hearthのお気楽洋書ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (Xは、hearth@洋書&映画)

The Cold Moon (Jeffrey Deaver) - 「ウォッチメイカー」- 222冊目

ジャンル: 小説(ミステリー)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★☆

先日、話題の映画「カメラを止めるな!」を観ました。 これはもうなんて言っていいか、まあ一言で言えば素晴らしく面白かったのです。ストーリーは単純。 あるB級ゾンビ映画を撮影するために人里離れた山奥に来たスタッフが本物のゾンビに出くわして、というかなり平凡なホラーストーリー。 しかしこれは、この映画の最初の30分と残りの部分でまったく別物、というか二部構成になっていて、この展開が見事としか言いようがないのです。 ネタバレになってしまうのであまり詳しくは書けませんが、最初の30分までは「ふーん、なぜこの映画がここまで話題になるんだろう?」と思うのですが、残りの時間をかけてすべてのナゾを解く、というかすべての伏線をキレイに回収していく、その構成の切れ味が爽快なのです。

でなぜ、この映画の話から入ったかというと、まさにこの作品「The Cold Moon」の伏線の張りめぐらせ方とその回収の仕方が素晴らしいのです。 どんでん返しというか息つく暇のないハラハラの展開、そしてすべての辻褄がもれなくピッタリ合った時のゾクゾクする感じがたまりません。

車椅子の四肢麻痺の名探偵リンカーン・ライムと助手兼恋人の美人刑事サックス。 このコンビがウォッチメイカーと名乗る残忍な猟奇的殺人鬼の犯罪を防ぐべく推理を駆使して立ち向かう。 さらに今回は容疑者へのインタビューを通じて、態度や口調などから相手のウソを見抜く専門家キャサリン・ダンスが登場! 彼女のキャラクターがまたエッジが効いていて良い。容疑者を追い詰めるところ、ちょっとコロンボみたいな感じ。天才ライムをして「秘密兵器を差し向ける」とまで言わしめた女性。変わり種の捜査官。 彼女が主役の本が読みたいと思ったら、既にスピンオフ作品がシリーズ化しているそうです。 以前にJoe Navarroの「What Every Body is Saying (FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学)」という本を読みましたが(43冊目)、このジャンル、もう少し掘り下げてみたいです。
(2006年発刊)


メモ (少しネタバレあります)

● キャサリン・ダンス捜査官の質問技術。 ベースラインとは、普段の会話から通常レベルの相手の反応を覚える作業。

She asked a few more questions about his business, filing away a library of gestures and glances and tones and words –establishing the baseline for his behavior.


● ロンはライムとずっとコンビを組んできたニューヨーク市警察の警部。 もしサックスに万が一の事があればどうなるか、ロンはよく分かっていた。危険な任務に就こうとするサックス捜査官に。「いいな。決して無茶をするな。もしお前になにかあったらライムは俺を決して許さないだろう」

They won’t think twice about tossing your body into the trunk of a car at JFK long-term parking . . . God bless you, kid. Go get ’em. But be careful. I don’t want to have to go breaking any bad news to Lincoln. He’d never forgive me.’


● ダンス捜査官、この冴えた観察眼、カッコいい。
Agent Dance glanced at the officer and nodded toward Vincent. ‘He was doing a good job until we got into the diner. Once we sat down I knew he was faking.’ ‘No, you’re crazy. I—’ She turned to Vincent. ‘Your accent and expressions were inconsistent and your body language told me you weren’t really having a conversation with me at all.


● ネタバレになるので、未読の方はここは読まないで下さい。とても素敵なシーンなのでメモに残したかった。

Sachs lowered her head. Then she gave a soft laugh. ‘Dad was always the modest one. It was just like him –the highest commendation he ever got was secret. He never said a thing about it.’


読み進めるにつれて、犯人の検討がついてきてもう終わりかなと思っていると、まだ随分とページが残っている。 なにーっ、まだなにかあるの? このもどかしさ。 そして、まさかこんな展開とは。 ラストの余韻も素晴らしい。 これは文句なしの徹夜本でしたよ。 おかげさまで寝不足です…
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The Cold Moon: Lincoln Rhyme Book 7 (English Edition)

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