hearthのお気楽洋書ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (ツイッターは、hearth@洋書&映画)

Blondie 24 (David B. Fogel) - 162冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

ブロンディといっても「夢見るNo.1」を歌うわけではありません。

何年か前、近くの図書館の処分本コーナー(ご自由にお持ち帰り下さいってやつ)に入っていた本。 洋書を持って帰る人はあまりいなかったようで、ずっとコーナーの片隅に捨てネコのように残っていました。 正方形に近い変わった形をしたこの本の表紙の赤と黒のしゃれたデザインと謎の美女の写真に惹かれて、何の本かも知らぬまま「ウチの子になるかい?」と家に持ち帰ったのでした。

読んでみて初めてわかったボードゲームのチェッカー対戦用の人口知能(AI)を開発していく話 (著者自身が開発に参加)。  表紙の赤と黒は、日本ではあまり馴染みのないこのゲームに使われるボードの意匠だったようです。

ここ数年で話題となっているAIブームよりもずいぶん前に書かれたものですが、プログラム自らが学習して生物のように進化していく「learning machine」のそのプロセスが面白い。(ダーウィンの進化論になぞらえています)。 チェッカー名人の指し手を研究したり戦略に基づいて手を決めるのではなく、Random Variation (ランダムにトライ&エラーを繰り返してゲームを学習していく)、とNatural Selection (適者生存の法則により良い手だったもののみを残す)のルールに基づいています。 「天才頭脳」というよりも、根気よくあらゆる指し手を試していくまさに筋肉でできた脳のような「ちからワザ (blute-force)」の世界。  基礎的で単純な情報処理の手続きにも関わらず、この電脳美女Blondie24(このAIのインターネット上のユーザーネーム。 表紙の写真は彼女のイメージでした)はメキメキと強くなっていきます。 AIやコンピュータサイエンスの素人のぼくにでも楽しんで読むことができ、知らず知らずのうちにニューラルネットワークの話やアルゴリズムについて学べました。 AIに興味がある初学者にはイチオシのおススメ本です。 (2001年発刊)

併せてオススメは、ワトソン君が登場する「Final Jeopardy 」(28冊目に感想)と、アルゴリズムのお話の「Automate This」(38冊目)

イライザ婆さんからブロンディ母さんを通じて娘のシリに至る電脳女系一家に想いを馳せて。

Blondie24: Playing at the Edge of AI (The Morgan Kaufmann Series in Artificial Intelligence)

Blondie24: Playing at the Edge of AI (The Morgan Kaufmann Series in Artificial Intelligence)

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