hearthのお気楽洋書多読ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (Twitter: @hearth2016)

Dear Enemy (Jean Webster) - 「続・あしながおじさん」 - 137冊目

ジャンル: 小説(児童)
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★★☆

あしながおじさん」の続編ですが、本作の主人公はあしながおじさんと結婚した前作の主人公ジュディではなく彼女の親友サリーです。

ぺンディルトン(あしながおじさんのこと)夫人となったジュディは、自身が育ったジョン・グリア孤児院を改革する権利を、パトロンである夫からプレゼントされました。 そしてその改革を進める院長の職を親友のサリーに託します。 裕福で家柄も育ちもよい若きサリーはこの旧態依然として旧習に囚われている孤児院の世話をしぶしぶ引き受けることに。 自分は将来、素敵な恋人(ゴードン)と一緒になり夢の家庭を作るという理想を持っていたサリーでしたが、ツンデレのマックレイ医師や友人のベッツィと力を合わせて孤児院を改革するという仕事がだんだん面白くなり、やがて100人を超える孤児たち一人一人の幸せを母親のように祈るまでになり、たくましく成長していくというお話。(1915年発刊)

原題は「Dear Enemy (親愛なる敵さん)」。 サリーとは水と油でソリの合わない関係でありながら、同じく孤児院の改革に情熱を燃やすマックレイ医師。 そんな彼に対して手紙を送る時の書き出しです。 前作の「あしながおじさん」も愛らしいストーリーではありますが、どちらかというと王子様がどこからか現れて迎えに来るという受動的なストーリー。 本作はサリーが仕事に恋にと悩みながらも、果敢にみずからの道を切り開いていく過程を、前作と同じく手紙のやり取りのみで表現しています。 サリーが書く手紙は若くて元気な女性のみずみずしい感性が溢れており、前作よりもこちらの方が名作という人がいるのも納得です。


メモポイント (ネタバレ注意)

● 前作「あしながおじさん」で紹介したキンドル版は作者ウェブスターの挿絵がないものでした。 で、今回は挿絵付き版です。 このヘタウマイラストがないと魅力が半減。
↓は孤児たちのパンチとサディ。 お招きされた豪邸でパンチが池にハマってサディが横から見てるの図。 沢野ひとしさんの描くような味がある絵です。
f:id:hearthlife:20170522121532p:plain

精神疾患に対する誤解に基づいた記述がかなりキツいです。 現在ではこの差別的表現そのままでは出版できないんじゃないでしょうかね。 「チビクロサンボ」問題のレベルなどをはるかに超えているように感じました。 この時代ではこれが一般常識として認知されていたのでしょう。 この問題のために本作があまり取り上げられなくなっているのだとすれば、かなりもったいないことです。

Five other children have been sent to their proper institutions. One of them is deaf, one an epileptic, and the other three approaching idiocy. None of them ought ever to have been accepted here. This is an educational institution, and we can’t waste our valuable plant in caring for defectives.


● サリーが孤児院から里子を出すときに、彼女自身で決めたルール。 その意気や良し!

I have made one invariable rule—every other is flexible. No child is to be placed out unless the proposed family can offer better advantages than we can give.


● サリーがジュディに書いた手紙。 サリーだって、辛くなって逃げ出したいと思う夜はある。 それでもこんな想いがあるから頑張ることができる。113人の子どもたちを抱き締めたい。

You, my dear witch, cast a spell over me, and I came; but often in the night watches your spell wears thin, and I start the day with the burning decision to run away from the John Grier Home. But I postpone starting until after breakfast. And as I issue into the corridor, one of these pathetic tots runs to meet me, and shyly slips a warm, crumpled little fist into my hand, and looks up with wide baby eyes, mutely asking for a little petting, and I snatch him up and hug him; and then, as I look over his shoulder at the other forlorn little mites, I long to take all 113 into my arms and love them into happiness. There is something hypnotic about this working with children. Struggle as you may, it gets you in the end.


● 後半のヤマ場。 サリーの想いがマックレイ医師(Sandy)に流れはじめた。 彼は苦しそうに伝える。「サリー、私の心が鉄でできているとでも思っていたのですか?」

Poor Sandy looked sort of ashen and haggard and done with life. As I looked at him, I thought about how desperately he worked to save others, and never saved himself, and about that dismal home of his, with never a touch of cheer, and the horrible tragedy in the background of his life. All the rancour I’ve been saving up seemed to vanish, and a wave of sympathy swept over me. I stretched my hand out to him; he stretched his out to me. And suddenly—I don’t know—something electric happened. In another moment we were in each other’s arms. He loosened my hands, and put me down in the big arm-chair. ‘My God! Sallie, do you think I’m made of iron?’ he said and walked out. I went to sleep in the chair, and when I woke the sun was shining in my eyes and Jane was standing over me in amazed consternation.


子供達のことも慈しむが、滅私奉公ではなく、自分らしさを忘れない。 現代女性の理想の働き方がここにあるのでは。 恋と仕事のはざまに悩みながらもユーモアを忘れないタッチは今の時代に読んでもまったく古びておらず生き生きしている。 仕事にがんばる若い女性必読の書。 恋に恋するのではなく、本当に素晴らしいパートナーを選ぶべく悩み続けるサリーが描かれています。
有川浩の「図書館戦争」のような甘酸っぱくてキュンキュンするストーリーが好きという方にはオススメです。

Dear Enemy

Dear Enemy

にほんブログ村 本ブログ 洋書へ
にほんブログ村


洋書ランキングへ