hearthのお気楽洋書ブログ

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The Selfish Gene (Richard Dawkins) - 「利己的な遺伝子」- 53冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★☆

  ミツバチの働きバチは女王バチのために自分は子作りもせず献身的にその人生を仲間のために捧げる。( 働きバチはみんなメスです)   本能のままで行動するはずの動物の中でも、まわりの仲間のために自己犠牲と見られる行動を取ることがある。 なぜなんだろう? 自分の遺伝子を残そうとするならば、我中心で動くはずなのに…      

リチャード・ドーキンスによる目からウロコ本、「利己的な遺伝子」(1976発刊)。  科学読み物としては類の無い面白さだ。 

   個としての生命体はあくまでも乗り物(ビークル)であって、「中の人」は遺伝子だった。  遺伝子自体は意思を持たないが、グループで共通の遺伝子を一番多く残す様な選択をする事、それを本能の行動としてあらかじめプログラミングされているという事らしい。ミツバチのケースでも自分で繁殖して50%分の自身の遺伝子を残すよりも、女王バチに自分の姉妹を多く作ってもらった方がグループ全体のでは共通の遺伝子のコピーが残る確率が高くなるからだそうだ。 自分のために動くのか、それとも仲間のために犠牲になるのか。この選択(実際は選択ではなく本能として)の境目は遺伝子を多く残そうとする機械的な算術計算による。 その行動を促す動機付けが、人間の親子間で言えば、「親子愛」という感情として本能にプログラミングされている。 進化には情緒もへったくれも無い。

メモポイント
●  German ornithologists who referred to foster-parents as behaving like ‘addicts’ and to the cuckoo nestling as their ‘vice’. It is only fair to add that this kind of language finds less favour with some modern experimenters. But there’s no doubt that if we do assume that the cuckoo’s gape is a powerful drug-like super-stimulus, it becomes very much easier to explain what is going on.

 (なるほど。我が子に対する母の愛はまさに本能。 その本能に促された母の行動が本質的にその子にとって良い事であるかどうかとは関係無い)

● One important thing about a ‘bottlenecked’ life cycle is that it makes possible the equivalent of going back to the drawing board.

(非常に複雑な組織を持つ現存の高等生物も、最初は一つの細胞から生まれている。なぜか? それは何かトラブルがあった場合に、スタート時点に戻り進化のやり直しを行えるように機能を残しておくためなのだ。)

  個々人の命は単なる「生存機械(乗り物)」であり、親子間、家族間の愛情も実は共通遺伝子を残すための本能行動だと言われると味気なく詫びしくもあるが、抗えない説得力がある。  今までの道徳的価値観が揺らいでしまう程の、大いに刺激を受けた一冊。

The Selfish Gene: 30th Anniversary edition

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