hearthのお気楽洋書ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (ツイッターは、hearth@洋書&映画)

A Clockwork Orange (Anthony Burgess) - 「時計じかけのオレンジ」- 225冊目

ジャンル: 小説(SF)
英語? 難易度: ★★★
オススメ度: ★★★☆☆


孫悟空は頭の輪っかのおかげで更生したのか?」

西遊記に出てくるモンキーマジック孫悟空は元々やんちゃな猿でした。 如意棒や筋斗雲を駆使し無敵の力を誇る彼でしたが、唯一の弱点がありました。それはお釈迦様によって強引に頭に装着された拘束器具です。短気な悟空が乱暴しようとするとお師匠様(三蔵法師)があるお経を唱えます。 すると頭にはめられた輪っか(キンコジ)が万力のようにキリキリと締め付けて悪さができず大人しく従ったというお話です。そしてしぶしぶお師匠様との旅に付き合い始めた乱暴者の悟空ですが、やがてお師匠様に尊敬の念を覚え多くの妖怪からお師匠様を守りお供をして天竺まで経典を取りに行く旅を全うしました。 そして最後には仏にまでなるのです。 めでたしめでたし。
ところで、彼を解脱の境地にいざなったのはこの拘束器具があったからなんでしょうか。 まあ答えはノーでしょう。 彼は身体的苦痛により隷属していたわけではなくお師匠様を支えたいとの気持ちがあったからなんだと、堺正章のTVドラマ西遊記を毎週楽しみにしていた当時の小学生世代の一人としてそう思いたい。拷問による形式的服従は何も生み出さないと。
で、今日の本は身体的苦痛だけでは相手をコントロールするには十分でないというお話です。

粗筋を少し。
本作の主人公、15歳のアレックス少年はならず者たちと徒党を組んで暴力とセックスにどっぷりと浸かった環境に身を置いていましたが、ある日快楽的な殺人を犯した罪により逮捕・拘束されます。 政府側は彼を単に禁錮するのではなく、彼の刑期短縮との引換え条件として、粗暴な人間を改造するある特殊療法(ルドヴィコ療法)の効果を試すための実験台にします。 この実験とはほぼ拷問に近いイメージです。嫌悪感と脱力感を持つような薬を注射された後に、拘束イスに身体を縛られ固定機で目をこじ開けられて目薬をさされます。そして性描写と暴力が延々と続く映画フィルムを見せられます。パブロフの条件反射の刷り込みのように、暴力やセックスを想起すると死にたくなるほどの嫌悪感を覚えるよう脳内組成を改造するというものでした。 実験の効果はてきめん、アレックスはかつて彼が最も快適に過ごしていた粗暴な世界にまったく無力な状態で放り出されます。 やっとの思いで再会した両親は彼と二度と会いたくないと言い、まったくの赤の他人を息子に見立てて既に同居を始めていました。失意に打ちひしがれて実家を立ち去ったアレックス。 昔の仲間に襲われたり過去の悪行に対して仕返しをされたりする中で、行き場のない彼が取った行動とは…
(1962年発刊)


メモポイント
● ルドヴィコ療法。レイプシーンを目をこじ開けて見させられる。吐き気。医者は言う。「おお、いい感じだ、効果あるぞ」

This time the film like jumped right away on a young devotchka (娘) who was being given the old in-out (セックス) by first one malchick (男) then another then another then another, she creeching (悲鳴をあげる) away very gromky (大きな声で) through the speakers and like very pathetic and tragic music going on at the same time. This was real, very real, though if you thought about it properly you couldn’t imagine lewdies (人々) actually agreeing to having all this done to them in a film, and if these films were made by the Good or the State you couldn’t imagine them being allowed to take these films without like interfering with what was going on. So it must have been very clever what they call cutting or editing or some such veshch (もの). For it was very real. And when it came to the sixth or seventh malchick leering and smecking (にやにや笑う) and then going into it and the devotchka creeching on the sound-track like bezoomny (狂ったように), then I began to feel sick. I had like pains all over and felt I could sick up and at the same time not sick up, and I began to feel like in distress, O my brothers, being fixed rigid too on this chair. When this bit of film was over I could slooshy (聞こえる) the goloss (声) of this Dr Brodsky from over by the switchboard saying: ‘Reaction about twelve point five? Promising, promising.’

しかしこれにはかなり苦労しました。 骨が折れる。 作品が難解というよりもその言葉がですが。 Nadsat語というもので主人公たちが使う仲間内の符丁のようなもので、完全なる作者の造語です。(上の英文にカッコ書きで意味を補ったのがその造語です) 当然辞書にも載っていないから意味も取れない。 とりあえずネットで用語リストを落としてそれを辞書代わりに読了しました。
それにしても不思議なもんです。 分からないなりに強引に読み進めていくと、真ん中あたりまでくると、頻出語についてはなんとなく覚えてくる言葉が出てきます。 トルチョック(殴る)、ベック(男)とかホラーショー(素晴らしい)とか。 英語を勉強し始めた頃と似た感覚を味わいました。


● アレックスが拘束されている施設の教誨師。 このルドヴィコ療法の罪に言及する。「彼は培われた倫理観に基づいて暴力を避けているのでは無い。暴力に訴えようとすると身体的苦痛を連想するからそうしないだけだ。確かに今の彼は不法行為を行うことはないだろう。 しかし同時に彼には人間として持つべき倫理による選択の余地もなくなったしまったのだ。機械のような条件反射であり中身はない(時計仕掛けのオレンジ)」

実験を行った医師は笑いながら返す。
「動機などどうでもいいのだ。高邁な倫理など知らぬ。 犯罪が減るならばそれでいい」

‘Choice,’ rumbled a rich deep goloss (声). I viddied (見た) it belonged to the prison charlie (牧師). ‘He has no real choice, has he? Self-interest, fear of physical pain, drove him to that grotesque act of self-abasement. Its insincerity was clearly to be seen. He ceases to be a wrongdoer. He ceases also to be a creature capable of moral choice.’
‘These are subtleties,’ like smiled Dr Brodsky. ‘We are not concerned with motive, with the higher ethics. We are concerned only with cutting down crime—’


● (ここからちょっとネタバレ。未読の方は読まないで)
アレックスは昔の不良仲間だったピートと出会う。 ピートは若い女を連れていた。嫁さんだという。
(二人の中二病のようなNadsat語を使った会話を聞いて彼女はクスクス笑う)
「ねえピート、あなたもこんな変な言葉使いをしていたの?」
「そうだな。 なあアレックス。俺ももうじき二十歳だ。いつまでも昔みたいにバカやってらんないからな。」
元ヤンかよ。

This devotchka who was like Pete’s wife (impossible impossible) giggled again and said to Pete: ‘Did you used to talk like that too?’
‘Well,’ said Pete, and he liked smiled. ‘I’m nearly twenty. Old enough to be hitched, and it’s been two months already. You were very young and very forward, remember.’
(中略)
Yes yes yes, there it was. Youth must go, ah yes. But youth is only being in a way like it might be an animal. No, it is not just like being an animal so much as being like one of these malenky (小さな) toys you viddy (見る) being sold in the streets, like little chellovecks (男) made out of tin and with a spring inside and then a winding handle on the outside and you wind it up grrr grrr grrr and off it itties, like walking, O my brothers. But it itties (行く) in a straight line and bangs straight into things bang bang and it cannot help what it is doing. Being young is like being like one of these malenky machines.

最後にこんな展開になるとは…


上は最終章からの抜粋で、アメリカで発刊された時には削除されていたそうです。 それにしてもこの最終章の有無でこの話はまったく正反対の終わり方になってしまいますね。 なんか強引に話をまとめられてしまったようで、このためか少し陳腐なストーリーとなってちょっと鼻白んだ気になります。 悟空のように旅を経て精神的に成長するステップも無く、単なる「若気の至り」で片付くような問題じゃないだろー、って感じですね。

「オレも昔はワルだった。若気の至りってヤツかな」オイオイそりゃないぜ。

A Clockwork Orange (English Edition)

A Clockwork Orange (English Edition)

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The Chemical History of a Candle (Michael Faraday) - 「ロウソクの科学」- 224冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★☆☆☆

深夜、眠れないことが多く、夜の2時ぐらいに本を読むことがあります。 物音ひとつしない静かな暗闇の中で、布団の中でキンドルを手にして古典とも言える本を読む。 何か濃密な時間が過ぎていく感じが好きなのです。

以前に読んだ塩野七生さんのエッセイの中で、マキャベリが深夜の読書・思索を通じて古の賢人たちと対話し、名著「君主論」を書き上げたエピソードを紹介されていました。 その作品の勇壮なイメージとは少し異なり、現実のマキャベリは背は人並みだが貧相に見える貧乏な四十男でした。 「君主論」が出版され名声を得るのも彼の死後のことであり、決して社会的には成功者の部類には入らない人物だったようです。 しかし孤独を愛し自身の中で確固たる世界観を持ち、いにしえの賢人たちとの深夜の語らいを持つ姿がなんとノーブルで格好の良いことかと、塩野さんはそのエッセイに書いています。そのくだりについて、マキャベリ自身が友人に書いた手紙を引用します。

————————
「夜がくると家にもどる。そして書斎に入る。入る前に泥やなにかで汚れた毎日の服を脱ぎ官服を身に着ける。礼儀をわきまえた服装に身をととのえてから古の宮廷に参上する。そこではわたしは彼らから親切にむかえられ、あの食物、わたしだけのための、そのためにわたしは生をうけた食物を食すのだ。そこでのわたしは恥ずかしがりもせずに彼らと話し、彼らの行為の理由をたずねる。彼らも人間らしさをあらわにして答えてくれる。
四時間というもの、まったくたいくつを感じない。すべての苦悩は忘れ貧乏も怖れなくなり死への恐怖も感じなくなる。彼らの世界に全身全霊で移り棲んでしまうからだ。
ダンテの詩句ではないが、聴いたことも、考え、そしてもとめることをしないかぎり、シェンツァ (サイエンス )とはならないから、わたしも彼らとの対話を『君主論 』と題した小論文にまとめてみることにした。そこではわたしはできるかぎりこの主題を追求し分析しようと試みている。君主国とはなんであるのか。どのような種類があるのか。どうすれば獲得できるのか。どうすれば保持できるのか。なぜ失うのか … 」
(塩野七生「男たちへ」より抜粋)
———————————-

自分の中で確固たる世界観を持ち、深夜に思索を重ねる。その濃密な時間がいかに大事だったのか。 憧れを覚えます。

そしてそのような深夜の読書にふさわしいと感じた一冊がこの「The Chemical History of a Candle 」です。 科学書と言うよりもこれは歴史的古典の位置付けですね。 イギリスの誇る大科学者であるMichael Faraday。 彼は貧乏な出自であり小学校も中退、十分な教育を受ける機会を持てませんでした。 しかし、科学に対する憧れ、純粋で真っ直ぐな情熱は誰にも負けていません。製本工から始まり、働きながら地道に科学の研究を続けました。 そして、化学の分野ではベンゼンを発見、また物理ではファラデー電磁誘導の法則を唱えたりと、広範に渡る業績を残し、ついには英国王立研究所を代表する教授となり誰もが知る偉大な科学者の一人に数えられるまでになりました。
そして大科学者となったのちも、彼自身は少年の頃から抱き続けた「科学を愛する心」を新しい世代の少年少女に伝えたいと願っていました。 そして一般の人々を対象にして積極的に何度も講座を行いました。その講座の一つがこの本の収録の元になった1860年に行われた「Christmas Lectures (クリスマス講座)」です。
(英国王立研究所主催の伝統あるこの「クリスマス講座」は子供たちへのクリスマス・プレゼントとして1825年に始まった歴史的な科学講座です。 形は変わっているようですがなんと今現在も毎年続けられているそうです。)
(1861年発刊)


メモ
● いいですか。これからみんなで、自然科学の世界のトビラを開けて探求していきますが、どこにでもあるこのロウソクほどピッタリな材料は他にはありませんよ。

There is no better, there is no more open door by which you can enter into the study of natural philosophy, than by considering the physical phenomena of a candle.

● ガスと蒸気の違い。 よく分かっていなかった… どっちも気体の状態だけど、圧縮すると液化するのが蒸気で、圧縮しても液化しないのがガス。 ふーん。

(You must learn the difference between a gas and a vapour: a gas remains permanent, a vapour is something that will condense.)

● 「脂肪の燃焼」とかってよく言うけど、これは文章としての誇張や比喩ではなくて、化学的にはまさにロウソクが燃えることと一緒の原理。 燃焼とは熱や光を伴って急激に酸化すること。

Now, I must take you to a very interesting part of our subject—to the relation between the combustion of a candle and that living kind of combustion which goes on within us. In every one of us there is a living process of combustion going on very similar to that of a candle; and I must try to make that plain to you. For it is not merely true in a poetical sense—the relation of the life of man to a taper; and if you will follow, I think I can make this clear.

● ファラデー先生の講座の締めの言葉。 少年少女たちと分かち合うこの時間をどれほど楽しみにしていたかが伝わります。

I have now finished this imperfect account. It is but an apology for not having brought the process itself before you.
(中略)
If I should happen to go on too long, or should fail in doing what you might desire, remember it is yourselves who are chargeable, by wishing me to remain. I have desired to retire, as I think every man ought to do before his faculties become impaired; but I must confess that the affection I have for this place, and for those who frequent this place, is such, that I hardly know when the proper time has arrived.


この収録本を読むと分かるのですが、このト書き風の実験説明がとても臨場感に溢れています。 きっと科学好きの少年少女たちが、目をキラキラさせて聴いていたに違いない。そしてそれは若き日のファラデー少年の姿そのものだったのでしょう。
そしてファラデー先生は、スティーブ・ジョブズも驚きのプレゼンテーションの名手であることが分かります。 盛り上げつつ観客を魅了する実験はまるで手品のようです。今で言えば「でんじろう先生」の科学面白実験といった雰囲気。 彼の身振り、言葉の選び方、そして聴衆が何をどのように感じるかをよく把握して、シンプルな物を使って奥深さを伝える。 この講座でも、ロウソクというありふれた物を使って、化学、物理の奥深さをキレイに繋げて、目の前でプレゼンテーションを行ないます。 少年少女たちの心をわしづかみにしたファラデー先生。 この本を読んで多くの子供たちが科学者を目指したんだろうなー。 素晴らしい。

惜しむらくは、ぼくが入手したこのKindle本、著作権が切れて無料だったのですが、イラストが無いものでした。 文章自体はそれほど難しいものではなく、文学の古典にあるような古い言葉使いも無かったのですが(show をshewと綴るぐらいのもの)、イラストが無いので細かい実験のセットアップはさっぱり分かりません。もしこれから読まれる方は、多少高くてもイラストや図解の入った版を買われることをオススメします。(なので、オススメ星印も二つ星としました。)

それから、科学を愛する少年の本であれば、ファインマンさんの本(134冊目)、あと「Rochet Boys」(140冊目)なんかもオススメです。
安心してください。数式はありませんよ。

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Blue Ocean Strategy (W. Chan Kim) - 「ブルー・オーシャン戦略」- 223冊目

ジャンル: ビジネス・経済
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★☆☆

「いつかはそうなると思ってたんだよね」

何かトラブルが起きたときに、したり顔でこう言われると、ザラッとして少し嫌な感じがします。「なら、もっとはよ言え!」と。 後知恵バイアスと言うのでしょうか。 自分ではこういうこと言わないようにしようと思ってますが、無意識の内にやらかしちゃってるかもしれません。

マーケティングやビジネスモデルの本を読むと結構そう思うことがあります。 いくつかの成功モデルと失敗モデルを比較して分析をして理由づけしているパターンが多いのですが、結果を見てから説明するのは簡単です。 しかし、事前に「このモデルが成功する可能性が高いですよ」と示唆してくれる指南書には残念ながらなかなか出会えません。 まあそんなものがあれば誰もが飛びついているでしょうね。

本作も成功と失敗のビジネスケースを例に取りながら説明しているマーケ本です。 従来型の競合他社との価格・サービス競争に明け暮れて疲弊していくマーケットを血で血を洗う「レッド・オーシャン」と呼ぶ一方、まったく新たな観点でビジネスモデルを作り上げて競合を避けるマーケットを大海原のイメージである「ブルー・オーシャン」と名付けています。 人と違うことをする。 競合しないので価格ダンピングもなく、新たな需要を開拓するので収益のサイズも見込める、素晴らしい戦略です。 ただしそのようなモデルを見つけることが大変だからこそみんな苦労しているのだと思うのですが…
(2004年発刊)


メモポイント

ブルーオーシャンを見つけるために、現行のビジネスでは当たり前の事でも見直す。新しい切り口を探すためのツール。 四象限で分ける。何に力を入れて何を削減するか。 これは結構参考になるかも。 サーカスの「シルクドソレイユ」の成功を例に取る。 確かに従来型のサーカスではもう成長の余地は無さげに見える。

Eliminates (廃止):
人件費高のスタープレーヤは使わない。 管理が大変で虐待イメージに通じる動物曲芸はやらない。 複数ステージは観客の注目が分散するのでムダ。

Reduce (削減)
ピエロなどのドタバタユーモアやスリルを減らす。

Raise (増加)
価格を上げ、イベントとしてゴージャスな雰囲気をだす。

Create (創造)
芸術的な美しさ、テーマを追求。


● 雰囲気で売っている業界は、機能面の充実を。 機能で売っている業界は、雰囲気の充実を。

Does your industry compete on functionality or emotional appeal? If you compete on emotional appeal, what elements can you strip out to make it functional? If you compete on functionality, what elements can be added to make it emotional?


● 原価から売価を考えるのではない。売価から原価を決めるのだ。その売価とは競合が参入できない設定である必要がある。 原価を削る過程は、当然と考えられてきたビジネスモデルの見直しにも寄与する。

Here, price-minus costing, and not cost-plus pricing, is essential if you are to arrive at a cost structure that is both profitable and hard for potential followers to match.
(中略)
Part of the challenge of meeting the target cost is addressed in building a strategic profile that has not only divergence but also focus, which makes a company strip out costs.


● 新しいビジネスモデルの導入時には「公正な手続きを踏みましたよ」感が大事。関係者に対して、実際に反映されたかどうかではなく手を尽くして意見を聞いたというステップが大事なのだ。

Engagement : 関係者の能動的な参加を促す。
Explanation : 手を尽くして説明を行う。
Expectation : 評価の基準をクリアにして期待値を伝える。

There are three mutually reinforcing elements that define fair process: engagement, explanation, and clarity of expectation.


● 当然の事ながら、ブルー・オーシャンはいつまでもブルーなわけではなく、後発参入によりいずれはレッド・オーシャンとなる。 この劣化をどう防ぐか。 つまるところ、常にブルーな状態を保つべく、最初にブルーを見出したときのステップを繰り返していくことしかない。 常にブルーオーシャンを見つけてきた企業の例として著者はアップルを紹介。MacからiMaciPod、iTune store、そしてiPhoneへ。

While the iMac transformed Apple’s Macintosh division into a high migrator, Apple quickly followed this with the launch of the iPod. The iPod revolutionized the digital music market, creating an uncontested blue ocean, which was strengthened further with its launch of the iTunes Music Store two years later. As the iPod was eventually imitated and sank toward migrator status, Apple reached out and launched its next blue ocean, the iPhone.


● 誤解を受けやすいこと。 まったく未知の領域ではなくコアビジネス近くにブルーオーシャンは存在している。それはギャンブルではない。思い切って視点を変えてみた「改善」という感じか。

There is a common misperception that to create a blue ocean and break out of the red, organizations must venture into industries outside their core, which understandably appears to multiply risk.


● 技術上の新発明そのものがビジネスに直結するわけではない。 新しい切り口はえてして既存の物事に対する新しい組み合わせにより生まれる。

A blue ocean strategic move is not about technology innovation per se.
(中略)
Schumpeter, for example, sees innovation as a “new combination of productive means.”


スティーブ・ジョブズも言ってた。「人々に何が欲しいかを尋ねても意味がない。彼らは何が欲しいかを分かっていないからだ。」

Moviegoing became an increasingly important entertainment event for Americans of all economic levels. As Roxy pointed out, “Giving the people what they want is fundamentally and disastrously wrong. The people don’t know what they want . . . [Give] them something better.”




成功事例本の限界については、トム・ピータースの「In Search of Excellence (エクセレント・カンパニー)」(115冊目に感想)で取り上げられている成功企業はその後の追跡調査では必ずしも永続して成功しているわけではないと、本作著者のチャン・キム自身も指摘しています。 成功モデルを紹介するマーケティング本としては避けられない事なのでしょう。

Blue Ocean Strategy, Expanded Edition: How to Create Uncontested Market Space and Make the Competition Irrelevant (English Edition)

Blue Ocean Strategy, Expanded Edition: How to Create Uncontested Market Space and Make the Competition Irrelevant (English Edition)

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振り返り!!! - 2018年に感想を書いた洋書リスト

2018年も終わりに近づきました。
今年書いた感想のまとめです。(少なめの42冊でした)

本の神様! 来年もオモシロ本に出合えますように。
それでは皆様、良いお年をお迎えください。


(基本はKindleの洋書版で読んでいますが、邦訳が出版されているものは邦題も書きました。)

(前に書いた2016年の感想はこちらです。 1冊目~97冊目)

hearthlife.hatenablog.com

( こちらは2017年の感想です。 98冊目~180冊目)

hearthlife.hatenablog.com


181 Beautiful mind (Sylvia Nasar) ビューティフル・マインド
hearthlife.hatenablog.com


182 The Carl Rogers Reader (Carl Rogers) ロジャーズ選集
hearthlife.hatenablog.com


183 Anne's House of Dreams (L.M. Montgomery) アンの夢の家
hearthlife.hatenablog.com


184 The Shift: The Future of Work is Already Here (Lynda Gratton) ワーク・シフト
hearthlife.hatenablog.com


185 Tell Me What? (Editor: Bounty Books)
hearthlife.hatenablog.com


186 The Prism and the Pendulum (Robert Crease) 世界でもっとも美しい10の科学実験
hearthlife.hatenablog.com


187 Bridget Jones's Diary (Helen Fielding) ブリジット・ジョーンズの日記
hearthlife.hatenablog.com


188 The Goal (Eliyahu Goldratt) ザ・ゴール
hearthlife.hatenablog.com


189 The Sound of Music: The Touching, Romantic Story of the Trapp Family Singers (Maria Augusta Trapp) サウンド・オブ・ミュージック
hearthlife.hatenablog.com


190 Focal Point (Brian Tracy) 大切なことだけやりなさい
hearthlife.hatenablog.com


191 The Hobbit (JRR Tolkien) ホビットの冒険
hearthlife.hatenablog.com


192 Cosmos (Carl Sagan) コスモス
hearthlife.hatenablog.com


193 Presentation Zen (Garr Reynolds) プレゼンテーションzen
hearthlife.hatenablog.com


194 Of Mice And Men (John Steinbeck) 二十日鼠と人間
hearthlife.hatenablog.com


195 The Meaning of It All (Richard P. Feynman) 科学は不確かだ!
hearthlife.hatenablog.com


196 Outbreak (Robin Cook) アウトブレイク - 感染
hearthlife.hatenablog.com


197 Fermat's Last Theorem (Simon Singh) フェルマーの最終定理
hearthlife.hatenablog.com


198 Live Girls (Ray Garton) ライヴ・ガールズ
hearthlife.hatenablog.com


199 The Code Book (Simon Singh) 暗号解読
hearthlife.hatenablog.com


200 Rita Hayworth and Shawshank Redemptions (Stephen King) 刑務所のリタ・ヘイワース
hearthlife.hatenablog.com


201 The Preasure of Finding Things Out (Richard P. Feynman) 聞かせてよ、ファインマンさん
hearthlife.hatenablog.com


202 Harry Potter And The Philosopher's Stone (JK Rowling) ハリー・ポッターと賢者の石
hearthlife.hatenablog.com


203 Getting to Yes (Roger Fisher) ハーバード流交渉術
hearthlife.hatenablog.com


204 The Origin of Species (Charles Darwin) 種の起源
hearthlife.hatenablog.com


205 Shawshank Redemption: The Shooting Script (Frank Darabont) ショーシャンクの空に
hearthlife.hatenablog.com


206 Big Bang (Simon Singh) ビッグバン宇宙論
hearthlife.hatenablog.com


207 The Lottery (Shirley Jackson) くじ
hearthlife.hatenablog.com


208 Dracula (Bram Stoker) 吸血鬼ドラキュラ
hearthlife.hatenablog.com


209 The Only Neat Thing to Do (James Tiptree Jr.) たったひとつの冴えたやりかた
hearthlife.hatenablog.com


210 The Seven-Per-Cent Solution (Nicholas Meyer) シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険
hearthlife.hatenablog.com


211 All She Was Worth (Miyuki Miyabe) 火車
hearthlife.hatenablog.com


212 Flowers for Algernon (Daniel Keyes) アルジャーノンに花束を
hearthlife.hatenablog.com


213 Harry Potter And The Chamber Of Secrets (JK Rowling) ハリー・ポッターと秘密の部屋
hearthlife.hatenablog.com


214 The Firm (John Grisham) 法律事務所
hearthlife.hatenablog.com


215 Around the World in Eighty Days (Jules Verne) 80日間世界一周
hearthlife.hatenablog.com


216 A Random Walk Down Wall Street (Burton Malkiel) ウォール街のランダムウオーカー
hearthlife.hatenablog.com


217 Walden; or Life in the Woods (H.D. Thoreau) 森の生活
hearthlife.hatenablog.com


218 Project Management, Sixth Edition (Idiot's Guides) (G. Michael Campbell) 世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント(キャンベル)
hearthlife.hatenablog.com


219 The Eagle Has Landed (Jack Higgins) 鷲は舞い降りた
hearthlife.hatenablog.com


220 The Art of Profitability (Adrian Slywotzky) ザ・プロフィット
hearthlife.hatenablog.com


221 The Diary of a Young Girl (Anne Frank) アンネの日記
hearthlife.hatenablog.com


222 The Cold Moon (Jeffrey Deaver) ウォッチメイカ
hearthlife.hatenablog.com

The Cold Moon (Jeffrey Deaver) - 「ウォッチメイカー」- 222冊目

ジャンル: 小説(ミステリー)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★☆

先日、話題の映画「カメラを止めるな!」を観ました。 これはもうなんて言っていいか、まあ一言で言えば素晴らしく面白かったのです。ストーリーは単純。 あるB級ゾンビ映画を撮影するために人里離れた山奥に来たスタッフが本物のゾンビに出くわして、というかなり平凡なホラーストーリー。 しかしこれは、この映画の最初の30分と残りの部分でまったく別物、というか二部構成になっていて、この展開が見事としか言いようがないのです。 ネタバレになってしまうのであまり詳しくは書けませんが、最初の30分までは「ふーん、なぜこの映画がここまで話題になるんだろう?」と思うのですが、残りの時間をかけてすべてのナゾを解く、というかすべての伏線をキレイに回収していく、その構成の切れ味が爽快なのです。

でなぜ、この映画の話から入ったかというと、まさにこの作品「The Cold Moon」の伏線の張りめぐらせ方とその回収の仕方が素晴らしいのです。 どんでん返しというか息つく暇のないハラハラの展開、そしてすべての辻褄がもれなくピッタリ合った時のゾクゾクする感じがたまりません。

車椅子の四肢麻痺の名探偵リンカーン・ライムと助手兼恋人の美人刑事サックス。 このコンビがウォッチメイカーと名乗る残忍な猟奇的殺人鬼の犯罪を防ぐべく推理を駆使して立ち向かう。 さらに今回は容疑者へのインタビューを通じて、態度や口調などから相手のウソを見抜く専門家キャサリン・ダンスが登場! 彼女のキャラクターがまたエッジが効いていて良い。容疑者を追い詰めるところ、ちょっとコロンボみたいな感じ。天才ライムをして「秘密兵器を差し向ける」とまで言わしめた女性。変わり種の捜査官。 彼女が主役の本が読みたいと思ったら、既にスピンオフ作品がシリーズ化しているそうです。 以前にJoe Navarroの「What Every Body is Saying (FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学)」という本を読みましたが(43冊目)、このジャンル、もう少し掘り下げてみたいです。
(2006年発刊)


メモ (少しネタバレあります)

● キャサリン・ダンス捜査官の質問技術。 ベースラインとは、普段の会話から通常レベルの相手の反応を覚える作業。

She asked a few more questions about his business, filing away a library of gestures and glances and tones and words –establishing the baseline for his behavior.


● ロンはライムとずっとコンビを組んできたニューヨーク市警察の警部。 もしサックスに万が一の事があればどうなるか、ロンはよく分かっていた。危険な任務に就こうとするサックス捜査官に。「いいな。決して無茶をするな。もしお前になにかあったらライムは俺を決して許さないだろう」

They won’t think twice about tossing your body into the trunk of a car at JFK long-term parking . . . God bless you, kid. Go get ’em. But be careful. I don’t want to have to go breaking any bad news to Lincoln. He’d never forgive me.’


● ダンス捜査官、この冴えた観察眼、カッコいい。
Agent Dance glanced at the officer and nodded toward Vincent. ‘He was doing a good job until we got into the diner. Once we sat down I knew he was faking.’ ‘No, you’re crazy. I—’ She turned to Vincent. ‘Your accent and expressions were inconsistent and your body language told me you weren’t really having a conversation with me at all.


● ネタバレになるので、未読の方はここは読まないで下さい。とても素敵なシーンなのでメモに残したかった。

Sachs lowered her head. Then she gave a soft laugh. ‘Dad was always the modest one. It was just like him –the highest commendation he ever got was secret. He never said a thing about it.’


読み進めるにつれて、犯人の検討がついてきてもう終わりかなと思っていると、まだ随分とページが残っている。 なにーっ、まだなにかあるの? このもどかしさ。 そして、まさかこんな展開とは。 ラストの余韻も素晴らしい。 これは文句なしの徹夜本でしたよ。 おかげさまで寝不足です…
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The Cold Moon: Lincoln Rhyme Book 7 (English Edition)

The Cold Moon: Lincoln Rhyme Book 7 (English Edition)

The Diary of a Young Girl (Anne Frank) - 「アンネの日記」- 221冊目

ジャンル: ノンフィクション(自伝)
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★☆☆

「Dear Kitty」

空想上の友達にあてたこの書き出し。 わずか14歳の少女が綴った日記は、第二次世界大戦時・ホロコーストの最も有名なドキュメンタリーの一つです。 また一級の青春小説とも言えます。(フィクションではありませんが) 本作を読むと、戦争とは何か特別な出来事としてある日突然起きるのではなく、普通の日々の暮らしの中にひっそり染み込むようにやってくる狂気そのものであることが伝わります。 今まで同じ社会の一員として生活してきたユダヤ人を急に排斥し幽閉、殺処分しようと考えるなど普通に考えてあり得ない。 しかしこれはまぎれもない事実です。多くの命がこのホロコーストにより奪われました。「常識から見てまずそんな事は起こらない」と思うのはいかに甘い考えであるか、集団心理の怖さは侮れません。

ずっと昔にも本作を邦訳で読んだことがあるのですが、その時にはそれほど印象に残りませんでした。 しかし今回は英文で内容を理解しようとじっくり丁寧に読んだためか、読み飛ばしが無く、前回よりも深く心に響いたと感じました。
( 1947年発刊)


メモポイント

ティーンエイジャーらしく、新しくスタートした「秘密の隠れ家」の生活を快活に綴っている。 ごく普通の暮らしをしてきた13歳の少女の日記。 日々の生活の延長であったことが分かる。

I don’t think I shall ever feel really at home in this house, but that does not mean that I loathe it here; it is more like being on vacation in a very peculiar boardinghouse. Rather a mad idea, perhaps, but that is how it strikes me. The “Secret Annexe” is an ideal hiding place. Although it leans to one side and is damp, you’d never find such a comfortable hiding place anywhere in Amsterdam,


● やがて同じ隠れ家に住む別家族の少年Peterに恋心を抱くようになる。彼との二人の時間。窓から見える栗の木に自然を感じる。 このような限界状態でも、このように考えることができた彼女。

“As long as this exists,” I thought, ‘’ and I may live to see it, this sunshine, the cloudless skies, while this lasts, I cannot be unhappy.”
The best remedy for those who are afraid, lonely, or unhappy is to go outside, somewhere where they can be quite alone with the heavens, Nature, and God. Because only then does one feel that all is as it should be and that God wishes to see people happy, amidst the simple beauty of Nature. As long as this exists, and it certainly always will, I know that then there will always be comfort for every sorrow, whatever the circumstances may be. And I firmly believe that Nature brings solace in all troubles.
(中略)
When I looked outside right into the depth of Nature and God, then I was happy, really happy. And Peter, so long as I have that happiness here, the joy in Nature, health and a lot more besides, all the while one has that, one can always recapture happiness.


● クリスマスプレゼントを交換したり、アイスクリームを食べたりといった通常の10代前半の女の子らしい生活から、2年に及ぶ「隠れ家」での抑圧された生活、母親との確執、閉鎖空間の中でのプライバシーの無い共同生活。大人たちへの軽蔑。 徐々にお互いを気遣う心も無くなっていく。 しかしこのような中でも、彼女は希望を失わないように必死に耐え続けて夢を綴った。
「自分が死んだ後も残るような生きた証を残したい」

I want to get on; I can’t imagine that I would have to lead the same sort of life as Mummy and Mrs. Van Daan and all the women who do their work and are then forgotten. I must have something besides a husband and children, something that I can devote myself to!
I want to go on living even after my death! And therefore I am grateful to God for giving me this gift, this possibility of developing myself and of writing, of expressing all that is in me.
I can shake off everything if I write; my sorrows disappear, my courage is reborn. But, and that is the great question, will I ever be able to write anything great, will I ever become a journalist or a writer? I hope so, oh, I hope so very much, for I can recapture everything when I write, my thoughts, my ideals and my fantasies.

「夜と霧」(47冊目)にも見られた、それでも希望は失わない姿勢。


● Peterに寄せる情熱的な恋心。 普通の女の子の日記。 初めこそ、これはよくある恋に恋して喜び涙する少女の日記だったが、閉ざされた空間で暮らす彼女がほんの短い2年の間にどんどん精神的に成熟していく過程が辿れる。

I created an image of him in my mind, pictured him as a quiet, sensitive, lovable boy, who needed affection and friendship. I needed a living person to whom I could pour out my heart; I wanted a friend who’d help to put me on the right road.



歴史にifはありませんが、もし後ほんの少しでも彼女たちの隠れ家が発見されずにいたならば… そして、戦争が終わりアンネたちが解放されていたならば、一人の賢明な大人の女性としての人生を送ることができたでしょう。 そして「こんなこともあったわね」などと思い出の一つにでもなっていたことでしょう。
1944年8月1日、この日記は「人として成長したい」と綴った文章で突然止まっています。 小説では無いので当然エピローグなどはありません。 ホントに突然です。 そして、この半年後の彼女とその家族の運命を知っている我々読み手側としては切なさと悲しさが込み上げてきます。

生を全うできなかった者たちの痛みが突き刺さる。

The Diary of a Young Girl (English Edition)

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The Art of Profitability (Adrian Slywotzky) - 「ザ・プロフィット」- 220冊目

ジャンル: 経済・ビジネス
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★☆☆☆


「ビジネスの上で、利益を上げるにはどのようなパターンがあるのでしょう?」

業績不振の工業部品メーカーに勤める若手ビジネスマンSteve。 経営の神様のような中国系のおじいちゃんコンサルタントZhaoからのアドバイスを受けつつ学び成長していくというストーリー。 (このおじいちゃん、ぼくの脳内イメージでは映画「ベストキッド」に出てくるミヤギ老人に変換されてます)

なぜかアメリカのビジネス本はこの手の小説仕立てが多いようですね。「The Goal」や「Leadership and Self-deception」(67冊目に感想)とか。 本作、難しい修飾語などは使われておらず、英語の文章はかなり読みやすい部類でしょう。 ただ、かなり芝居掛かっただ言い回しが多い割には当たり前のことが書かれており、あまり大したこと言ってないような気がしました。 邦訳のレビューを見ると、評価が高いようですが、残念ながら自分にはこの本の素晴らしさに気づくことができなかったようです。 ただこのおじいちゃんコンサルが、主人公にいくつかの課題図書をオススメしているのですが、こちらは参考文献として役に立ちそうな気がします。「孫子(The Art of War)」(15冊目に感想)も紹介されていましたが、タイトルの「The Art of Profitability 」の由来でしょうかね。
(2004年発刊)


メモポイント
● 収穫逓増の原則。 臨界質量を超えると、顧客は集中する。

The more critical mass you build, the higher your probability of putting together a package that works.


● 過去にやってきたことはそれなりの理由がある。 そこを考えないで、なんでも新しいことに価値があると考えるのは早計である。

“I think that’s fair,” Zhao said gently. “And consider them from the point of view of the people you need to work with,” he added. “Most business people bring a lot of history to the decisions they make. It’s not very realistic to expect them to jettison it all just because a bright young man comes along with a good idea.”


● ビジネスマンにとっておおよそのサイズ感を持っておくことが大事。大間違いを防ぐために、正確な数字は必要ない。 確かに、経営者やFP&A担当者にはこのポイントは大きい。

It’ll get you a lot closer to winning. It’ll help you make slightly better decisions every day. And once a month, it’ll keep you from making a mega-mistake.


● 広告は継続的に行うことこそ、最も効果があるらしい。 累積的効果。
そして、自身を一つのブランドにしてしまう、これが効率的。


So I measured this for ten other pharmaceutical categories, then another ten outside pharmaceuticals. I found some fascinating stuff. With undifferentiated products, cumulative investment drives share. Ogilvy was right. The persistent spenders win out in the long run.
(中略)
“So there are efficient ways to build brand,” Steve observed. “Hyperefficient.”



小説仕立ての話としては、前述した「The Goal」(188冊目に感想)の方が、夫婦の危機を乗り越えるエピソードも盛り込まれてハラハラドキドキでもっと面白く感じました。 こちらは文句なしのオススメ!

The Art of Profitability

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