hearthのお気楽洋書多読ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (Twitter: @hearth2016)

American Accent Training (Ann Cook) - 145冊目

ジャンル: その他
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★☆☆☆

今回は英語発音の参考書です。 昔、英語検定試験の二次面接対策用として買ったものです。 アマゾンのレビューポイントがとても高かったことが本書を購入する決め手になりました。 英会話の際に特にリエゾンを意識して話すようになったのもこの本を読んでからのことです。 誰にでも効果があるのかどうかは分かりませんが個人的には役に立ちました。 (2000年発刊)

改めて説明するまでもないでしょうが、リエゾンとは連続した単語を発音する時に前後の繋がりにより発音が変化することです。 後ろの単語の始まりが母音の場合、前の単語の終わりの子音の発音が変化します。 初耳の人にはナンノコッチャって感じですね。 例えば、"Can I have an orange?" であれば、「キャン、アイ、ハヴ、アン、オリンジ」とブツ切れで読むのではなく、滑らかに一つの言葉のように発音します。 「キャナイハヴァノーリンジ?」という具合に。 少し照れ臭い感じもありましたが、これぐらい大げさにナリキリでやらなきゃ面接では伝わらないと知りました。 ある程度発音ができるようになると、リスニングにも効果が出てきていたようです。

いずれにしても、面接試験は度胸と愛嬌、余裕を見せるハッタリが必要だと感じます。 これって実際のシーンでも同じですよね。 文法を考えたり単語を考えるあまりに焦りが出ると緊張感が先方にも伝わります。 言葉が出なければ別の表現を探してみるクセをつけて、プリミティブな単語でも自信たっぷりに伝える方がうまくコミュニケーションできると実感しました。

話は変わって。
このブログをご覧いただいている方の中には英語学習に興味を持たれている方も多いと思います。 僕も発展途上の英語学習者でありますが、同好の士の参考になればと思い、以前に読んだブログでとても印象に残ったコラムがありましたので少しご紹介をしたいと思います。 それは「アイデア大全」という著書で有名な読書猿の中の人、くるぶしさんの書かれたものです。(村上春樹さんが書いたものの引用のようですが) 英語に触れ合おう、関わろうと考える人には、心構えの点で参考になるのではないでしょうか。 僕は英語を読むことに疲れた時など、ことあるごとにこのコラムを思い出します。 以下、引用です。

*************************

[むかし村上春樹が書いてた、英語が読めるようになるほとんど唯一の方法、というか「生き方」]

たいていの英語学習法は、程度の差こそあれ、とりあえず効果はある。
 差があるといっても、大したものではない。あっても、せいぜい10倍くらいだ。
 大きな差が生まれるのは、つまるところ、続けるか/やめるか、やるか/やらないかの違いからである。
 英語有りの人生を選び続けるかどうかだ。
 選ばないのも、もちろん有力な選択肢だ。人生には、英語より有益で、しかも楽しいことがたくさんある(たとえば、水泳とか)。

(中略)

英語を読めるようになるには、英語を読むしかない。
どんなトリックや搦め手を用いようとも、どんなメソッドや教授法を選ぼうとも、読むことを代替する手段はない。
読むことを避けては、どうにもならない。 問題は、どうやって自分を「英語を読む」ことに追い込み陥れるかだ。

 英語以外のものは読まないことによって、と村上春樹はいう。

 本はもちろん、新聞や雑誌、電車の吊り広告すら読まない。
メールもブログもSNSもTwitterも、日本語はダメだ(みたいなことは、古い文章なので書いてないが、当然の帰結である)。

*********************


読まない理由はいろいろ思いつく。 でも結局は読むところからしか始まらない。読んだ人は伸びるし、読まない人は伸びない。 これに尽きるのでしょう。

ご興味ある方、「読書猿、英語」で、ぜひググってみて下さい。 くるぶしさんのブログには、他にも本好きを唸らせる記事がいっぱいあります。 「知の巨人」に出逢えますよ。

American Accent Training: A Guide to Speaking and Pronouncing American English for Everyone Who Speaks English As a Second Language (American Accent Traning)

American Accent Training: A Guide to Speaking and Pronouncing American English for Everyone Who Speaks English As a Second Language (American Accent Traning)

  • 作者: Ann Cook,Holly Forsyth,Nathalie Jean-Barth,Randy Gossman,Erik Scott
  • 出版社/メーカー: Barrons Educational Series Inc
  • 発売日: 2012/09
  • メディア: ペーパーバック
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Misery (Stephen King) - 「ミザリー」 - 144冊目

ジャンル: 小説(ホラー)
英語難易度: ★★★
オススメ度: ★★★☆☆

キャシー・ベイツの怪演による同名の映画も有名になりました。 彼女がハンマーを振り上げるシーンのインパクトが強いですね。 ちなみに彼女が演じた女性はアニーという名前なんですが、彼女が「ミザリー」だと思っている人いませんでした? (僕がそうでした…) ミザリーという人物が実際に登場するわけではありません。

ザックリとした粗筋を。
車の事故で両足を骨折して動けなくなった人気作家ポール・シェルダン(シドニー・シェルダンのもじり?) が、偶然にも自分の作品「ミザリーシリーズ」の熱狂的ファンであり、人里離れた田舎に一人で住んでいるアニーに助けられた。 アニーの家に連れてこられたポールは「ファンに助けられるとは不幸中の幸い。 しかも元看護婦だなんて。」とホッとしたのもつかの間。 ポールの最新作の内容(主人公ミザリーを葬る設定)を知ったアニーはそのストーリーに驚愕激怒し、身動きできないポールに罰として拷問をくわえる。 アニーは狂気に侵されていた。それだけではない。 ポールがそっと盗み見たアニーのスクラップブックから彼女が壮絶な恐ろしい過去の持ち主だった事が分かる。アニーの家で監禁され、彼女のためだけの作品を彼女の気に入るように書くように拷問を受けるポールの運命は… (1987年発刊)


メモポイント
● よくもまあ、こんなおそろしいプロットを考えつくもんですね。 ポールとアニーのほぼ二人の登場人物だけでこのストーリーを作り上げるとは、さすがスティーブン・キング
狂気に駆られた人間に生殺与奪の権利を握られた者の恐怖。

She was crazy but he needed her. Oh I am in so much trouble he thought, and stared blindly up at the ceiling as the droplets of sweat began to gather on his forehead again.


● 自らのみが「ミザリー」を正当に評価できると信じ込むアニーの狂気の描写がおどろおどろしく怖い。 時おり見せるポールへのゆがんだ優しさがまた怖い。 残酷である事はまだ理解の範疇である。 本当に怖いのは底の知れない狂気だ。

He had discovered that there was not just one God but many, and some were more than cruel - they were insane, and that changed all. Cruelty, after all, was understandable. With insanity, however, there was no arguing.


● シリーズ物に嫌気が指して主人公を葬ろうとする作者と、それを留めようとするファンの話はアルアルですね。 「赤毛のアン」や「ホームズ」でも、当時の熱狂的なファンがシリーズの終了をなかなか受け入れませんでした。 モンゴメリもドイルも書き続けるのは、もう嫌で嫌でたまらなかったそうです。

● 本作はその文字にも工夫がありました。確かアニーから与えられた中古タイプライターが壊れたとの設定で、打ち出せない文字をアニーが手書きで補っていたかと思います。 昔、ペーパーバックで読んだ時の記憶なのでキンドルではどのように表示されているのか分かりませんが。


怖いもの大好きでイタい描写に耐性のある方には、かなりオススメの一冊です。
話は飛びますが、怖い話といえば昔読んだ本に「恐怖の誕生パーティー」(ウィリアム・カッツ)というミステリーがありました。 翻訳でしたがそれはもうむちゃくちゃ怖かった。 枕元に置いておくだけで落ち着かず、表紙を見るのもダメという経験をしたのは、この「誕生パーティー」と鈴木光司「リング」ぐらいでした。 今、原書版がキンドルで出ないかなと首を長くして待っているんですが絶版になっているようです。 無理でしょうかね。 これはホントにオススメなんですが。

Misery (English Edition)

Misery (English Edition)

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A Technique for Producing Ideas (James W. Young) - 「アイデアのつくり方」- 143冊目

ジャンル: その他
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★☆☆

イデアの絞り出し方講座。 著者はアメリカの広告代理店の敏腕広告マン。 コンスタントにアイデアを出す秘訣を尋ねられた事がきっかけとなり、「技術としての」アイデアの作り方を本作にまとめました。 示唆に富んでいます。 ページ数は少ないのですが内容は凝縮されています。 英語も分かりやすいのでオススメ。(1940年発刊)


メモポイント

● 二通りのタイプ。 常に新しいアイデアを考えるタイプ(speculator)と、同じことを繰り返すことを望むタイプ(rentier)。 前者は後者を巧みに使いこなす。

The term used by Pareto to describe the other type, the rentier, is translated into English as the stockholder-though he sounds more like the bag holder to me. Such people, he says, are the routine, steady-going, unimaginative, conserving people, whom the speculator manipulates.


● どんな断片的な知識でもメモにして保管しておく。 それは完ぺきじゃなくていいし、バカげたことだっていい。 これがアイデアのタネになる。

As you go through this part of this part of the process two things will happen. First., little tentative or partial ideas will come to you. Put these down on paper. Never mind how crazy or incomplete they seem: get them down. These are foreshadowing of the real idea that is to come, and expressing these in words forwards the process. Here again the little 3 x5 cards are useful.


● この本の肝要。
1) 生のデータをできるだけたくさん集める。 仕事に関係あるものも一般的な知識も。

2) 集めたデータをよく理解・咀嚼する。

3) それらのデータをいろいろと組み合わせる。
(これが大事と著者は説く。 必竟、アイデアとはまったく新規なものではなく既存の要素の組み合わせに過ぎないとのこと。 いかに物事を関連付けるかがポイント)

4) そして熟成加工。 寝かせた材料がある時突然にアイデアに生まれ変わる。 そんな時はアルキメデスのように「エウレカ!」と叫ぼう。

5) 生まれたアイデアが実用に耐えうるまで磨きをかける。

This, then, is the whole process or method by which ideas are produced:
First, the gathering of raw materials –both the materials of your immediate problem and the materials which from a constant enrichment of your store of general knowledge.
Second, the working over of these materials in your mind.
Third, the incubating stage, where you let something beside the conscious mind do the work of synthesis.
Fourth, the actual birth of the Idea –the "Eureka! I have it'' stage.
And fifth, the final shaping and development of this idea to practical usefulness.


● 語彙の重要性。「1984」(82冊目)の感想にも書きましたが、言葉が概念を形成するとの考え。

Another point I might elaborate on a little is about words. We tend to forget that words are, themselves, ideas. They might be called ideas in a state of suspended animation. When the words are mastered the ideas tend to come alive again.
(中略)
Thus, words being symbols of ideas, we can collect ideas by collecting words.


知識の蓄積を著者は重要視されていたようですね。 水野学さんの著書に「センスは知識からはじまる」という本がありますが、こちらにも同主旨の意見が書かれています。 目を見張るほどのセンスの良いアイデアを生み出す秘訣は、天賦の才によるものではなく膨大な知識の蓄積によるものだと。 以下、抜粋です。

「センスとは知識の集積である。これが僕の考えです。 センスに自信がない人は、自分が、実はいかに情報を集めていないか、自分が持っている客観情報がいかに少ないかをまずは、意識しましょう。いくら瞬時に物事を最適化できる人がいたとしても、その人のセンスは感覚ではなく、膨大な知識の集積なのです。センスとはつまり、研鑽によって誰にでも手にできる能力と言えます。決して、生まれつきの才能ではないのです。」

「知るは楽しみなり」であると同時に「知るは力なり」ですね。

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The Tipping Point (Malcolm Gladwell) - 「ティッピング・ポイント - いかにして小さな変化が大きな変化を生み出すか」 - 142冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

マルコム・グラッドウェル 安定の面白さ。 「いかにして小さな変化が大きな変化を生み出すか」という邦題の副タイトルが付けられています。 ほんの些細なきっかけが世界的なブレイクや流行を生む。 それをTipping point と著者は称しています。 「しきい値」や「臨界点」とでも訳すのでしょうか。 ある条件が満たされると燎原の火のごとく伝搬効果に拍車がかかる。 そのきっかけの秘密に迫ります。 マーケティング授業の副読本のようです。(2000年発刊)


メモポイント
● tipping point の三つのルール。 少数の法則、粘り強さの要素、そして環境の力。 爆発的な流行の背景にはこれらのルールのどれかかが当てはまるそうな。 ブームは少人数のキーパーソンによって引き起こされる。 ブームは粘り強く記憶に残る要素を持つ。 そしてブームは環境によって導かれる。

The three rules of the Tipping Point- the Law of the Few, the Stickiness Factor, the Power of Context - offer a way of making sense of epidemics. They provide us with direction for how to go about reaching a Tipping Point.


● 少数の法則について。 流行を巻き起こすきっかけは3種類のキーパーソンによって作られる。 それはメイブン、コネクター、そしてセールスマン。 メイブンは情報を扱いやすい形に加工し、コネクターはその情報の伝達力に長け、セールスマンはその情報を広めるような説得力を持つ。

When people are overwhelmed with information and develop immunity to traditional forms of communication, they turn instead for advice and information to the people in their lives whom they respect, admire, and trust. The cure for immunity is finding Mavens, Connectors, and Salesmen.
(中略)
Mavens are data banks. They provide the message. Connectors are social glue: they spread it. But there is also a select group of people - Salesmen - with the skills to persuade us when we are unconvinced of what we are hearing, and they are as critical to the tipping of word-of-mouth epidemics as the other two groups.


● 環境の力について。 「割れ窓理論」のお話。 ニューヨーク市における割れた窓をそのまま放置する割合と、その犯罪発生率との相関関係。 ほんの些細なtipping pointがさらなる重要犯罪を誘引する。

The most intriguing candidate for that "something else" is called the Broken Windows theory. Broken Windows was the brainchild of the criminologist James Q. Wilson and George Kelling. Wilson and Kelling argued that crime is the inevitable result of disorder. If a window is broken and left unrepaired, people walking by will conclude that no one cares and no one is in charge. Soon, more windows will be broken, and the sense of anarchy will spread from the building to the street on which it faces, sending a signal that anything goes. In a city, relatively minor problems like graffiti, public disorder, and aggressive panhandling, they write, are all the equivalent of broken windows, invitations to more serious crimes.


この本で主張する三つのルールに従えば、逆にブーム・流行を巻き起こせるかと言えばそうとも言えないでしょうね。 これらは結果として相関関係として見られる現象ではあるものの因果関係とまでは言えないように思います。 若干、後付けのような感がなきにしもあらず。 大流行の背景には偶然が引き起こすSomething が必要なのではと感じました。

本作は著者のメジャーデビュー作だそうです。僕としては、構成や展開の点から見て「Blink」、「Outliers 」の方がよりオススメですね。

The Tipping Point: How Little Things Can Make a Big Difference

The Tipping Point: How Little Things Can Make a Big Difference

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Bonjour Tristesse (Francoise Sagan) - 「悲しみよ こんにちは」- 141冊目

ジャンル: 小説 (モダンクラシック)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆


松任谷由実さんの歌に「セシルの週末」というのがありました。 この本の主人公である裕福な家の奔放娘であるセシルに触発されたのでしょうか。 簡潔な歌詞ですが一つのドラマとなっています。 好きな曲です。

で、本作の話。 サガン18歳のデビュー作です。 この年齢にして大人の愛の腑分けをして見せる筆力。 発刊後またたく間に全世界でベストセラーになったというのも納得できる恐ろしいほどの実力です。 (1954年発刊)

娘セシルとまだ若くて恋多き父親レイモンとその愛人エルサと。 似た者同士の三人が享楽的に過ごす南仏海辺のバカンスに、知性と理性と上品さを兼ね備えた女性アンヌがやって来ます。 アンヌはセシルの亡き母の友人ですが、やがて父レイモンと互いに惹かれ合うようになり、ついには婚約するまでに至ります。 当初、アンヌを慕って尊敬していたセシルですが、アンヌのあまりにも理詰めで「母親然」とした態度に次第に反感を感じ始めます。 大好きな父親との気ままな関係も奪われるのではとの危機感をつのらせるセシルはついに稚拙で身勝手なある計画を思いつきます…


メモポイント (ネタバレ注意!)

● 若き青春の書。 自分でもどうしようもなく自家中毒を起こしている。
「レイモンが愛しているのはアンヌじゃなくて貴女なのよ。貴女がそれに気がついていないなんて言わせないわ。」 年上の女性エルサをすっかり手玉に取るこの感じ。セシルの狡猾さと残虐さ。

‘It just mustn’t be allowed to happen, Elsa. He is suffering already. It’s just not possible, you understand that, don’t you?’
‘Yes,’ she said.
She seemed fascinated. It made me want to laugh, and my shaking got worse.
I’ve been waiting for you to come,’ I said. ‘You’re the only one who can contend with Anne. Only you have the necessary class.
’ It was quite obvious that she wanted nothing more than to believe me.
‘But if he’s marrying her,’ she countered, ‘it’s because he loves her.’
‘Come on,’ I said softly, ‘it’s you he loves, Elsa. Don’t try to make me believe that you don’t know that.’
I saw her blink, and she turned away to hide her pleasure and the hope that I was giving out to her.


● 自分大好きのレイモン。 こういう父親、いそうですね〜。 良い人なんだろうけど、女好きで底が浅いというか…


● セシルの残酷な計画はどんどん独り歩きを始めてしまい誰も止められない。 今まで理性的で超然としていたアンヌが初めて見せる涙。 彼女もやはり生身の人間なのだ。

She was already in her car and turning the ignition. I rushed up and threw myself against the door.
‘Anne,’ I cried, ‘Anne, don’t go. It’s all a mistake, it’s my fault, I can explain …
’ She was neither listening to nor looking at me, but leaning forward to release the handbrake.
‘We need you, Anne!’
At that, she straightened up. Her composure had gone and she was crying. Then all at once I saw that I had been attacking a living creature, a creature with feelings and not an abstraction.


● あれだけアンヌを傷つけておきながら、「ごめんなさい」の手紙を書いたら許されると考えるセシルとレイモン。 この親子の何と無邪気で能天気なことよ。

By the time I had finished, I was more or less persuaded that Anne would be unable to resist them and that a reconciliation was imminent. I could already envisage the scene of forgiveness, full of delicacy and humour …


● 恋に恋する少女。 見つめていたのは彼氏ではなく彼氏を通して見ていた自分自身だったのかも。

Cyril came up to me and laid his hand on my arm. I looked at him: I had never loved him. I had found him kind and attractive; I had loved the pleasure he gave me; but I did not need him.


ラストのシーン。 全ての後ろめたさが消し去られたわけではないけれど、次第に元の暮らしに戻りつつあるセシルとレイモンに見られる人間の順応性には驚かされる。 しかしそれがあるからこそ人は生きていけるのだろう。 そして、取り返しのつかないこの喪失感を暑い夏が来るたびにヒリヒリと思い出してしまうことをセシルはわかっている。だからこその、このラストの一行。

Then something stirs within me that, with eyes closed, I greet by its name, sadness:

Bonjour tristesse.

Bonjour Tristesse and A Certain Smile (Penguin Modern Classics)

Bonjour Tristesse and A Certain Smile (Penguin Modern Classics)

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Rocket Boys (Homer Hickam Jr.) - 「ロケット・ボーイズ」 - 140冊目

ジャンル: ノンフィクション(自伝)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

「おーい磯野ー、ロケット飛ばそうぜー」 中島くんの声が聞こえてきそうです。 ガムシャラに情熱を燃やす少年たちによる青春ストーリーは感動モノです。

ソ連人工衛星スプートニクが打ち上げられ、世界中そのニュースで持ちきりだった1950年代の終わり頃のこと。 アメリカの片田舎の炭鉱町に住む平凡な高校生四人組が、そのニュースにすっかり感化されて思い立つ。「オーシ、俺たちもロケット作ってみようぜ!」 手探りで始めた彼らの手作りロケットへの挑戦は何度も失敗し町の人たちからは嘲笑される。 しかし諦めずに挑み続ける彼らは徐々にロケットを遠くに飛ばせるように。 いつしか周りからも一目置かれるまでになった彼らは、やがて町のみんなから「ロケットボーイズ」と呼ばれるようになった。 全米の高校技術コンテストに出場するまでになった彼らのロケットは果たして夢をかなえることができるのだろうか…
夢に情熱を燃やすロボットコンテスト(ロボコン)のような話。 爽やかな青春ノンフィクションです。(1998年発刊)


メモポイント
● 当初、彼らの無謀な挑戦に周りは冷やかで無理解だった。 その中でも若き女性のライリー先生はずっと彼らを理解し励まし続けた。 ロケットを飛ばすために苦手な数学や物理に取り組む彼らに本を渡す。
「私があなたたちにできるのはこの本をあげることだけ。 中に書いてあることを学ぶ勇気を持たなければならないのはあなたたちよ」

"All I've done is give you a book,"she said. "You have to have the courage to learn what's inside it."


● 僕は「学ぶべき何か」を見つけたんだ。 たとえそれがどれだけ複雑で難しかったとしても問題じゃない。 それをもっとよく知りたいと思う理由さえあればちっとも辛くないんだ。

I had discovered that learning something, no matter how complex, wasn't hard when I had a reason to want to know it.


この本は著者Homer Hickam Jr.の経験を元にした実話です。 後にNASAの技術者と成り少年時代の夢を叶えました。 科学する男のロマンを感じます。

まったくジャンルは異なりますが、この男同士のガキンチョ友情満載ストーリーを読んで思い出したオススメ本。克己荘時代の椎名誠とその仲間たちの話を描いた「哀愁の街に霧が降るのだ」。 それから、Stephen Kingの「Body ( in Different Seasons)」。どちらもホント名作です。 懐かしくもあり切なくもあり。

Rocket Boys

Rocket Boys

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Childhood's End (Arthur C. Clarke) - 「幼年期の終わり」- 139冊目

ジャンル: 小説(SF)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

いかにも神林しおり嬢の好きそうな黒っぽい表紙です。 ハードなSFではなくて思いのほか読みやすい英文。 ストーリー設定が巧みで一気に読ませる内容ですね。

簡単にあらすじを。
ある日宇宙の彼方より知的生命体が来襲して、世界の主要都市上空に円盤型宇宙船を常駐 させます。(雨雲のように重苦しくのしかかるイメージは映画インデペンデンス・デイの描写そのまま)
すわっ、征服・蹂躙されると思いきや、さにあらず。 圧倒的に進んだ科学技術を駆使して彼らは人類積年の問題であった国家間の争いや貧困を半ば強制的に次々に解決していきます。植民地総督のような位置づけの異星人カレーランが登場しますが、彼は独裁者というよりも感情が決してブレない穏やかな父親のような態度で地球人に接します。 声による指示のみで決して姿を見せようとしない保護者のような異星人たちに、人類は当初その真意を測りきれず不安を抱くものの、与えられた平和に徐々に慣れていきます。 それはまるで動物保護区にいる絶滅危惧種の動物たちと保護官のよう。 そして刺激が少なく平和だが退屈な毎日がしばらく続きますが、やがて訪れる驚愕の結末。
タイトルにあるように幼年期とは進化した異星人からみた人類はまだ幼年期であるということ。 それが「終わり」ということは、つまり…
(1953年発刊)


メモポイント(ちょとネタバレ)

● 異星人がもたらした圧倒的に進んだ科学技術は、その存在だけで既存の宗教を壊滅させてしまった。
Science can destroy religion by ignoring it as well as by disproving its tenets.


● 人類史上初めての「平和で退屈な」日々が訪れる。 しかし、争いの中に創造性がある。競争のない世界に発見はない。
The end of strife and conflict of all kinds had also meant the virtual end of creative art.


● 「コックリさん」登場。誰も知らないはずの異星人の故郷の名前が示される。
“There you are,” he said. “You put your fingers on this, and it moves around with no resistance at all.”


幼年期の終わりを迎えた地球では、その進化の過程として新たな新人類が生み出されるようになる。 新人類である子供たちは、やがて旧人類である親たちとの意思の疎通も困難になってしまう。 徐々に分かり合えなくなっていく子供たちとの別れを知った親たちの驚愕。 異星人に救いを求めるが彼の回答が切ない。 「子供たちとの今のこの時間を精一杯楽しんでください。もうまもなくあなたたちの子供たちではなくなるのですから。」
I’ve only one more question,” he said. “What shall we do about our children?” “Enjoy them while you may,” answered Rashaverak gently. “They will not be yours for long.” It was advice that might have been given to any parent in any age: but now it contained a threat and a terror it had never held before.


この新人類の設定は、いろんなSF作品に出てくるニュータイプの概念にも影響を与えたのでしょうね。
それにしても圧巻でした。 ラストの凄まじいスペクタル描写の盛り上がりはまさに天才のなせる技。 それは「 百年の孤独」にも似て。

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