hearthのお気楽洋書ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (ツイッターは、hearth@洋書&映画)

Breakfast at Tiffany's (Truman Capote) - 「ティファニーで朝食を」- 155冊目

ジャンル: 小説(モダンクラシック)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★☆

文章がとても簡潔です。 洗練された筆致は書き方教室のお手本のようです。 情景が画像のように浮かんできます。素晴らしい文体。 本作、村上春樹さんが邦訳をされているそうです。 そちらは読んでいないのですが、本当に彼の小説に出てきそうな登場人物や情景描写です。 特に「Tiffany's」の狂言回し的な主人公(作家)は、村上さんの小説の主人公のイメージに重なります。 村上さんがカポーティの影響を受けているのでしょうかね。 やれやれ。名無しの猫と彼女が重なって見えるなんて。 (1958年発刊)


メモ
「Breakfast at Tiffany's」

● 有名な一節

Printed, rather Cartier-formal, it read: Miss Holiday Golightly; and, underneath, in the corner, Traveling. It nagged me like a tune: Miss Holiday Golightly, Traveling.


● なぜ宝石店のティファニーで朝食なのか。 そこにはHollyの心を晴れやかにさせるSomething がある。

I don’t mean I’d mind being rich and famous. That’s very much on my schedule, and someday I’ll try to get around to it; but if it happens, I’d like to have my ego tagging along. I want to still be me when I wake up one fine morning and have breakfast at Tiffany’s. You need a glass,” she said, noticing my empty hands.


● ベルリッツ、こんな昔から有名だったんだ。

“If only I could get used to the idea of m-m-marrying a Brazilian. And being a B-b-brazilian myself. It’s such a canyon to cross. Six thousand miles, and not knowing the language—”
“Go to Berlitz.”
“Why on earth would they be teaching P-p-portuguese?


● ラストの「名無し猫」とHollyのイメージが重なるシーンが印象に残る。 ヘプバーンの映画は原作とはまったく雰囲気が異なると聞きました。 今度、映画も観たいと思います。


「House of Flowers」

● 娼館の話。 少しせつないが、不思議と爽やかな読後感。 そしてラストを読んで分かりました。
そうかそうか。 やっぱり彼のことが好きだったんだね。


「A Diamond Guitar 」

● 淡々とした話。 ショーシャンクを思い出す。


「A Christmas Memory 」

● 本書には「Tiffany」を含めた幾つかの短編がおさめられていますが、もうぼくは何と言ってもこの「Christmas Memory 」が一番好きですね。 おばあさんと少年(Buddy)の友情物語 (歳の離れたいとこ)。 読みやすくとても可愛らしい話です。 もうこのおばあさんの愛らしさと言ったら… 「Tiffany 」よりも印象に残っています。 この透き通った懐かしい感覚、なんども読み返すのに耐えうる名作だと思います。 カポーティがこんな話を書くなんて。


● 二人でお友達に配るクリスマス用のフルーツケーキを作ります。 映画のワンシーンのよう。

Queenie (おばあさんの飼い犬) begs to taste, and now and again my friend sneaks her a mite, though insisting we deprive ourselves. “We mustn’t, Buddy. If we start, we won’t stop. And there’s scarcely enough as there is. For thirty cakes.” The kitchen is growing dark. Dusk turns the window into a mirror: our reflections mingle with the rising moon as we work by the fireside in the firelight. At last, when the moon is quite high, we toss the final hull into the fire and, with joined sighs, watch it catch flame. The buggy is empty, the bowl is brimful.


● 「Buddy、大きくなっても友達でいてくれるかい?」
We huddle in the bed, and she squeezes my hand I-love-you. “Seems like your hand used to be so much smaller. I guess I hate to see you grow up. When you’re grown up, will we still be friends?” I say always. “But I feel so bad, Buddy. I wanted so bad to give you a bike. I tried to sell my cameo Papa gave me. Buddy—” she hesitates, as though embarrassed—“ I made you another kite.” Then I confess that I made her one, too; and we laugh.

この話を読んだあと、どういうわけか S&Gの「四月になれば彼女は」を思い出しました。

Breakfast at Tiffany's (Vintage International)

Breakfast at Tiffany's (Vintage International)

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How to Solve It (George Polya) - 「いかにして問題をとくか」- 154冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

どーも。 数学の雰囲気には憧れるが、まったくベースとなる知識のない僕です。

さて、今回は名著との誉も高いG. ポリアの「How to Solve It (いかにして問題をとくか)」です。 元々は数学の問題を解くうえでのアプローチについて説いた古典とも言える参考書です。 また、未知の分野について問題を調べて解決する際の指南書として、専門分野を飛び越えて今でも人気の一冊です。 理系人以外の人にも門戸が開かれているようでありがたい。 問題解決の手法について、こういった「気づき」を与えてくれる本は重宝しますね。 James Young の「A Technique for Producing Ideas」(143冊目に感想)とか、読書猿さんの「アイデア大全」とか。(1945年発刊)



メモポイント

● Four principles 数学の問題を解く際の四つの原則。 品質管理手法のPDCAサイクルとよく似ています。 こちらが原型か?

  • First, you have to understand the problem.
  • After understanding, then make a plan.
  • Carry out the plan.
  • Look back on your work. How could it be better?


● Heuristic 数学的発見学。 正確性を突き詰めるにはぴったりじゃないけど、おおよその結果を導き出すために使う思考の便利グッズ。 書き写すにはいささか量もあり。 Analogy (類似), Generalization (一般化), Induction (誘導) などなど。 詳しく知りたい方はググッてみて下さい。


● 最良のアイデアとは。批判的検討もせずに受け入れれば損なわれるもの。 一方、批判的に吟味を重ねることによってさらに磨かれるもの。

The best of ideas is hurt by uncritical acceptance and thrives on critical examination.



ちなみに、昭和の始めごろに丸善が出版した和訳本のカバーデザインが秀逸。レトロなタッチで現代アートっぽく、なんか柳原良平さんの描くイラストみたい。 好きなタイプの装丁です。

How to Solve It: A New Aspect of Mathematical Method (Princeton Science Library)

How to Solve It: A New Aspect of Mathematical Method (Princeton Science Library)

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Encyclopedia of Urban Legends (Jan Harold Brunvand) - 153冊目

ジャンル: その他
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

むかし読んだ「死者の奢り」という本に、大学病院の解剖用死体をアルコール水槽にひたす作業をするアルバイトの話が出てきます。
「いや、コレは結構カネにはなるだろうけど、とても自分には勤まらんな。 死体とジッと目が合ったりしたら一生忘れられないかも。 臭いも取れないだろうし…」
とアレコレ考えたのを覚えてます。 あとで知ったのですが、この設定は作者の創作だったそうですね。 あまりにもリアルな描写だったので信じてしまいました。 「ホルマリン水槽に漬けた死体が浮いてこないように棒で突く」アルバイトの話がありますが、この小説がキッカケとなったのでしょうかね。 都市伝説として今でもよく耳にします。 ぼくは怖がりのくせに、この手の話が結構好きです。

で、アメリカにもきっとこの系統の話があるんだろうと手に取ったこの都市伝説(Urban Legend)事典。 本作、電子書籍版ではなく紙の本です。 種類としてはペーパーバックですが、大きさは雑誌サイズでしかもかなりぶ厚い。 AからZの順に 400ぐらいのエピソードが入っていて読みごたえがあります。 著者は元々フォークロアの研究で有名な民俗学者、大学教授の方で「都市伝説研究」界の第一人者でありMr. Urban Legend と呼ばれているそうです。そんなバックグラウンドがあるからでしょうか、本作は少し学術書のような雰囲気があります。(2002年発刊)

怪談好きにはオススメですが、まあそれほど怖い話はありません。 どこかで聞いたことのある話が多いです。 都市伝説は世界各地で似たような話があるようですね。 まさに民間伝承、現代のフォークロアです。


有名なところでは、次のような話が収録されています。

  • Vanishing hitchhiker (消えたヒッチハイカー) よく聞く話ですね。日本でも舞台をタクシーに変えた話が有名です。深夜に青山墓地前で乗せた乗客。 目的地に着いてドライバーが後部座席を振り返ると誰もいなかった…
  • Choking Doberman(ノドを詰まらせたドーベルマン) 住人が帰宅すると番犬が何かをノドに詰めてグッタリ。 さっそく動物病院に連れて行くと中から出てきたのは、ヒトの指…
  • AIDS Mary : これはタイトルだけで分かりますね。 ある男が行きずりの女性と一夜を共にした。 朝、起きると彼女はすでにいない。 不思議に思った彼が洗面所の鏡に見たものは…


ウチでは子どもたちがまだ小さい頃によくお休み前のお話をねだられて、コレをネタ本にして話をしていました。 地下水路に住むワニの話とか、「お休み前のお話 名作100撰」みたいなのより結構ウケてたみたい。 なんちゅう親だ。(ただし、PG12 家庭内映倫)

Encyclopedia of Urban Legends

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Integrity (Henry Cloud) - 「リーダーの人間力」- 152冊目

ジャンル: 自己啓発
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

タイトルはズバリ「Integrity 」。 至誠、とでも訳すのでしょうか。
先日、感想を書いたドラッカーの著作においても、Managementの資質について最も重要なポイントはこの誠実性にあると主張しています。 彼はこう言います。
「 能力不足、知識不足、不注意、マナーが悪い。 これらは何とか後に改善できるかもしれないが、どうにも救いようもない性質がある。 それは「不誠実」であることだ。」
(The Daily Drucker より。148冊目)

確かに不誠実であればいかに頭脳明晰で優秀であっても人はついてきません。 何よりもぼくが大事だと感じたのは、「誠実であろうとすること」は地頭にかかわらず、後天的な努力で道を切り開いていけるという点です。 本作において、著者は「誠実」であると同時に自身の成長・「向上心」の重要性について多くの頁を割いています。(2009年発刊)


メモポイント
● 一将功成りて万骨枯る。 常に「オレがオレが」を主張する自己陶酔型リーダーの危険性。 控え目だが有能であり結果を出すのが真のリーダー。

They could be a star in one role, and a washout in the other. Their character will dictate where they end up. Narcissism, giving in to external pressures, or chasing an ideal image of themselves will take them in the wrong direction. But humility and secure identity will take them in another, leaving a much different wake. I remember a man walking up to me in corporate training and saying, “My career really took off when I finally realized that I was not the type of person to own my own business. I got a good position here and it has been upward ever since. I am so glad I faced that truth about myself.” Humble, yet competent and successful.


● 勝者とは必ずしも負けない人を意味しない。 それは負けからよく学び将来の負けを防ぐことができる人のことである。 一方、敗者とは負けから学ばずに同じことを繰り返す者を指す。

Winners lose less in the future and do not lose the same way that they lost last time, because they have learned from the loss and do not repeat the pattern. But losers do not learn from what they did and tend to carry that loss or pattern forward into the next venture, or relationship, and repeat the same way of losing.


● 誠実性とは優れた免疫システムのようなもの。 ハッキリとした理由は分からなくてもどこか胡散臭い行いや雰囲気があればピンとくる。避けるべき危険を察知できるのだ。

Integrated characters have a great immune system against getting into bad situations. They sense them early on, and if something smells wrong, or not good enough, they just say no. They do not agree to things that do not fit their criteria, their values, their purposes, or that have too many negatives or the types of negatives that they do not want to deal with.


● 物を「得る」ことにより欲望を満たすことは際限がない。 それよりも大きな喜びとは「与える」ことである。 子を持つ親は「得る」ことよりも「与える」ことの喜びがはるかに大きい事を知っている。

At this point, there is a new “addictive cycle,” not to seeking more and more for oneself and never being satisfied, but to giving more and more of oneself and becoming more satisfied than one thought possible. It is the difference in the amount of “happiness” that a child experiences on Christmas morning, or by going to Disneyland, having all of those gifts or experiences for him-or herself, versus the incredible joy that his or her parent feels in getting to give that experience to the child. It truly is more blessed to give than to receive. The ones who give of themselves know this and love the experience. But, all of this begins with an investment, and usually one that involves submitting to a structured path.


● ある男の話。 倒産の危機に瀕する会社で副社長の職を持っていた彼は、常に定められたルールに従い、一切の逸脱を認めなかった。 ルールに従えば誰も彼を責める人はいない。 彼はなんの迷いもなく「正しいこと」をしていると考えていた。 そして、「ルールに規定されていない行動は取れない」として特に思い切ったアクションも取らず、そのまま会社は潰れてしまった。 時すでに遅しであるが、彼の元ボスは考えた。「彼が正しいことをしていたと言うのなら、なぜ会社はこの危機を避けられなかったのだろう?」 答えは明らかだった。彼はWorkerでありLeaderではなかったからだ。 彼は他者から責められる事を恐れていた。Leaderは結果責任を負う。 そして弁解したり他人を責めたりしないものだ。

Jim was not taking responsibility for the results. From his perspective, he had done everything “right.” He had “followed the policy and done what the attorneys had said to do.” He had done nothing wrong. But, if that were true, how come now everything was “wrong” in the wake? What I said to the president was that his VP was not acting like a leader, but only a “worker.” “What do you mean?” he asked. “Well, workers do a job. They do what they are told, and that is all they are responsible for, in their mind-set. If the desired result does not happen, that is not their problem because they did what they were told.
(中略)
He must be held accountable for the results that his decisions bring about. It was his strategy that created a big mess, and he is not taking ownership for the results of what he did. He just wants to be seen as ‘good’ and doesn’t care about the results.
“Leaders take ownership of the results and do not try to excuse those or blame someone else for them.”


上記の引用を書いて、以前に遥洋子さんが書かれたエッセイの一文を思い出しました。まさにこの通り!

「これらの会話からわかるのは 、自分が仕事上どういうポジションで 、どういう評価を得る人間であるか 、のほうが 、企業の損失 、顧客の信用の失墜より優先されているということです 。あくまで視野は自分の評価に縛られているので 、広域な企業責任にまでは広がりません 。そういうタイプには問題解決は不可能なのです。 (中略)
それを主張したら会社が倒産するかもしれないのに 「正しさ 」にこだわる人がいたとしたら 、その危機感のなさが皆を苛立たせるのです 。 「こっちは生きるか死ぬかで必死なのに 、何が正しさだ 」ということです 。正義に苛立つ人は 、正義を持ちだせるだけのその人の余裕に苛立つか 、もしくは 、共に危機なのにその現実認識の甘さに苛立っているのです。」(遥洋子 「気難しい女性との上手な接し方」より)

本作、 少しエキセントリックなタイトルの本ですが、なるほどと頷くことしきりでした。 こちらもオススメです。

Integrity: The Courage to Meet the Demands of Reality

Integrity: The Courage to Meet the Demands of Reality

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The Flying Classroom (Erich Kastner) - 「飛ぶ教室」 - 151冊目

ジャンル: 小説(児童)
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★★☆

ずーっと昔に児童書で読んでスゴく感動した本。 エーリッヒ・ケストナーの「飛ぶ教室」。キンドルの英語版があれば再読したいなと思ってずっと探していました。 で、やっと見つけた! やっぱりイイ! これは文句なしのオススメです。 英語も簡単で読みやすい。

ドイツの寮制学校(gymnasium)を舞台に繰り広げられる少年たちの熱い友情物語。 他校との喧嘩あり、親を慕う子供のせつない心あり。 この学校を舞台にした様々な出来事を少年たちは悩みながらも一生懸命乗り越えていきます。
そして最後には思わず、「ウンウン、良かったね」と言ってしまった…(1933年発刊)


メモポイント (ネタバレ注意!)

● 子供心を持ち続けることの大切さ。 サン・デグジュペリ思い出す。 この物語、前置きが長くてなかなか小説の本題に入らないのですが、実はこの前段も味わい深いです。
勇気と知恵。 どちらが欠けてもダメ。

If you stand up to the first blows of fate, you’re well on the way to winning. Because in spite of the blows that you have received, you’ll have the presence of mind to activate two very important qualities: courage and intelligence. Remember what I tell you: courage without intelligence doesn’t amount to anything, and intelligence without courage is no good either. At many times in the history of the world, stupid people have been brave and intelligent people have been cowardly. That wasn’t the way to go about it.


● 本作、不思議なタイトルです。 学校主催のクリスマス会の出し物として少年たちは演劇を行う事になりました。 自分たちで作ったその演劇のタイトルがこの「flying classroom (飛ぶ教室)」。 「ピートのふしぎなガレージ」みたいに飛行機に乗って、ベスビオ火山やギザのピラミッドなど、アチコチに「教室」が飛んで移動するという脚本。 劇中には少女に扮する可憐な美少年も出てきますが、上級生たちがみんな彼にメロメロに…


● それぞれの少年が特徴を生かして活躍。 正義感の強いリーダー(Martin)がいれば、文才溢れる作家志望の少年(Johnny)、勉強は苦手だが腕っぷしの強い奴(Matz)もいる。シニカルな交渉屋(Sebastian)や気が弱いけど少女と見まごうほどの可憐で優しい子(Uli)まで。 カンペキな奴はいないけれど、お互いにそれぞれの存在を認めあって尊敬と友情で結ばれている。(この辺り、ちょっと「スタンドバイミー」を思い出します。) 特にMartin のリーダーっぷりがスゴイ。(脳内キャストはもちろん、リバー・フェニックスですが) 敵チームから捕虜となった友達を奪還するシーンの采配ぶりときたら惚れ惚れします。「よし、みんな用意はいいか? 行くぞ!」大したもんだ。

Martin looked at his friend Johnny. ‘Are there enough of us?’ Johnny nodded. ‘Off we go then!’ cried the form captain. ‘Over the fence to the allotment gardens! And let’s get a move on! We’ll meet at No-Smoking’s place!’


● 寮監のJustus先生、彼もいいですね。 少年たちから畏敬の念で慕われています。 ハリーポッターダンブルドア校長かマグゴナガル先生みたい。(年寄りじゃないけど)
敵チームの捕虜になった仲間を助けるために、無断外出するという寮の規則を侵して傷だらけになって寮に戻ったMartin たち。 嫌味な上級生TheodorはMartin たちの規則違反をJustus にチクります。 公正を重んじるJustus先生はMartin たちに罰則を与えますが…

'Very well, you can have the punishment you’re so keen to take. I forbid you to go out on the first free afternoon following the Christmas holidays. That will satisfy the boarding house rules, won’t it?’ Dr Bökh (Justus先生のこと) looked inquiringly at the sixth-former.
‘Of course, sir,’ handsome Theodor was quick to reply.
‘And on that afternoon marked out for your punishment, the five of you are invited up here to the tower as my guests. We’ll have coffee and a nice chat. That’s not in the boarding house rules, but I don’t think there can be any objection. Do you?’ Once again he looked at the sixth-former.
‘Certainly not, sir,’ said handsome Theodor in dulcet tones.

ホント、「グリフィンドールに10点!」て感じ。


● シニカルで頭のきれる少年Sebastian。 少年たちの中では冷静な参謀役。 彼には珍しく自分の心情を吐露します。
「ほんとは自分も臆病なんだ。でもそれを周りに見せないようにするだけの知恵があるだけさ。みんな誰しも劣等感を持っているんだよ。」

But have you ever stopped to wonder whether I, for instance, am brave? No, you’ve never noticed anything! So I’ll tell you now, in confidence, that as it happens I’m unusually cowardly. However, I’m clever, so I don’t let it show. I’m not all that bothered about my lack of courage. I’m not ashamed of it. I know that we all have our flaws and weaknesses. It’s just a matter of not letting other people notice them.’


● Mr. Non-smoking という少年たちの友人である大人が登場します。鉄道会社から払い受けた「禁煙車」の看板が付いた車両を庭に置いて、その中でたくさんの本に囲まれて隠遁生活をおくる「喫煙者」です。 歳の頃なら35,6歳といったところ。彼と少年たちの絆がとてもいい。 時には悩んで道を踏み外しそうになる彼らをMr. Non-smoking は人生の先輩として暖かく見守ってくれます。 実はMr.Non-smorking の過去にはある秘密があり… あとは読んでのお楽しみ。


ところで、読書猿の中の人、くるぶしさんのお話(小説?)にも「禁煙さん」という人が出て来ますが、このMr. Non-smoking がモチーフなんでしょうかね。 歳下の友人に対しても真摯な態度で向き合う知的な大人というところが共通点でしょうか。 (くるぶしさんの「禁煙さん」は知的な美女という設定ですが。 ぼくはこのくるぶし版の「禁煙さん」と図書館の「司書」さんとの掛け合いの話が好きなんです。 ) もしよければ、「読書猿」「禁煙さん」でググッてみて下さいね。

The Flying Classroom (Pushkin Children's Collection)

The Flying Classroom (Pushkin Children's Collection)

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Asimov's New Guide to Science (Issac Asimov) - 150冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

かなり分厚い。 なんと900頁近くもあります。 しかしこのジャンルにはまったくの門外漢である僕でも、物理学や生化学に関する全般的な歴史や知識について楽しんで読むことができました。 何よりも読者に分かりやすいように噛み砕いて書いてくれているところがいい!! この知識の広範さ、さすがSF小説界の巨人です。(1993年発刊)

本書が書かれたのが少し昔なので、最新の科学情報が反映されていません。 がしかし、理系じゃないけどいろんな科学系統の洋書を読みたいという方には、事前にこれを一冊読んでおくのはホントにオススメです。 どのページからでも読むことができますが、一応順番に読んでいった方がよいでしょう。 物理学関連のパートでは、宇宙論から始まって太陽系、地球を経て分子構造へと流れる構成で、大きな俯瞰からミクロへと焦点を絞るような 構成になっています。 一冊ガンバって読みきれば、かなりの量の科学系基礎英単語を身につけることができますよ。他の科学系の本を読むときにずいぶん楽になりました。

アシモフと言えば、昔のテレビ番組「トリビアの泉」のオープニングで、「人間は無用な知識の数が増えることで快感を感じることのできる唯一の動物である」というアシモフ(とされる人)の言葉を引用していました。 しかし、実はアシモフはそんなこと言ってなかったそうです。(バートランド・ラッセルの言葉だったとの説あり)

「えーっと、これってトリビアになりますかね?」

Asimov's New Guide to Science

Asimov's New Guide to Science

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The Game (Neil Strauss) - 「ザ・ゲーム」- 149冊目

ジャンル: ノンフィクション (自伝)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

ナンパ師たちの話。

ぱっと見が冴えない音楽誌ライターのNeil Strauss。 あるきっかけにより彼はPickup Artist(PUA=ナンパ師のこと)の世界に入る。 「Mistery」という名の師匠のもとで修行を積んだ彼は、しょぼしょぼに残った前髪を剃り上げてスキンヘッドにし、レーシック手術を受けてメガネを外し、筋トレで胸板厚く、スーパーナンパ師「Style 」として生まれ変わります。行動心理学までをも駆使して一夜限りの女性をたくさんモノにしていくというノンフィクション。(2005年発刊)

あー、読んでいて疲れてしまった。 異性を求めるのは本能に基づく欲望であり自然の摂理なんでしょう。 しかしここまで脳内メーカーがセックス一色な人生ってどうなんでしょう? 容姿が衰えてから過ごす時間も結構長いというのに。
恋愛工学にあるようなテクニックを駆使したり、Dawkinsの「The Selfish Gene」を読んで生物進化論の見地から女性を魅了する技術を学ぶナンパ師たち。 彼らは望み通り多くの女性をモノにするのですが、みなまったく幸せそうには見えません。 最初は楽しんでいた作者、「Style 」もやがてその真実に気付きはじめます。 穴の空いたバケツに水を入れるように愛を求めて次から次へと女性を漁りますが、その精神は常に満たされることはありません。 人を欺むく者はいつかは自らが欺かれる対象になるとの恐怖を持つようになります。 自縄自縛。



メモポイント

● 自分を魅力的に見せるためのナンパ師たちの技術は参考になる。 笑顔が最大の武器。

“The number one characteristic of an alpha male is the smile,” he said, beaming an artificial beam. “Smile when you enter a room. As soon as you walk in a club, the game is on. And by smiling, you look like you’re together, you’re fun, and you’re somebody.”


● 笑顔の他にも武器がある。 キチンとした身なり、ユーモアのセンス、人の和を繋ぐ、そして話題の中心となる。 そりゃ魅力的に見えるのは当然。 このセオリー、ナンパ師だけの専売特許じゃない。

Besides confidence and a smile, we learned, the other characteristics of an alpha male were being well-groomed, possessing a sense of humor, connecting with people, and being seen as the social center of a room.


●自信のない人は早口だ。 そして自信のない男はモテない。

Talking too fast is usually a sign of a deep lack of confidence.


● 「醜い女性など存在しない。 あり得るのは怠惰な女性だけだ。」 この原則は男性にはもっと当てはまる。 少しキチンと基本を押さえるだけで差別化できる。 見違えるように魅力的になれる。

Helena Rubinstein once said, “There are no ugly women; only lazy ones.” Since society holds men to less rigid standards of beauty than women, this is doubly true of guys. Give a man like Sweater—or any man—a tan, better posture, whiter teeth, a fitness regime, and clothes that fit, and he’s well on his way to handsome.


● 後半はナンパ業をビジネスとしている仲間たちと、豪華な家を借り上げ「Project Hollywood」という共同生活を行う展開だが、それぞれの彼女たちを引き込んでクロスセックスを行い、嫉妬と激情にもみくちゃにされて、混乱と裏切りの世界に陥る。
「俺たちはお互いを支え合う理想郷を目指してこの暮らしを始めたのに現実はどうだ… まるで蝿の王の世界だ」

I had moved in with these guys because I thought we had all the answers. I imagined working together to bring all the other areas of our lives up to a new plateau, beyond just women. I hoped we would be greater than the sum of our parts.
But rather than creating a mutual support system, we had created Lord of the Flies.


異性をモノ扱いすると最後には見透かされて軽蔑されるのは必定でしょう。 純粋に女性をクドくためだけの戦術と考えたとしても、その後の展開を考えればあまり有効だとは思えません… しかし人は見た目に大きく影響されるという点は行動心理学の観点からもうなずける点はありますね。 この点は結構、参考になりました。

The Game: Penetrating the Secret Society of Pickup Artists

The Game: Penetrating the Secret Society of Pickup Artists

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