ジャンル; サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆
ジェームズ・ワトソン、フランシス・クリック、そしてモーリス・ウィルキンスらによって研究されたDNAの二重らせん構造発見の自伝ドキュメンタリー。 科学読み物というよりも、あまりにも生々しい科学者と言う名の山師達のノーベル賞争奪戦として楽しめた。
発見の功労者として、上記3人とは別にX線の解析学者ロザリンド・フランクリンという女性がいたのだが、実は彼女の研究結果をウィルキンスがそっとコピー取りして(つまり盗んで)まとめ上げた研究が1953年のネイチャー誌に1ページ余りの短い論文として掲載され、それが3人のノーベル賞につながっている。 ロザリンドも彼女のアプローチでDNAのらせん構造をある程度まで解明していた様だ。それにもかかわらず、堂々とこの自伝に自らを発見者としているワトソンの神経が凄い。(ロザリンドはノーベル賞の栄誉を受ける事なく癌で亡くなっている。 真の受賞者は演繹的手法による理論面のクリック、帰納的手法による実験面のロザリンドの二人であると主張する科学者も多いそうだ。つまりワトソンとウィルキンスは受賞資格無しという事。)
少し前のニュースで知ったんだけど、このワトソンさん、ノーベル賞のメダルを競売にかけて落札されたらしい。 常人には考えられない境地ですね。
メモポイント
● The instant I saw the picture my mouth fell open and my pulse began to race. The pattern was unbelievably simpler than those obtained previously (‘A’ form).
● I had decided to build two-chain models. Francis would have to agree. Even though he was a physicist, he knew that important biological objects come in pairs.
科学ドキュメンタリーはやはり自伝ではなく第三者によって描かれるべきですね。 (自己肥大人格者による自伝としての読み物としては面白いけど。) 本格的な科学ドキュメンタリーに興味のある方は、サイモンシンの三部作(フェルマーの最終定理、ビッグバン、暗号解読)がオススメ。
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