hearthのお気楽洋書多読ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (Twitter: @hearth2016)

What Is Intelligence? (James R. Flynn) - 83冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

  脳科学についてのマイブームはまだ続いてます。   本書は、副題「beyond Flynn Effect」 にあるようにフリン効果について書かれている。(2009年発刊)
(「The Overflowing Brain」(74冊目)でも少し触れた。)

  フリン効果って何?    それは過去100年ぐらいの期間に渡って、世界レベルで平均IQスコアが上昇している現象のこと。  現時点においてもそのハッキリとした理由は分かっていないらしい。    フリンさんの見立てによれば、社会が複雑化したり、教育制度の整備効果により、抽象的思考・論理的思考能力が鍛えられて認知能力分野(cognitive skill)を測るIQスコアが高まったのではとの事。 ただ「IQスコアアップ=賢くなった」という話ではなく、この100年程で爆発的に発達してきたテクノロジーの影響やらなんやらで、特定の分野に限って現代環境に順応するように脳が変化してきたと考えるほうが自然なようだ。   もしそうだとすれば、これは遺伝子が操る「進化」ではなく、トレーニングによる後天的な「能力強化」のニュアンスの方が近いですよね。


メモポイント

● IQスコアがアップする現象について、著者は4つの矛盾点を示し、それぞれに彼の考え(仮説?)を述べている。 その部分の引用を少しばかり。

We will address each of these paradoxes in turn but it may help to signal the solutions in shorthand: 

   (1) The WISC subtests (IQテストの事です) measure a variety of cognitive skills that are functionally independent and responsive to changes in social priorities over time. The inter-correlations that engender g are binding only when comparing individuals within a static social context.
(IQテストは同じ環境で暮らす集団の中での個別比較に使われる前提。 そもそも時間軸を飛び越えてスコア比較するようなことは考慮していないだろうな。)

   (2) Asking whether IQ gains are intelligence gains is the wrong question because it implies all or nothing cognitive progress. The twentieth century saw some cognitive skills make great gains, while others were in the doldrums. To assess cognitive trends, we must dissect “intelligence” into solving mathematical problems, interpreting the great works of literature, finding on-the-spot solutions, assimilating the scientific worldview, critical acumen, and wisdom.
(「IQスコアアップ=全ジャンルにおける知性向上」と考えるのは間違い。  単純に賢くなったと考えるのは危険!   向上が見られたのは特定の範囲だけ。 この2つは別の物として認識しよう。)

    (3) Our ancestors in 1900 were not mentally retarded. Their intelligence was anchored in everyday reality. We differ from them in that we can use abstractions and logic and the hypothetical to attack the formal problems that arise when science liberates thought from concrete situations. Since 1950, we have become more ingenious in going beyond previously learned rules to solve problems on the spot. 
(じゃあ、年々IQが上がるなら1900年代に暮らしていた我々のじいちゃんばあちゃん世代はバカってこと?      いえいえ、そうじゃありません。 知性は日々の暮らしで必要とされる要素に影響を受け開発されるので、どのような環境で暮らしているかが大事。 ニーズの無いところに向上なし。  パソコン、スマホが行き渡る現代の暮らしはその昔より抽象的思考が求められている。  巨人の肩に乗って遠くを見渡すように、先人たちの知性の積み上げの結果であるこの現代の環境の中にいるから、認知能力のアップが可能になるんだよなあ)

  (4) At a given time, genetic differences between individuals (within an age cohort) are dominant but only because they have hitched powerful environmental factors to their star. Trends over time (between cohorts) liberate environmental factors from the sway of genes and, once unleashed, they can have a powerful cumulative effect.
(双子のIQスコア比較の実験結果が示す様に、IQの高低は後天的な環境の違いよりも先天的、つまり遺伝子による影響の方がはるかに強いというのはほぼ共通認識のようだ。 でもそれは同じ時代の環境下での比較が前提なので、そもそも全く違う時代に育っていたとすれば、環境が与えるスコア高低の影響もかなり大きくなるのは当然だろう。)

    学術書に近いので少し読み辛かった。面白いたぐいの本じゃないので、フリン効果とIQの関係に興味のある方限定でオススメ。

What Is Intelligence?: Beyond the Flynn Effect

What Is Intelligence?: Beyond the Flynn Effect

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