hearthのお気楽洋書ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (ツイッターは、hearth@洋書&映画)

The Elements of Style (William Struck Jr. / E.B.White) - 169冊目

ジャンル: その他
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★☆☆

ずいぶんと昔の話です。 新卒で会社に入ってから10年ほど経った頃でしょうか、人事異動で職場が変り、カナダ人の上司の下で働くことになりました。 仕事で英語を使わざるを得ない状況になったのです。 それまでずっと英語と無縁の環境にいた純国産人間でしたので、読むのも書くのも聞くのも話すのもダメダメの四重苦。 その上司はとても明るく気さくな良い方で気を遣ってゆっくり話しかけてくれたのですが、ぼくにベースとなる英語知識がないので何を言っているのかさっぱり分かりません。ぼくはひたすら「微笑みの国の人」となりちょっと困ったようなあいまいな笑顔を浮かべるばかり。 英文メールを書く必要も出てきました。 パソコンの前で沈思黙考すること一時間あまり。 ネバってひねり出したのがたった数行の英文メール… 「拝啓、拙者○○と申す者で御座候。 皆様方におかれましてはますます御健勝のことと…」 って、時代劇かいな? きっとこんな感じのイメージの英文だったでしょうね。 落語の「延陽伯(たらちね)」のようなもんです。受け取った相手はきっと驚いたことでしょう。

「これはいかん。早く何とかしなきゃ引導を渡されてしまう」 まったくのカナヅチが嵐の海に突き落とされたような悲壮感が漂っていただろうと思います。 情けなさのあまり、洋書を読んだり英語のテープを聞いたりとアレコレもがき始めました。この本も英文を書くならコレがオススメという事で、当時高い評判に惹かれてすがりついた本でした。

この本を手にした方はご存じでしょうが、これは英作文に限らず、日本語で作文した場合にも当てはまる、分かりやすい文章の黄金律が書かれています。(1918年発刊)


以下、メモポイント

● まずは書く前のプランニング、これが大事。

planning must be a deliberate prelude to writing.


● 単一のトピックは単一のパラグラフで。

Thus, a brief description, a brief book review, a brief account of a single incident, a narrative merely outlining an action, the setting forth of a single idea—any one of these is best written in a single paragraph.


● 肯定文で書け。 明確に意図を伝えろ。

Put statements in positive form.


● クリアで具体的な言葉を使え。

Use definite, specific, concrete language.


● 不要な言葉を入れるな。 絵画や機械に余分な線や部品が無いのと同じ。

Omit needless words.

for the same reason that a drawing should have no unnecessary lines and a machine no unnecessary parts.


● 締まりのない文章をダラダラと続けるな。下手な書き手は、接続詞等で文を長くしてしまうきらいがある。

Avoid a succession of loose sentences.

An unskilled writer will sometimes construct a whole paragraph of sentences of this kind, using as connectives and, but, and, less frequently, who, which, when, where, and while, these last in nonrestrictive senses. (See Rule 3.)


● 対等レベルの複数アイデアは同じ形式で表現しろ。

Express coordinate ideas in similar form.


● 強調したい言葉は文末に。

Place the emphatic words of a sentence at the end.

この本は評判に違わず名著だと思います。 ただ当時の四重苦状態のぼくにとって、あせりと勢いのみで買ったこの英文で書かれた参考書がすぐに即戦力になるはずもありませんでした。 その後も英語に苦しむ日々が数年間続きました。 (あっ、もちろん今も修行途中ですが…) ヒィヒィ言いながら悪戦苦闘しているうちに、ちょっと希望の薄日が射してきたかな、と感じ始めたのは、英語の例文を必死で暗記して、それが1000個ぐらいに達しようかとする頃でした。 それらの例文をいろいろと組み合わせてメールを書いたり話したりして、上司や海外の人と最低限の意思疎通をはかることができ始めた頃は、ただもう嬉しくて嬉しくて、世界がパッと開けるような思いでした。 例文の暗記、英語の世界に慣れる取っ掛かりとしては、今思い返せばこれが一番役に立ったような気がします。 で、この本はしばらくお蔵入りだったのですが、ずっと後になってキンドルで再購入。 やっと書かれている文章の意味がなんとなく分かるようになりました…

この辺りのポイントをキチンとカバーしている本としては、ブルーバックスの「理系のための英語ラィティング上達法」(倉島保美・著)をオススメします。 この本は理系の人に限らず、すべての英文の書き手に重宝されるお役立ち本ですよ。 何よりもまず、これは日本語で書かれてありますからね…

The Elements of Style (annotated) (English Edition)

The Elements of Style (annotated) (English Edition)

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