ジャンル: 小説(歴史)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★☆
Julius Caesar: The Rubicon Crossed - The Story of the Roman People vol. V
- 作者: Nanami SHIONO
- 出版社/メーカー: SHINCHOSHA Publishing Co., Ltd.
- 発売日: 2014/11/28
- メディア: Kindle版
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● 征服した後に逃がしてやった敵の将軍がまた反旗を翻しても彼は一向に気にせず、また征服し、また逃がしてやる。 通常人の度量とはケタ違いだ。 それは彼がカエサルだからである。 カエサルであるがゆえに器が違う。 そもそも自分は誰よりも優れているのだから周りの劣った人間に怒りも持つ訳がないし報復も必要ない、と彼は考えていた。
● 彼の凱旋行進の時のエピソード。彼の部下達が勝利の喜びのあまり「おい、ハゲで女好きの将軍がお通りだ、女房を隠さないと奪われちまうぞ!」と囃し立てた。 最高司令官に対してのあまりにも行き過ぎた口振りだが、12年間の遠征で苦楽を共にした部下達は、皆が心酔する司令官が苦笑しながらも認めてくれる事をよく分かっていたのだ。
● ローマはそもそも異国風習には寛容な文化があった。それにしてもカエサルがガリア遠征で征服した部族の酋長達をすぐにローマの元老院に取り立てたのを見てあまりにも開放的でこだわりのない政策に周りは驚いた。
● 彼のガリア戦記は名文で有名。簡潔で明瞭。現存する彼の書簡もまた簡潔なものだ。長くても半ページ、短いと3行とか。 一方、ブルータスの手紙はやたら長かったらしい。
ここまで魅力ある人物はそうはいない。 ハンニバル、スキピオ、カエサルの3人を堪能できたので、カエサル亡き後の「ローマ人の物語」は少しだれそうなので、いったんシリーズは休止するつもり。