hearthのお気楽洋書ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (ツイッターは、hearth@洋書&映画)

Frost at Christmas (R.D. Winfield) - 「クリスマスのフロスト」 - 121冊目

ジャンル: 小説(推理)
英語難易度: ★★★
オススメ度: ★★★☆☆

本作はシリーズの第1作目。 ずいぶん前になりますが前評判が高かったので読んでみました。 シュッとした名探偵が出るわけではありません。 口とガラの悪いフロスト警部が登場、難事件を解決するというこのシリーズは、風采の上がらないコロンボ警部シリーズの系列に少し似ています。 ただコロンボの方は「能ある鷹」であり、実は類い稀ない推理力を持っているのですが、フロストは力技の人でした。(ルックスのイメージは「検屍官スカーペッタ」シリーズのマリノ警部?) 人情味はあるのですが部下の扱いがヒドく、今なら管理職失格の烙印を押されてしまいそう。

大量に盛り込まれたプロット。 下品だが愛嬌があると評判のジョーク。 この辺りが難しく分からなかったりするので、少し読むのに苦労しました。 単に自身の英語力不足が原因なんでしょうね。 翻訳が素晴らしいとの評価をよく聞くので、一度翻訳版でよんでみたいと思います。

Frost At Christmas: (DI Jack Frost Book 1)

Frost At Christmas: (DI Jack Frost Book 1)

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The Black Swan (Nassim Nicholas Taleb) - 「ブラック・スワン - 不確実性とリスクの本質」- 120冊目

ジャンル: 経済・ビジネス
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

経済学の本のタイトルが、なぜブラックスワン? もう十分有名な話でしょうが、書いときますね「黒い白鳥」のエピソード。

「むかし西洋では白鳥(Swan)と言えば白いものと決まっていた。 そのことを疑う者など一人もいなかった。 ところがオーストラリア大陸の発見によって、かの地には黒い白鳥がいることがわかった」(amazonの邦訳版の紹介文より) 2006年発刊。

つまり今まで常識と思われていたことが、たった一つの反例で覆されてしまう事象を総称して「ブラックスワン」と呼んでいます。 著者はこの「ブラックスワン現象」には三つの特徴があるとしています。 それは、1) 予測不能な事象で、2) 今まで無かった驚天動地の事象で、3) 事後で理屈をつけると前から知っていたように錯覚させる事象、だとの事。

今まで無いから今後も無いとは限らない。たった一つの例外が出てきただけで今まで積み上げた論理が崩れてしまう。 自然科学において確率を考える場合、通常の場合はベルカーブ(釣り鐘の様な形で中心点が最頻値となる)と言われる正規分布に収まることが殆どです。 しかし、実際の経済シーンではこの標準偏差に収まらない極端な出来事が起こり得ます。 例えば、典型的なブラックスワン現象と言われるサブプライムローン危機に対して、リスクコントロールはそもそも不可能でした。なぜなら発生していない事象は想像もつかないから、事前の準備のしようがありません。 経済活動の全ての事象を理論で説明しようとすることがどだい無理な話。 一見、キレイな論理で組み立てられているように見えても、それは不確実な要素をはじめから無かった事にしてつじつまの合うところだけを拾い上げているか、もしくは事象が発生した後で「後付け」で理由をひねり出しているかのどちらかです。


メモポイント
● 感謝祭に屠られる七面鳥の話はすごく納得。生まれてからずっと毎日たっぷりと餌をもらって育った七面鳥から見れば、この世はほっといてもエサにありつけるバラ色の世界。そりゃそうでしょう。七面鳥クン自身の人生経験によれば最期に首をひねられるのは未経験ですから。 そんな驚天動地な出来事(ブラックスワン現象)が起こるなんて思いもしないはず。

Consider a turkey that is fed every day. Every single feeding will firm up the bird’s belief that it is the general rule of life to be fed every day by friendly members of the human race “looking out for its best interests,” as a politician would say. On the afternoon of the Wednesday before Thanksgiving, something unexpected will happen to the turkey. It will incur a revision of belief.


● 良いニュースは小出しでもコンスタントにあった方が満足度が高いそうです。 一方、辛い事は小出しにせず一気に終えること。

Somehow, your pleasure system will be saturated rather quickly, and it will not carry forward the hedonic balance like a sum on a tax return. As a matter of fact, your happiness depends far more on the number of instances of positive feelings, what psychologists call “positive affect,” than on their intensity when they hit. In other words, good news is good news first; how good matters rather little. So to have a pleasant life you should spread these small “affects” across time as evenly as possible. Plenty of mildly good news is preferable to one single lump of great news.
(中略)
The same property in reverse applies to our unhappiness. It is better to lump all your pain into a brief period rather than have it spread out over a longer one.


● 成功者が書いた本を鵜呑みにしてはならない。なぜなら、成功した者のみが本を出して成功の法則がをアピールするから。ホントの成功の秘訣とは?? それはただの幸運、まぐれに過ぎない。(ドラッカーも同じようなこと、言ってましたね)
『Good to Great (ビジョナリーカンパニー2)』(14冊目で紹介) で賞賛されている成功企業も実は単にラッキーなだけだったのかも…

The graveyard of failed persons will be full of people who shared the following traits: courage, risk taking, optimism, et cetera. Just like the population of millionaires. There may be some differences in skills, but what truly separates the two is for the most part a single factor: luck. Plain luck.


かなりシニカルなタッチ。 幻想なんて持つべきではないと突きつけられているようです。 『言ってはいけない』の橘玲の書くものに少し似ているかな。

The Black Swan: Second Edition: The Impact of the Highly Improbable Fragility

The Black Swan: Second Edition: The Impact of the Highly Improbable Fragility" (Incerto)

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The Last Lecture (Randy Paushe) - 「最後の授業 ぼくの命があるうちに」- 119冊目

ジャンル: ノンフィクション(自伝)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

アルフォンス・ドーデの短編小説「最後の授業」のことではありません。

著者のランディ・パウシュは名門カーネギー・メロン大学のコンピュータ科学の教授でした。 すい臓癌に冒され既に末期症状の状態でありながら、「最後の授業」を学生たちに(そして最愛の妻と娘に向けて)行ったその講義の内容を一冊の本にまとめたものです。(2007年発刊)

「最後の授業」とは「もし死ぬことがわかっていたら」という仮定で特別講義を行う同大学の恒例の催しだそうですが、著者は「仮定」ではなく目前に迫る「事実」として講義を行われました。 残り少ない自らの最後の時間を使ってまでも、人に伝えたい強い思いがあったのでしょう。 そして、講義の約一年後に47歳の若さで亡くなりました。 感動の一冊です。


メモポイント
● 著者の父親(既に亡くなっている)が軍に服役していた際のエピソード。 真の男とはこのような人のことを言うんですね。 著者の人間観が分かります。
My dad had also saved a stack of papers. There were letters regarding his insurance business and documents about his charitable projects. Then, buried in the stack, we found a citation issued in 1945, when my father was in the army. The citation for "heroic achievement" came from the commanding general of the 75th Infantry Division.

On April 11, 1945, my father's infantry company was attacked by German forces, and in the early stages of battle, heavy artillery fire led to eight casualties. According to the citation: "With complete disregard for his own safety, Private Pausch leaped from a covered position and commenced treating the wounded men while shells continued to fall in the immediate vicinity. So successfully did this soldier administer medical attention that all the wounded were evacuated successfully."

In recognition of this, my dad, then 22 years old, was issued the Bronze Star for valor. In the 50 years my parents were married, in the thousands of conversations my dad had with me, it had just never come up. And so there I was, weeks after his death, getting another lesson from him about the meaning of sacrifice - and about the power of humility.



● 「最後の授業」の時にはまだ18ヶ月の幼き娘 Chole。 その娘が大きくなって恋人ができた時に届けたかった言葉。 その想いはもう叶わない。 授業にその言葉を託します。 「本当に素敵な男性を見極めるには…」

My daughter is just 18 months, so I can't tell her this now, but when she's old enough, I want Chloe to know something a female colleague once told me, which is good advice for young ladies everywhere. In fact, pound for pound, it's the best advice I've ever heard. My colleague told me: "It took a long time, but I've finally figured it out. When it comes to men who are romantically interested in you, it's really simple. Just ignore everything they say and only pay attention to what they do." That's it. So here it is, for Chloe.



● 著者は若くして教授職を得ました。 周りの多くの候補生がその秘訣を尋ねたところ、彼が答えた言葉とは… 勤勉の人でした。

  • I got tenure a year earlier than people usually do. That seemed to impress other junior faculty members.

" Wow, you got tenure early," they'd say to me. "What was your secret?" I said, "It's pretty simple. Call me any Friday night in my office at 10 o'clock and I'll tell you."

A lot of people want a shortcut. I find the best shortcut is the long way, which is basically two words: work hard. As I see it, if you work more hours than somebody else, during those hours you learn more about your craft. That can make you more efficient, more able, even happier. Hard work is like compounded interest in the bank. The rewards build faster.


モリー先生との火曜日」(66冊目)、「スティーブ・ジョブズ スタンフォード大学卒業式スピーチ」(キンドルでも出ています)もオススメの二冊。
 
ところで、この本を読んで谷川俊太郎さんの「さようなら」という詩を思い出しました。 愛する人々を残して旅立つ想いを綴ったものです。本作とは親と子の立場は逆になりますが、とても印象に残りました。 短いので全文掲載。

 
さようなら   谷川俊太郎

 
ぼくもういかなきゃなんない
すぐいかなきゃなんない
どこへいくのかわからないけど
さくらなみきのしたをとおって
おおどおりをしんごうでわたって
いつもながめてるやまをめじるしに
ひとりでいかなきゃなんない
どうしてなのかしらないけど
おかあさんごめんなさい
おとうさんにやさしくしてあげて
ぼくすききらいいわずになんでもたべる
ほんもいまよりたくさんよむとおもう
よるになったらほしをみる
ひるはいろんなひととはなしをする
そしてきっといちばんすきなものをみつける
みつけたらたいせつにしてしぬまでいきる
だからとおくにいてもさびしくないよ
ぼくもういかなきゃなんない

The Last Lecture

The Last Lecture

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The Thirteen Problems- Miss Marple (Agatha Christie) - 「火曜クラブ」- 118冊目

ジャンル: 小説(推理)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

ウチの嫁さんは勘がよく働きます。 僕が鈍感なだけかも知れませんが「よくわかったねー」っていうと、「もちろん! ミス・マープルですから!」とのたまう。( それを言うならミセス・マープルでしょと思うのですがもちろん言いません) ちょっとした人のそぶりで推理をするらしいです。 たいしたもんだ。

で、本題に。 13の過去の迷宮入り事件の真相を解明しようと好事家たちが集まった「火曜クラブ」(13冊目で紹介した「The Murder Room」のヴィドックソサエティにちょっと似ています)。 クラブのみそっかすのような扱いで、隅の方で静かに編み物をしていたダークホース的存在だったミス・ジェーン・マープルが次々と真犯人を当てていきます。 クリスティの作品ではポワロよりもこの老婦人の方が可愛げがあって僕は好きです。 (1932年発刊)


ミス・マープル初登場シーン。 そのまなざしは穏やかで優しい。

Miss Marple wore a black brocade dress, very much pinched in round the waist. Mechlin lace was arranged in a cascade down the front of the bodice. She had on black lace mittens, and a black lace cap surmounted the piled-up masses of her snowy hair. She was knitting —something white and soft and fleecy. Her faded blue eyes, benignant and kindly, surveyed her nephew and her nephew’s guests with gentle pleasure.


● 上品な老婦人。 すぐに自分の住んでいる村セント・メアリー・ミードの住人を例にして話をする。 初めは甥っ子で作家のレイモンドに世間知らずだと舐められていたが、13のナゾの全てにズバリ真犯人を当てていき、一目置かれるようになる。 その手腕はさながら水戸黄門のよう。 代表的な安楽椅子探偵

‘Well, my dear,’ said Miss Marple, ‘human nature is much the same everywhere, and, of course, one has opportunities of observing it at close quarters in a village.’


僕の脳内イメージは「Anne of the Island (アンの愛情)」に出てくるジェムシーナおばさん。 ポワロも良いんだけど、ムッシュは少し「オレオレ感」が強すぎますねー。

The Thirteen Problems (Miss Marple) (Miss Marple Series)

The Thirteen Problems (Miss Marple) (Miss Marple Series)

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Tell Me Why: The Beatles (Tim Riley) - 「ビートルズ全曲解説」-117冊目

ジャンル: その他
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★☆☆☆

最近、ビートルズのトリビュートバンドに凝っています。 "Fab Four"と"1964 the Tribute" 。 数多あるコピーバンドの域を超えています。 とてつもなく素晴らしい。 特にFab Four のジョン・レノン担当のRon McNeilの少ししゃがれた哀愁に満ちた声がそっくり。( ルックスは少し頂けませんが) 彼の歌う"That Boy", "Mr. Moonlight "は最高!! 他にも"It's only love"と"Yes, it is" が大好きでオススメなのですが、ジョン自身が語る曲の解説によると、これらの曲は「安っぽいから」とあまり気に入ってなかったそうですね。

さて本書のこと。 邦題は「ビートルズ全曲解説」と付けられています。 原題は「Tell Me Why」。(2002年発刊) 言わずと知れたビートルズ初期の名曲のタイトルです。 アーティストのことを全て知りたいと思う大ファンであれば、このような曲の解説本はとても魅力があります。
この本はトリビア満載でボリュームがあり読み応えはあるのですが、やはりご本人による曲のコメントの臨場感にはかないません。なにせ曲を書いた当の本人がそう解釈しているんですから。 というわけで、曲の解説については僕としては以前に感想を書いた「John Lennon and Yoko Ono: The Playboy Interview」 (感想は50冊目)に軍配を上げたいと思います。
(別に誰も勝負していないんでしょうけど。)

Tell Me Why: The Beatles: Album By Album, Song By Song, The Sixties And After

Tell Me Why: The Beatles: Album By Album, Song By Song, The Sixties And After

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The Spy Who Came in from the Cold (John le Carre) - 「寒い国から帰ってきたスパイ」- 116冊目

ジャンル: 小説(推理)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★☆

ル・カレの回想録(「地下道の鳩」)が近々出版されるそうですね。 それにちなんで今日はこの一冊。 随分前に一度、邦訳で読んだのですが、ほとんどストーリーを覚えていなかったので新鮮な気持ちで再読。 英文は簡潔なハードボイルド風で読みやすいと感じました。 そして、切なさが惻々と込み上げてくる。 そんな読後感でした。(1963年発刊)

中年男のリーマスは冷戦下のベルリンで東側のスパイを束ねるイギリス側諜報部の責任者。 東ドイツ防諜機関の大物であるムントに次々と配下のスパイたちを暴かれ処分されてしまった。 手詰まりとなったリーマスは本国に召還され、諜報部(Circus)内の閑職に回されてしまう。 酒浸りで金も無くなり乱れた生活を続ける彼は、ある若い女性図書館員のリズと出会う…

ベルリンの壁で分断されていた東西冷戦下の旧ドイツを舞台にした両陣営のスパイたちによる心理戦。 派手なアクションはほとんど無く、タキシードと美女の007シリーズの印象が強いスパイ小説の世界に新たな観点を持ち込みました。 ジョージ・スマイリーを中心としたル・カレの一連のスパイ小説は、悲哀と絶望をリアルに描かれていると、発刊当時も絶賛されたそうです。 一人の公務員としてのリアルな諜報員の内実が描かれており、作者が英国諜報機関(MI5とMI6)出身だという事も納得の臨場感溢れる小説です。( そう言えば、007の著者イアン・フレミングもMI5出身でしたね)


メモポイント(一部ネタバレ注意)

● 図書館でリズ・ゴールドと交わすちょっとした会話が映画のシーンのようでよい。

About three weeks after Leamas began work at the library Liz asked him to supper. She pretended it was an idea that had come to her quite suddenly, at five o’clock that evening; she seemed to realise that if she were to ask him for tomorrow or the next day he would forget or just not come, so she asked him at five o’clock. Leamas seemed reluctant to accept, but in the end he did.
(中略)
And then he smiled, a roguish smile. He hadn’t smiled like that before and Liz knew he was putting on the charm.

● 最初は読み辛かったがリズが絡みだしてからがぜん面白くなり始めた。 詳しくは書けないが、裁判のシーンで彼女が状況が分からない中で愛する人をなんとか助けようと必死で心理戦を耐える姿が健気で愛おしい。

Liz hated having her back to the court; she wished she could turn and see Leamas, see his face perhaps; read in it some guidance, some sign telling her how to answer. She was becoming frightened for herself;
(中略)
“How kind. It must have cost you a lot of money,” Karden observed sympathetically: “could you afford to keep him?”
“I didn’t keep him. I got it from Alec. He . . .”
“Oh,” said Karden sharply, “so he did have some money?”
Oh God, thought Liz, oh God, oh dear God, what have I said?

● 国家権力という体制にどうしようも抗えなく飲み込まれて行くリーマスとリズの姿が、オーウェル1984」のスミスとジュリアとに重なって見えてしまう。


これはかなりのハラハラ徹夜本。後半からの怒涛のような展開にキンドル持つ手が離せません。 そして読後感はズッシリと来ます。 少し落ち込みます。

The Spy Who Came in from the Cold: A George Smiley Novel (George Smiley Novels)

The Spy Who Came in from the Cold: A George Smiley Novel (George Smiley Novels)

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In Search of Excellence (Thomas J. Peters) - 「エクセレント・カンパニー」- 115冊目

ジャンル: 経済・ビジネス
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

かつて日本でもベストセラーになったトム・ピーターズとロバート・ウォーターマンによる経営書「エクセレント・カンパニー」の原書。 (1982年発刊) 当時の超優良企業の実例をいくつか上げて、理想的な経営の姿・企業の在り方を示しています。 難しい用語も使われておらず割とサラッと読めます。 経済書というよりも面白経営読本といった位置付けでしょうか。 日本では同じコンサル・ファーム(マッキンゼー)に在籍していた繋がりで大前研一氏が翻訳しました。

本書でうたわれている成功の要因はどれも納得のいく素晴らしいポリシーなのですが、残念ながら本書で取り上げられた当時のエクセレントな企業が、数年後には次々と淘汰されてしまったのは有名な話。 最近ではトンデモ本のような扱いを受ける事もあるようです。 ですが、ぼくが考えるにはその評価は少し酷な気がしますね。 野中郁次郎の「The Knowledge-Creating Company (知識創造企業)」(37冊目)もそうですが、それは著者の洞察力の欠如というよりも、企業は絶えず移りゆくもの、つまりナマモノであり永続性が無く仕方がないものと捉えるべきではないでしょうか。 そもそもトップが変われば企業のカルチャーか変わるのも当然ですし。 この種の批判は優良企業を事例に取り上げる経営書には常について回る傾向だと思います。 常に移り変わるのが当然だし、今日良かったからといって5年後も良いとは限らない。 いや、返ってその優良企業としての経験が足かせになるかも… その辺りはクリステンセンの「The Inovator's Dilemma (イノベーションのジレンマ)」(44冊目) を読むとフンフンなるほど、と深くうなづけます。

ちなみに、同じ系統の経営書としてはジム・コリンズの「Good to Great (ビジョナリーカンパニー2)」(14冊目) の方が好みですね。

In Search of Excellence: Lessons from America's Best-Run Companies (Collins Business Essentials)

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