hearthのお気楽洋書ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (ツイッターは、hearth@洋書&映画)

41 Stories (O. Henry) - 「O.ヘンリー短篇集」- 159冊目

ジャンル: 小説 (古典名作)
英語難易度: ★★★
オススメ度: ★★★☆☆

いま、「賢者の贈り物」を題材にした通販カタログのテレビCMが流れていますね。 あまりにも有名な話で今さら感があるかもしれませんが、じっくり読んだ方は結構少ないのではないでしょうか。 改めて読むとペーソスたっぷりでなかなかイイ!
この本には41の短編作品が収められています。 むかーしむかしにペーパーバックで買ったのですが、言い回しがあまりにも難しく読んでは閉じて本棚にしまい、またチャレンジとばかり引っ張り出して読み始めてと、完読するのにとても時間がかかったことを覚えています。やっと読み終わった頃には酸性紙だったためか紙がポロポロと崩れていく有様。 本棚が紙のクズでこなこなになってしまいました。
ここまで時間がかかった理由は単純に単語が難しかったということ。 当時は洋書を読み始めた頃で、「英語の教科書にも載るような話だし初心者向けだろう」と想像して買ったんですが、なかなか手強かった。 が、好きな話がいっぱいです。


メモポイント
● O.ヘンリーと言えば「The Gift of the Magi (賢者の贈り物)」や「The Last Leaf (最後の一葉) 」が有名です。 この二作品ほど有名ではありませんが、特にぼくが好きなのは「Springtime a 'la Carte (アラカルトの春)」。 フリータイピストの女の子、サラの話です。 一年前の夏、サラは旅行先で偶然出会った農夫ウォルターと恋に落ち、そしてプロポーズされる。 夢心地で町に帰ってウォルターのお迎えを待つサラ。 しかしこの春に迎えにくる約束のウォルターからの便りが途絶えてもう二週間にもなってしまった。 心細く思う彼女はタイプの仕事も手につかず悶々とした日々を過ごす。 仕事を頑張らなきゃと思うのだが、思わず原稿に落ちてしまう涙が止まらない…サラを待っていた運命とは。 ラストの一文はグッと来て秀逸。 この短い文章にドラマを盛り込む手腕はまさに名人芸! 引用するとネタバレなので、未読の方はぜひ読んでみて下さいね。


● 「A Retrieved Reformation (よみがえった改心)」 こちらも有名で、英語の教科書でご存知の方も多いと思います。 金庫破りから足を洗ったジミーとそれを追う刑事ベンの物語。 ジャンバルジャンみたいな話。 すごく単純なストーリー展開なのに、ジワっときてしまう。 めっちゃカッコいい。

" Can't you do something, Ralph--, try, won't you?"
He looked at her with a queer, soft smile on his lips and in his keen eyes.
"Annabel," he said, "give me that rose you are wearing, will you?"
Hardly believing that she heard him a right, she unpinned the bud from the bosom of her dress, and placed it in his hand. Jimmy stuffed it into his vest-pocket, threw off his coat and pulled up his shirt- sleeves. With that act Ralph D. Spencer passed away and Jimmy Valentine took his place.


こんなに短い文章なのにメリハリがあり、ホロっときたりどんでん返しありと、オチが効いている。 まさに短編の名手です。

「二人は浅はかにも自分たちが持っていたそれぞれの宝物を失ってしまいました。しかし贈り物をする人たちの中で、このような人たちこそが最も賢い人たちなのです。 そう、彼らこそ賢者なのです。」
「賢者の贈り物」のラスト(うろ覚えの訳ですが) です。 この前段部分に来るシーン、真実を知って泣き笑いになった時の二人の心理描写が映画を観ているようで印象に残ります。

どうやら「最高の贈り物」とは形のないものだったようですね。

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