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hearthのお気楽洋書多読ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (Twitter: @hearth2016)

Intelligence and the Brain: Solving the Mystery of Why People Differ in IQ and How a Child Can Be a Genius (Dennis Garlick) - 130冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★★☆

知性と脳の働きについて手当たり次第に読んでいた頃に出会った本の一つ。 かなり読みやすいです。 こういった科学読本系の中で、難しい専門用語が使われずシロウトにも読みやすいものがたまにあるのはありがたいことです。 (2010年発刊)

最初から最後まで「抽象化」(abstraction)について強調している本。 「知能が高い」とはこの抽象化能力が優れているということと著者は述べています。 個別の手続きを身につけても効率が悪いので、多くのケースを通じて「共通項の原理」を見つけることで、もっと汎用性の高い抽象化能力を身につけようということでしょうかね。
この本を読んでいてボルヘスの伝奇集(125冊目に感想)にある「Funes the Memorious」の話を思い出しました。 青年フネスは驚異的な記憶力の持ち主ですが知性はそれほど高くない人物として描かれています。 つまり個々の事例は写真のように記憶できるけれど、共通項をまとめあげて汎用化する抽象化能力が欠けていたということなのでしょう。


メモポイント
● 抽象的なものを理解するには知性を必要とする。 マニュアルなど具体的な方法を理解するには、さほど知性を要しない。

To put it simply, something becomes more difficult to understand the more “abstract” it is. Both children and adults can very easily understand concrete concepts such as an instruction to eat an apple or to kick a ball. On the other hand, if an instruction involves a more abstract meaning, understanding is much more of a challenge.
Indeed, a well-known survey of 661 intelligence researchers found that 99.3% of respondents believed that “abstract thinking or reasoning” was central to intelligence, more than any other characteristic.


● 情報をハイスピードで処理できるからといって、必ずしも高い知性を持つとは限らない。

even more problematic is that speed of information processing does not explain intelligence. (中略) This suggests that faster speed of information processing is not a sufficient explanation in itself for the superior ability to perceive or understand abstractions.


● ヒトの脳は、具体的な情報の大量インプットを通じて各ケースの共通点を拾いだそうとする。 そしてこのプロセスを通して、汎用性のある考え(抽象的概念)が少しずつ蒸留される。 と同時に、共通点の少ない「例外的な案件」情報はゴミ情報として捨てられる(捨象)される。 このようにして身についたシンプルな共通点ポイント(抽象的概念)は、まったく新たなケースに出くわした場合でも、中に隠された共通項を探し出して問題を理解する手がかりとなるのだ。 人工知能における機械学習の話しみたい。


● 知性が抽象的な概念を理解する能力のことを指すのであれば、それは大量の情報のインプットを通じてのみ得られる。 だからこそ、大量の情報に触れられるような環境の有無がポイントとなる。

exposure to schooling is what leads to the development of the ability to understand many abstractions. Natives from other cultures who are not given formalized education cannot understand these same abstractions, even though many adults exposed to a formalized education take them for granted. (中略)
So, again, the ability to understand abstractions is dependent on the environment.

● 抽象的概念が理解できるのは、たくさんの脳の神経細胞が相互に手を繋いで連結されている(ニューラルコネクション)状態にあるからということ。 この連結を形成するには時間がかかる。 しかしある意味、時間さえかけて連結状態を多く作れば、脳の能力には限界がないということにもなる。

Despite this, as is shown in Figure 7, even children with relatively low intelligence do eventually develop the required neural connections for many abstractions. This indicates that the development of the ability to understand abstractions is due to some shaping mechanism. If a child has difficulty understanding a particular abstraction initially, the neural connections will keep on changing until they can eventually understand the abstraction—it just takes them longer. So, there is no fundamental limitation in the brain that places a ceiling on the performance of someone with a lower IQ.


結構、興味深く読めましたが、他にはあまり著作がないようで、脳科学分野における著者の位置付けがよく分かりません。 学会において一般に受け入れられている方なのでしょうかね。

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