ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★★
オススメ度: ★★★☆☆
臨床心理学の専門書、デデーン! と、仰々しく上げましたが、正直言ってちょっと専門的に過ぎました。 僕には難しかったようです。(1989年発刊)
カール・ロジャーズ氏。 「プロカウンセラーの聞く技術」の著者、東山紘久さんのお師匠さんだそうです。 アメリカの著名な臨床心理学者でカウンセリングの手法を確立したエライ人。 東山さんの「聞く技術」があまりにも腹落ちする良書だったのでお師匠さんの本はどんなんかなーと思い手にした本です。 「聞くこと」は受け身ではなく「話すこと」よりも遥かに能動的であり難しいということ、それから人というものは基本的に自ら良くなろうとする何物かが元来備わっているもの、そのように言われている様に感じました。 対象者を「患者」と呼ばず「クライアント」と呼んだのも彼が最初だそうです。 人への信頼がロジャーズ氏のベースにあるように思います。
カウンセラーがクライアントの話を聞く際に重要なポイントがあるそうです。 それは相手の話に誠実に耳を傾ける事は大事だが自身の感情や考え方のフィルターを通さずにそのままを受け容れるという事。 また東山さんの「聞く技術」の本の話になりますが、印象に残った一節を書いておきます。 人の意見が自分の意見と異なるからといって話を拒絶してしまうケースがありますが、他人の意見は他人のもの。必ずしも自身の意見と一致させる必要はなく、それが元で負の感情を持つ必要もありません。これはカウンセリングでなくとも普通の会話にも当てはまる真理だと思いました。
● 「たとえば 、話し手 A氏が 「自分はジャムパンが好きだ 」と言ったとしましょう 。聞き手のあなたは 、 「この人はジャムパンが好きなのだ 」と聞きます 。これは 、あなた自身がジャムパンを好きかどうかは関係ないのです 。あなたはジャムパンが好きでなくても 、 A氏がジャムパンを好きだということは肯定できるでしょう 。相手が 「ジャムパンが好きなこと 」を否定する必要はありません 。じつにあたり前のことなのです。
(略)
気をつけたいのは 、聞き手はうわべだけを聞いておけばよい 、というのではありません 。ぐちを自分の心の中に入れないことです 。自分自身の気持ちとそのぐちを関係させないこと 、そしてぐちの対象になっている人をかばわないことです 。そして何より親身になって聞いてあげることが大切です 。ぐちの聞き方は避雷針と同じです 。自分にぐちを積極的に落としてもらうのです 。そして自分の心のなかにためこまず 、そのまま地中へと吸収させるのです 。」
「聞く」ことはまさに能動的な技術なんだー、と思いを深くした今日この頃でございます。(枝雀寄席風に)
- 作者: Carl R. Rogers
- 出版社/メーカー: Constable and Company Ltd
- 発売日: 2007/01
- メディア: ペーパーバック
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