hearthのお気楽洋書ブログ

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How to Lie with Statistics (Darrell Huff) - 「統計でウソをつく方法」- 244冊目

ジャンル:  サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★☆☆☆

 それほど目新しい話はありませんでした。ビル・ゲイツのオススメ本の一つなので手にしましたが、かなり古い本なので扱っている事例がピンと来ないのです。出版された1950年代当時は斬新な視点と切り口だったのでしょう。

 それでもなお今でも時々目にしますが、ちょっとヤバい系のスタートアップの会社が示す自社プレゼン用のパワポ資料には、こういったテクニックが満載です。売上額が年々増加しているグラフは、よく見たらグラフの目盛の取り方がおかしかったり、業績が伸び始めた年度からのグラフだったり。スタートの座標軸をゼロにしてみると伸びているどころかほとんど横ばい。年度を遡ると右肩上がりではなかったり等々。少し注意してみればすぐに分かりそうなものですが、読み手が気をつけないと、何となく「売上が伸びているんだな」という曖昧なイメージだけが残ってしまう。テレビのニュース解説で出されるグラフのフリップなども要注意ですね。円グラフの楕円形が異常に歪んでいたりします。画面に一瞬で映されてもじっくり見る時間が無いから、簡単にメッセージの送り手の思惑に誘導されてしまいます。
  この辺りは、現代を生きる社会人としての最低限理解しておきたい基礎知識って感じでしょうかね。
(1954年出版)


メモポイント
⚫︎ 統計の母数を選ぶ際には慎重に。適当だと思っていてもどうしてもバイアスが入りがち。
世間一般の意見を吸い上げるために、様々な人が訪れる大きな駅を選んだインタビュアー。しかしこの時点で、小さな子供を持つ在宅の母親達の意見は排除されている。

  One interviewer for an opinion poll said that she got her people in a railroad station because “all kinds of people can be found in a station.” It had to be pointed out to her that mothers of small children, for instance, might be underrepresented there.)


⚫︎ 「なんちゃって統計」データに騙されない五つのポイント。

  you can prod the stuff with five simple questions, and by finding the answers avoid learning a remarkable lot that isn’t so.

  • Who Says So? (誰がそう言ってるの? 送り手の恣意性が入ってない? 都合のいいように誘導しがち)
  • How Does He Know? (どうしてそれが信頼できるレベルの多数の意見を反映していると言えるの? 未回答の意見は切り捨ててないか? 実際は有効回答率が5%だけだったりとか)
  • What’s Missing? (都合の悪い情報は切り捨ててないか? 売上が伸びた年度からしか示していないグラフとか)
  • Did Somebody Change the Subject? (対象とするデータの選定がそもそも合ってないんじゃない? 中国で取った人口調査で大きな乖離があった。一つは徴税・徴兵目的、そしてもう一つは飢饉対策の補助金支給目的)
  • Does It Make Sense? (そもそも統計データから導き出す結論が理屈に合ってないんじゃないか? 「この商品の売上は過去3年で進捗率10%、なので今後10年をそのまま伸ばすと…」なんてね。あり得ません。)


  統計の錯覚を狙った本であれば、Kaiser Fungの「Numbers Rule Your World (ヤバい統計学)」(90冊目)、Nate Silverの「The Signal and the Noise (シグナル&ノイズ)」(4冊目)、Steven Levitt「Freakonomics (ヤバい経済学)」(156冊目)、あとIan Ayresの「Super Crunchers (その数学が戦略を決める)」(170冊目)辺りの方が面白くてオススメです。

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