hearthのお気楽洋書ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (ツイッターは、hearth@洋書&映画)

Hyperion (Dan Simmons) - 「ハイペリオン」- 123冊目

ジャンル: 小説(SF)
英語難易度: ★★★
オススメ度: ★★★☆☆

それなりに面白く読めましたがそれにしても長いですね。「ハイペリオン」、続編の「ハイペリオンの没落」ともに、このタイトルはジョン・キーツの叙情詩から取っているそうです。(もちろん読んだことありませんが…) ホラー、純愛、ハードボイルドなど、いくつかのテイストの異なる短編SF小説の集合体の様な体でできています。

時は28世紀。 人類が地球を飛び出し何百もの惑星に移住しコロニーを形成した後の未来世界。 それらのコロニーの間で宇宙連邦政府が形づくられており、farcasterと呼ばれる「どこでもドア」で瞬時に惑星間を移動することが可能となった。 この複雑な仕組みを統合し機能させているのが、既に人類と同等以上の存在感を持つにいたったテクノコアと呼ばれる人工知能だ。 ただこの全知全能のテクノコアをしても制御できないものがある。 その名は辺境の地にある惑星ハイペリオン。 そこにはTime tomb という時の流れを逆行させる聖地があり、シュライクという殺戮怪物が封印されている。 このtime tombに異変が起こり、シュライクが解き放たれたとの一報が入る。 宇宙連邦政府CEOは事態を探るべく7人の巡礼者をハイペリオンに送り込んだ。(ちょっと「赤影」のオープニング・ナレーション風に) ハイペリオンに向かう途中、彼らはなぜ自らが巡礼者になるにいたったかについて、それぞれの過去の話を語りはじめる…
(1989年発刊)


メモポイント

● Comlog っていう小さな携帯コンピュータの様なガジェットが出てくるんだけど、これってまさにスマホの事じゃないですか。事典にもなる、自動翻訳機にもなる。おまけに物語には Siri(女性の名前)も登場。

● 表紙のトゲトゲのアリジゴクみたいなウニ男が多分、宇宙怪物シュライク。以下は登場シーン。
I had no doubt that I was looking at the legendary Shrike. At that moment I must have moved or made a sound, for large red eyes turned my way and I found myself hypnotized by the dance of light within the multifaceted prisms there: not merely reflected light but a fierce, blood-bright glow which seemed to burn within the creature’s barbed skull and pulse in the terrible gems set where God meant eyes to be.

● 第一章は司祭の話。 ホラー満載。 ラストのイメージは画像が目に浮かんでゾッとしました。

● 二章は兵士の話。 戦記物。イギリスの白激戦。ハンニバルスキピオの戦いみたいです。

● 三章は詩人の話。叙情的。マーティン・サイナラスは詩人。 詩的表現なんでしょうが、単語がやたらと難しく比喩も多くて読むのがシンドイ。

● 四章は老学者の話。 レイチェルの両親(学者と音楽家)の出会いのエピソードがかわいい。「博士の愛した数式」みたいで、詳しくは書けませんが、レイチェルと両親の毎朝の「儀式」を考えると泣けてきます。家族について深く考えてしまいました。 一番好きで一番悲しいエピソード。

● 五章は探偵娘の話。 ハードボイルド小説。 急にチャンドラー風の文体になるのが可笑しい。シンギュラリティ以降の人工知能のたどる行く末。

● 六章は領事の話。 ロバート・ヤングの短編で似た様な話を読んだ気がしますが。 ローマ帝国とその同盟国にも似た感じの舞台設定。


英文自体はそれほど難しくないんでしょうが、なんせSFに特化した単語がわかりません。 もっとこのジャンルの本をたくさん読んでいればずいぶん違うんでしょうねー。 なおこの話はこれで完結しません。 ただの序章でありさらに長く続くので、チャレンジする人は覚悟して読んでください! ラストはいかにも「俺たちの旅は続く。 続くったら続く」って感じ。

それでは、See you later, alligators!

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