや成功は人たるの務めを完うしたるより生ずる糟粕たるにおいては 、なおさら意に介するに足らぬではないか。」


あと一つ。 肝に銘じて置くべき言葉がありました。 本読みの自分への戒めとしたいと思います。

「To study and not think is a waste. To think and not study is dangerous.」
学びて思わざればすなわちくらし、思いて学ばざればすなわちあやうし

The Analects (Classics)

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The Life-Changing Magic of Tidying Up (Marie Kondo) - 「人生がときめく片づけの魔法」- 112冊目

ジャンル: その他
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★☆☆

レッツ・シンプルライフ! シリーズ。(なんだ、それ)
今までいろいろとミニマリズム系の海外の本を取り上げてきましたが、日本でもベストセラーになり、TIME誌の「最も影響力のある100人」に日本人として村上春樹氏と並んで選ばれたコンマリさんははずせません。 「人生がときめく片づけの魔法」の英訳版。(2010年発刊)
この本を読んだら確かに家を片づけようという気になります( 家族の部屋も含めて)。 目指せ、シンプルライフ!


メモポイント

● 収納は禁じ手。片付けになっていない。 著者は幼いころから「収納マニア」だったが、その限界に気づいた。

From this experience, I can honestly declare that storage methods do not solve the problem of how to get rid of clutter. In the end, they are only a superficial answer.


● 物が多すぎる。 本当に愛するものを少しだけ残すこと。 そしてそれらを大事にするには、愛を持てない物を手離さないとダメ。 感謝と共に手離そう。 「ときめき」がspark joy とは、ウマく訳したなあ。

I came to the conclusion that the best way to choose what to keep and what to throw away is to take each item in one’s hand and ask: “Does this spark joy?” If it does, keep it. If not, dispose of it.


● 片づけのかなめはたった2つ。捨てる、そして残した物の定位置を決める。

Effective tidying involves only two essential actions: discarding and deciding where to store things. Of the two, discarding must come first.


● すごくお気に入りだったモノクロ画面の携帯電話。 デザインと色合いが好きで、電話をしない時でもいつも取り出して眺めていたそうな。 しかしもう随分とくたびれてきたので、カラー画面の新しいものに買い換えることになった。 そのときの話。

When I got my new cell phone, I hit upon the idea of texting my old phone. It was my first replacement and I was probably feeling quite excited. After thinking for a moment, I typed the simple message “Thank you for everything” and added a heart symbol. Then I pressed SEND. My old phone pinged immediately and I checked my texts. Of course it was the message I had just sent. “Great. My message reached you. I really wanted to say thanks for all you have done,” I said to my old phone. Then I closed it with a click.
A few minutes later, I opened my old phone and was surprised to find that the screen was blank. No matter which button I pressed, the screen did not respond. My cell phone, which had never broken since the day I first got it, had gone dead after receiving my message. It never worked again, as if the phone, realizing that its job was done, had resigned from its post of its own accord.


家に帰ったら「今日も一日、ありがとう」と著者は自分の家や服や靴に語りかけるそうです。少しスピリチュアリズムに過ぎる感もあるけど、「片づけ」に精神性を持ちこむあたりがウケて、本作が米国でベストセラーランキングに入ったんでしょうね。

The Life-Changing Magic of Tidying Up: The Japanese Art of Decluttering and Organizing

The Life-Changing Magic of Tidying Up: The Japanese Art of Decluttering and Organizing

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iCon: Steve Jobs (Jeffrey S. Young) - 「スティーブ・ジョブズ 偶像復活」- 111冊目

ジャンル: その他
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★☆

ジョブズは激怒した」
メロスではありません。 本作の発刊に当たってジョブズはこの本の内容について認められないと激怒し、差し止めようとしたとのこと。 それほどまでに赤裸々に描かれているということでしょうか。 後に本人公認版としてウォルター・アイザックソンによる「スティーブ・ジョブズ」が発刊されましたが、そちらは未読です。
ぼくがこの本を読んだのは随分前のことで、刊行されたのはまだ彼が存命であり、iPod の発売の頃。(iPhone初号機が世に出るよりも少し前のことです) (2005年発刊)
タイトルもうまいですね。 iシリーズと「偶像」になぞらえて「iCon」だなんて。 邦題は「スティーブ・ジョブズ - 偶像復活」

今では彼がエキセントリックな人間であったことはかなり有名ですが、当時僕がこの本を読んだ頃には、こんなにも個性的、というか変人だっただなんて、それほど認知されていなかったように思います。 本を読んで感じたのは、 まあ典型的な「やなヤツ」ですね。 しかし溢れるほどの才能がある。 自分のやりたい放題で人のことはお構いなし。 自らが養父母に育てられ実の親に見放されたと傷ついた経験があるにも関わらず、当の本人が自分の娘を長い間認知しなかったとか…
矛盾を抱えつつも善悪を超えて自分の哲学に正直に人生を生きようとした人が描かれています。

彼がいかに自分の考え(というか美意識)にこだわったかについては、ケン・シーガルの「Insanely simple」(52冊目)がオススメ。 横(同僚・部下)から見た彼の人となりがわかります。 彼のプレゼンの極意を読みたい方は「Presentation Secret of Steve Jobs」(85冊目)もご参考に。

iCon Steve Jobs: The Greatest Second Act in the History of Business

iCon Steve Jobs: The Greatest Second Act in the History of Business

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Kwaidan (Lafcadio Hearn) - 「怪談」- 110冊目

ジャンル: 小説 (ホラー)
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★☆☆

  なぜかクァイダン(Kwaidan)である。Kaidanではない。  イギリス人ラフカディオ・ハーンが来日・帰化して小泉八雲と名乗り、地方の古老から集めて怪異譚を編纂したのは有名な話。学校の授業でも習い「耳なし芳一」や「ムジナ」の粗筋は知ってはいました。  が、読んでみると知らなかった話も多く、怖いというよりSFチックで結構面白いもんでした。  優れたショートショート。  (1904年発刊)


メモポイント

●「雪女」のお話の舞台になったのはどこだと思います?  Kwaidan 巻末の注記(1)によると意外にも東京の郊外だって。  東北かどこかの山奥かと思ってた。   同じくのっぺらぼうの「ムジナ」の登場したのも、東京のど真ん中の紀尾井町辺り。( ホテルニューオータニの真ん前です)  江戸の昔は都心でも夜は真っ暗で人通りも絶えてずい分寂しい雰囲気だったようですね。

  YUKI-ONNA
   (1) An ancient province whose boundaries took in most of present-day Tokyo, and parts of Saitama and Kanagawa prefectures.

 MUJINA 
   On the Akasaka Road, in Tokyo, there is a slope called Kii-no-kuni-zaka,—which means the Slope of the Province of Kii. I do not know why it is called the Slope of the Province of Kii.


● 「Diplomacy」という話。 ネタバレになるので多くは言えないが面白い。 人は強烈な恨みを持ったままで殺されてしまうと、死んだ後でもその霊魂が残り殺した相手に復讐を行う事ができるそうな。  それを聞いたある侍は…   
  スティーブン・キングの短編「The breathing Method (マンハッタンの奇譚クラブ)」を思い出した。 

   If any person be killed while feeling strong resentment, the ghost of that person will be able to take vengeance upon the killer.


● 「The Story of Aoyagi」
美しい妻女AoyagiとTomotadaの純愛話。  切なく物悲しいラスト。 印象に残ります。

どっとはらい

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A Mathematician Reads the Newspaper (John Allen Paulos) - 「数学者が新聞を読むと」 -109冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★☆☆☆

ジョン・A.パウロス著、邦題「数学者が新聞を読むと」。(1995年発刊)
新聞で取り扱われている数字について、数学者の観点ではどう見えるかということを世間一般の話題に落とし込んで説明してくれるという「般教」的読み物です。 数量的思考、統計学、確率論などの話が出てくるので、 ある程度、数学素養のある人が読んだ方が理解と記憶の定着がよいように思えました。

この手の本を読むと、ドップリ文系の私としてはキチンと基礎から数学を勉強したいという気にさせてくれます。 今、結城浩氏の「数学ガール」読んでます。 ラノベ風でわかりやすいはずの本なんでしょうが、これでも結構手こずってます。
くじけそう…

A Mathematician Reads the Newspaper

A Mathematician Reads the Newspaper

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The Joy of Less - A Minimalist Living Guide (Francene Jay) - 108冊目

ジャンル: 自己啓発
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★★☆

Francene Jayの2冊目。「Miss Minimalist 」(96冊目)に続いて紹介するシンプルライフ本。 先に書かれたのはこの「The Joy of Less 」で、ぼくとしてはこちらの方が具体的な方法論が書かれており、しっくりきました。
ところでこの文章書くために再読して気づいたこと。 驚くほどコンマリさんのシンプルライフ本「片づけの魔法」との共通点が多い。 この2つの本、出版はどちらも2010年。 どっちが先に世に出たんだろう? 影響を受けている可能性はとても高いと思います。


メモポイント
● 「 持たない暮らしの素晴らしさ」に気づけるか。 それがポイント。

In fact, finding ways to “enjoy without owning” is one of the keys to having a minimalist home.


● 美味しいパンは店で買え、美味しいジュースは店で飲め。 自分ちでも同じようにできるようにパン焼き器、ジューサーを持つ必要はない。

In pursuing a minimalist lifestyle, we need to resist the temptation to recreate the outside world within our abodes.
(中略)
In our quest to become minimalists, we want to reduce the amount of things in our homes that require our care and attention.


● 何を捨てるかを決めるより何を取っておくかを決めるのが、片づけのコツ。 つまり「ときめいた物」を取っておくってこと。

Decluttering is infinitely easier when you think of it as deciding what to keep, rather than deciding what to throw away.


● いったん自分が手にした物はただの物じゃない。 それぞれのストーリーがある。 これもコンマリ風。

Remember, the things with which we choose to surround ourselves tell our story.


● 今、捨てられないものはいつまでたっても捨てられない。 「あとで落ち着いてから」の機会は永遠に来ない。 今の勢いのあるうちに捨てるしかない。

On occasion, you’ll be so anxious to wear a new outfit that decluttering an old one is the last thing on your mind. But you know what? If you don’t do it immediately, you likely never will. Use your excitement to wear your new stuff as incentive to purge the old:

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