hearthのお気楽洋書多読ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (Twitter: @hearth2016)

Genius - The Life and Science of Richard Feynman (James Cleick) - 178冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

ファインマンさんシリーズ」の大ファンであるがゆえ、このような本も読みました。 彼の伝記です。 ある程度、量子電磁力学など物理学についての知識がないと少ししんどいかもしれません。 (ぼくはテクニカルな部分はスーッと読み飛ばしてしまいましたが…) 彼に関する話を初めて読まれる方には「ファインマンさんシリーズ」(134冊目、173冊目)の方をオススメ致しますよ。 ロスアラモス研究所での原子爆弾の開発(マンハッタン計画、トリニティ実験)や、金庫破りのエピソード等々、「ファインマンさんシリーズ」を読んだ方にはお馴染みのお話です。(1992年発刊)

自身による回顧録である「ファインマンさんシリーズ」と比べてみて、本書は他者の視点を通す事によって本人の姿が比較的にフェアに描かれていると感じました。 (「ファインマンさんシリーズ」は著者としてファインマン自身の名前がクレジットされていますが、実際には友人であるラルフ・レイトンが聞き書き・編集しているので純粋な自伝とは言えないようです。)


メモ
ファインマンは相手が何日も何ヶ月もかけて解こうとしている物理学の難問について、全ての説明を聞く前に魔法のように謎解きをして見せることがありました。 才能の違いを見せつけられるようで、聞いている方はたまったもんじゃないでしょうね。 天才風に見せる彼独特の「演出」だったのかもしれません。

If the most distinguished physicists and mathematicians believe in the genius as magician, it is partly for psychological protection. A merely excellent scientist could suffer an unpleasant shock when he discussed his work with Feynman. It happened again and again: physicists would wait for an opportunity to get Feynman’s judgment of a result on which they had staked weeks or months of their career. Typically Feynman would refuse to allow them to give a full explanation. He said it spoiled his fun. He would let them describe just the outline of the problem before he would jump up and say, Oh, I know that ... and scrawl on the blackboard not his visitor’s result, A, but a harder, more general theorem, X. So A (about to be mailed, perhaps, to the Physical Review) was merely a special case. This could cause pain. Sometimes it was not clear whether Feynman’s lightning answers came from instantaneous calculation or from a storehouse of previously worked-out—and unpublished—knowledge.


本書、タイトルはGenius(天才)です。 彼の類いまれなる好奇心と明晰な頭脳がGenius と言われる所以だと思いますが、エキセントリックであり少し自己中心的で世間一般で言われる「倫理感」が足りないと感じる行動もあったようでした。 そんなところも天才の魅力のうちだと思うのですが…

Genius: The Life and Science of Richard Feynman (English Edition)

Genius: The Life and Science of Richard Feynman (English Edition)

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Finance for Managers (Harvard Business School Press) - 177冊目

ジャンル: ビジネス・経済
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★★☆

今の仕事は英文会計に関わる業務が多いのですが、社会人になったばかりの頃は会計とも英語とも全く関係ない営業の仕事をやっておりました。 仕事でのキッカケが無ければ、洋書なぞ読もうなどとは考えなかったと思います。 洋書を読む楽しさに導いてもらったようなものですので、当時は「英語??、会計??」と結構辛い思いもしましたが、今思えば有り難いことだったと思います。

で、今回は英文財務の基本書シリーズ。 最近は経済学入門書ばかりご紹介しておりましたが、今回は財務サイドの入門書です。 「ファイナンスの基本について知りたい」かつ「ついでに英語も勉強したい」といった方にはピッタリです。 (そんな物好きな方が実際にいるのかどうか分かりませんが…) 英文はとても簡単でファイナンス畑でない方にも読みやすい本じゃないかと思います。 US-CPA資格に興味ある人にも前段階の知識を得るのにはオススメです。(2002年発刊)


メモ
● 運転資本(Working capital)について。 少な過ぎても 多過ぎてもダメ。 少ないと会社の体力に不安が出てくるし、多い場合は利息のかかる借入れに依存することもよくあるパターン。

Too little working capital can put a company in a bad position: The company may be unable to pay its bills or to take advantage of profitable opportunities. Too much working capital, on the other hand, reduces profitability since that capital has a carrying cost-it must be financed in some way, usually through interest-bearing loans.


レバレッジを効かせる。 借りたお金で企業買収。 高いレバレッジを効かせるとはつまりハイリスク・ハイリターン。

Financial leverage refers to the use of borrowed money in acquiring an asset.
(中略)
In general, as the ratio increases, the returns to owners are higher, but so too are the risks. Creditors understand this relationship ship extremely well and will often include specific limits on the debt levels beyond which borrowers may not go without having their loans called in.


● ある一定の期間より後に発生するキャッシュフローの現在価値(残存価値)の簡便な求め方。 果てしない将来までのキャッシュフローを計算しないとダメかというとそうではない。 ずっと永続的にそのキャッシュフローが獲得できるとするならば、取り敢えずの最終年度のキャッシュフロー を割引率で割って求める。

Present Value = Cash Flow / Discount Rate Using the figures in the illustration, we could assume that the final year's cash flow of $600 (thousand) will go on indefinitely (referred to as a perpetuity). This amount, divided by the discount count rate of 12 percent, would give you a present value of $5 million.

はじめはこのロジックがなかなかピンときませんでしたが、どうもこんな考え方になるようです。 とりあえずの基準年度に得られるキャッシュフローがその後、ずっと続くという前提ですので、以下の式が成り立ちます。

キャッシュフロー: CF
割引率: r
キャッシュフローを生み出す資産の現在価値: V

V = CF/(1+r) + CF/(1+r)^2 + CF/(1+r)^3 ....

1年目は割引率そのまま、2年目は割引率の2乗で割る、その次は3乗で割るといった具合に将来の価値を利率分だけ減少させていきます。 それを全部足し上げると、資産の現在価値になるということです。 この式の両辺に(1+r)を掛けると

V(1+r) = CF + CF/(1+r) + CF/(1+r)^2 + CF/(1+r)^3 ....

で、できた右辺の2項目以降は最初の式のVと一緒ですので、

V(1+r) = CF + V

で、整理すると

V(1+r) - V = CF
V + V * r - V = CF
V*r = CF
V = CF/r

というわけで、なんということでしょう!
基準年度の単年キャッシュフローを割引率で割ると現在価値が求められます。

面白いですね。(面白くないか…)

Finance for Managers (Harvard Business Essentials)

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  • 作者: Not Available
  • 出版社/メーカー: Harvard Business School Pr
  • 発売日: 2002/02/01
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In Cold Blood (Truman Capote) - 「冷血」 - 176冊目

ジャンル: ノンフィクション
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★☆

カポーティーを英語で読むのは「Breakfast at Tiffany’s 」(155冊目に感想)以来2作目でしたが、同じ人が書いたとは思えない程のまったく雰囲気の異なる硬質なノンフィクション作品です。作者自身の感情や感想をまったく記さず事実の羅列のみでこれだけの作品を組み上げる筆力は凄まじいと感じました。 前半はテーマが陰惨なためか読み進めるのが辛く時間がかかってしまいましたが、容疑者を捕まえてからの尋問シーンの臨場感がたまらない。 実話なので不謹慎かもしれませんが、ページターナー、どんどん引き込まれていきます。

1950年代にカンサス州の片田舎で起きた一家惨殺事件。 迷宮入りと思われたこの事件の解決の糸口となったのは、刑務所に収監されていたある囚人だった。 元囚人仲間だったこの男の告発が実行犯特定のキッカケとなった。 この話、既視感があるなあと思ったんですが、そう、スティーブン・キングの「Rita Hayworth 」、名画「ショーシャンクの空に」の原作です。 (時系列から見てキングがこのドキュメンタリーにヒントを得たのかもしれませんが)

「Breakfast at Tiffany’s」で既に有名であったカポーティーは、この「In Cold Blood 」以降、長編小説を一本も書けなかったそうです。 自らの内面に向きあい血肉化したのが本作だったとするならば、その代償はあまりにも大きかったということなのでしょうか。
(1965年発刊)


メモ
カポーティーは主犯の二人のうちの一人、ペリー・スミスが図らずも犯罪に手を染めてしまった事に同情し、その悲惨な境遇に自らの姿を重ね合わせています。 のちのインタビューでこう語りました。
「ペリーと僕は同じ家で育ったようなものだ。 たまたま彼は裏口から出て僕は表玄関から出ただけの違いだった」

As Philip Seymour Hoffman as Capote says late in the film, “It’s as if Perry and I grew up in the same house. And one day, he stood up and went out the back door, while I went out the front.” According to Harper Lee, speaking about Capote’s real-life relationship with Perry Smith, “Each looked at the other and saw – or thought he saw – the man he might have been."


● ペリー・スミスはもう一人の主犯のヒコックから隔離され女性用の留置所に収監されていた。 そこの世話をするシェリフの妻がカポーティーに語った部分。
「私はあのような人達をお腹が空いたままで眠らせるのには耐えられなかったんですよ。 ただでさえ苦しい思いをしてきたはずですから…」

I didn’t want those fellows going to bed on an empty stomach; seemed to me they must be feeling bad enough without that. But when I took Smith his supper, carried it in on a tray, he said he wasn’t hungry. He was looking out the window of the ladies’ cell. Standing with his back to me. That window has the same view as my kitchen window: trees and the Square and the tops of houses. I told him, ‘Just taste the soup, it’s vegetable, and not out of a can. I made it myself. The pie, too.’ In about an hour I went back for the tray and he hadn’t touched a crumb. He was still at the window. Like he hadn’t moved. It was snowing, and I remember saying it was the first snow of the year, and how we’d had such a beautiful long autumn right till then.
ペリーは食事にも手をつけず、窓辺に立って檻の外の雪を身じろぎもせずじっと見ていた。「なぜこんなことに…」本人が一番そう思っている。


● 一緒に収監されていた別の事件による死刑囚Lowell Lee Andrewsのエピソードも詳細に記されている。 家族惨殺の描写はなかなかおどろおどろしい。 穏やかで模範的な息子が、リビングでテレビを観ながら団らん中の両親と妹に弾丸を撃ち込む。 殺された家族はとても信じられなかったに違いない。


● 徐々に終盤に近づくにつれて全体のトーンが静謐さに包まれていく。絞首台の描写に何とも言えない寂寥感が漂う。 そして最期。 捜査官デュウイーとスー(殺された少女の友人)が語り合う墓地でのエピソード。 映画の様で、今まで読んだ本の中で最も美しいラストシーンだと感じたうちのの一つです。
(少しネタバレなので未読の方はここは飛ばして下さい)

Dewey looked at the gray stone inscribed with four names, and the date of their death: November 15, 1959. “Do you come here often?” “Once in a while. Gosh, the sun’s strong.” She covered her eyes with tinted glasses. “Remember Bobby Rupp? He married a beautiful girl.”
“So I heard.”
Colleen Whitehurst. She’s really beautiful. And very nice, too.”
“Good for Bobby.” And to tease her, Dewey added, “But how about you? You must have a lot of beaus.”
“Well. Nothing serious. But that reminds me. Do you have the time? Oh,” she cried, when he told her it was past four, “I’ve got to run! But it was nice to have seen you, Mr. Dewey.”
“And nice to have seen you, Sue. Good luck,” he called after her as she disappeared down the path, a pretty girl in a hurry, her smooth hair swinging, shining—just such a young woman as Nancy might have been. Then, starting home, he walked toward the trees, and under them, leaving behind him the big sky, the whisper of wind voices in the wind-bent wheat.

残された者達はそれでも生を営み続ける。全体に陰惨なイメージに包まれたこのノンフィクション作品は、かつての時の流れを少し取り戻したかの様に詩的で穏やかな印象とともに閉じられます。


本作のよくな硬質なタッチが性に合っていると思われた方には、沢木耕太郎「テロルの決算」や「一瞬の夏」もオススメです。

In Cold Blood (Vintage International)

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Ring (Koji Suzuki) - 「リング」- 175冊目

ジャンル: 小説(ホラー)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

前にもこのブログに書きましたが、寝る前に怖い本を読んだ後、枕元にその本を置いて寝るのが怖くなる時があります。 そのような経験をした一冊がこの鈴木光司氏の「Ring」。 原作が面白かったので英訳も読んでみようかと手にしました。 いつもなら英語の本を読むのにかなり時間がかかる方なのですが、本作はまさにページターナー。 原作であらすじをうっすらと覚えていた事もあり一気に読んでしまいました。 当たり前のことでしょうが、英文読書をはかどらせる最良の方法はオモシロ本・徹夜本を選ぶことでしょうね。 日本語で読んで面白かった本の英訳本を読むのは結構オススメですよ。 多少、語彙力が不足していても一気に読めてしまいます。

ストーリーは映画のヒットによりあまりにも有名です。 見ると一週間後に必ず死に至るという謎のビデオテープが引き起こす怪死事件。 この謎に迫る主人公の雑誌記者の浅川。 そのテープの最後にはこの死を免れるヒントがあるはずだがその部分だけが前の犠牲者のイタズラで消されてしまっていた。 浅川は自身がビデオを見て呪いがかかっただけではなく、うかつにも妻と娘にもこのビデオを見られてしまった事を知る。 自身と家族を救うべく浅川は死にものぐるいでこの謎を解こうとするが… このプロットを読んだだけでも「これは面白い」との予感満載でしょう。 ハラハラ感がたまりません。(1991年発刊)


映画もゾッとしましたが、原作もなかなか背筋が凍ります。 個人的には映画よりも原作の方が恐ろしく感じました。 以下は、映画と原作の違いです。

● 主人公の浅川は映画では松嶋菜々子さんが演じていましたが、原作では男性です。

● 天才論理学者の高山は映画では浅川の元旦那ですが、原作では浅川の友人。

● それから、原作では「例のあの人」はテレビの中の井戸からは出てきません。


ホラー、謎解きのミステリーでありながら、哀しい物語。 貞子も哀れ。 主人公の浅川も哀れ。 やるせないラストです。

Ring

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An Inconvenient Truth (Al Gore) - 「不都合な真実」- 174冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆


写真がいっぱい。パンフレットのようにカラフルな本です。 元々のオリジナルは映画作品。 民主党クリントン政権で副大統領を務めたアル・ゴアが手掛けた(主演した)ドキュメンタリー映画がこの「不都合な真実」でした。 本作はこの映像作品を書籍化したものなので写真が多い。 彼はこの作品で2006年にアカデミー賞を受賞、そして温暖化の注意喚起を世界にもたらした功績により2007年にはノーベル平和賞も受賞しています。(2007年発刊)

映画封切り、書籍出版された2007年頃、温暖化については現在よりも賛否両論。「適当な事、言ってんじゃないよ!」なんて扱いもかなりありました。 ぼく自身も経験しています。  仕事の関係でアメリカ本社から来日したある幹部社員を市内観光に連れ出した事がありました。 まだ30代ぐらいの男性でとても穏やかなヤングエグゼクティブといった趣きの人でしたが、たまたまアル・ゴアの話題になった時に「あいつは大ウソつきだ! 温暖化なんて踊らされているだけ。 まったく科学的根拠もない!」と吐き捨てるように言われた時にはとても驚いたもんです。 雰囲気が悪くなりそうなのでそれとなく話題を変えたのですが、それにしても何がどうなってここまで嫌悪感を持つにいたったのでしょう? 共和党支持者だったのかな? 政治問題も絡んでいたのかもしれません。

そしてあれから10年。 2017年現在、アル・ゴアは「An Inconvenient Sequel: Truth To Power (不都合な真実2 放置された地球)」という続編映画をまた製作しました。 一作目の発表当時には賛否両論があったものの自分の警鐘はやはり間違っていなかったと主張しています。

専門家ではないですがぼくも10年を経た今になって感じます。 やはりCO2排出と地球温暖化には密接な結びつきがあると。 毎年発生する超ド級ハリケーンやフィリピンの台風、ゲリラ豪雨等々の被害により多くの人が亡くなっています。 日本においても温暖化前線が北上し始めており生態系も徐々に変化しているようです。 (寒冷地の北海道では昔は栽培できなかった米が現在では収穫できるようになっています。 「ゆめぴりか」が有名ですね。) 批判者が言うとおりアル・ゴアが唱えた主張にはいくつかの科学的根拠が薄いものがあることは否めません。 しかしこれをもって地球温暖化がまったく根拠レスという事にはならないでしょう。 ぼくの現在の考えとしては、「温暖化は事実として存在する。 しかし果たして人類の努力によって温暖化を止める事ができるのかどうか」というものです。 厭世的になりたいわけではありませんが、ここに至ってもトランプさんは「温暖化は存在しない」と断言してパリ協定から離脱を発表するし、中国やインド等の経済が目覚ましく発展している国々は、過去の先進国たちのみがCO2をバンバン排出しておきながら、後続者たちには「排出を削減しろ」といっても言う事を聞かないという状況です。 耳に痛い話ですから誰も手を付けたくありません。 そうして「お見合い」状態のまま、世界全体が下り坂を転がり落ちつつ徐々に加速度を増しているような気がします。

続編映画が封切られる今、このオリジナル書籍にまた目を通してみたいと思います。

An Inconvenient Truth: The Crisis of Global Warming

An Inconvenient Truth: The Crisis of Global Warming

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What Do You Care What Other People Think? (Richard P. Feynman) - 「困ります、ファインマンさん」 - 173冊目

ジャンル: 自伝
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★★

敬愛する理論物理学者でありノーベル物理学賞受賞者であるファインマンさんによる抱腹絶倒エッセイ2作目。(邦題は「困ります。ファインマンさん」) こちらも前作「Surely You’re joking, Mr. Feynman! 」(134冊目に感想) に負けず劣らず面白い。 特に若き妻アーリーンとの別れのくだりと、スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故調査委員会のエピソードは外せません。
科学する心とは何か、という事を初めて教えてくれたのがこのファインマンさんシリーズです。 前作と本作を邦訳で読んだ途端にもう圧倒的にファインマンさんファンになってしまいました。 現在、科学関係の仕事をされている方々の中には若き少年・少女時代にこのシリーズに出会って将来の夢を志した方も多いのではないかと思います。 もっと若い頃にこの本と出会いたかった…(1988年発刊)


メモポイント
● 恋人であり若き妻となったアーリーンとの出会いと別れ。 前作の「Surely You’re joking, Mr. Feynman! 」の感想を書いた時の文章ですが再掲します。

—————————
What Do You Care What Other People Think?

これは恋人アーリーンがファインマンさんに常にかけていた言葉。 彼の自由で本質を見ようとする性質は彼女からの影響が大きかった。(この彼女の言葉はのちに出版される作品のタイトルにもなった。邦題は「困ります、ファインマンさん」 こちらも面白い! 以下はこの続編に書かれたエピソードです。)

若き恋人アーリーンは病に冒されていた。彼女の命が長くない事を知りながらも、周りの反対を押し切って彼はアーリーンと結婚。 しかし残念ながら彼女は程なく早逝してしまう。 最期まで献身的に支えた続けたファインマンさん。 一人になってからは放心状態になり涙も出なかった。 しばらくしたある日、街を歩いていた彼はショーウィンドウに飾られていたあるワンピースを見かける。
「ああ、アーリーンが好きそうな服だな」
思った途端、初めて涙が溢れ出して止まらなかった。

このくだりには読んでいて思わず涙が。


ファインマンさんの父親は幼い頃の彼を連れてよく林を散歩をした。 そして自然界のいろんなことについて楽しくおしゃべりをした。 他の親子もそれをステキな事と思い同じように散歩をして「自然」について語り合うのが流行るようになる。 よその父親たちは「あの鳥の名前は…だよ」と息子たちに「自然」について教えてあげる。 ファインマン親子は少し違っていた。 鳥を見かけると「あの鳥はポルトガル語では…, 中国語では…と言うんだよ」 もちろんデタラメである。 「そんな事よりも」と父親は言う。「あの鳥が何をしようとしているかじっくり観てみよう。 大事なのはそこなんだよ。 物の名前を知ることと、その物を理解することはまったく別物なんだ。 名前を知ったからといって分かった気になってはいけないよ。」 友達たちはファインマンさんの父親が鳥の名前も知らないとからかったが、まったく気にならなかった。 ファインマンさんの父親は科学者でもなんでもなく制服を売る一介のセールスマンだった。 しかし科学する心を誰よりも持っていたのだ。

You can know the name of that bird in all the languages of the world, but when you’re finished, you’ll know absolutely nothing whatever about the bird. You’ll only know about humans in different places, and what they call the bird. ... I learned very early the difference between knowing the name of something and knowing something.

I learned from my father to translate: everything I read I try to figure out what it really means, what it’s really saying.


● 芸術家の友達が一輪の花を取り上げてファインマンさんに言う。「君たち科学者は花の美しさを分かっちゃいない。 花をバラバラに分解、分析したあげくに台無しにしてしまうんだ」 ファインマンさんは答える。「 そんな事はない。花を美しいと感じるのは誰だって同じだよ。それどころか、(中の細胞の構造などの)科学の知識を持つことはもっと多くのワクワクするような疑問を引き出してくれるんだ。花の美しさ、自然の謎や偉大さの価値をもっと高めてくれる。損なうことなんて何もない。」

I have a friend who’s an artist, and he sometimes takes a view which I don’t agree with. He’ll hold up a flower and say, “Look how beautiful it is,” and I’ll agree. But then he’ll say, “I, as an artist, can see how beautiful a flower is. But you, as a scientist, take it all apart and it becomes dull.” I think he’s kind of nutty. .....
There are all kinds of interesting questions that come from a knowledge of science, which only adds to the excitement and mystery and awe of a flower. It only adds. I don’t understand how it subtracts.”


● 科学的知識とは既にある確実な事実を言うものではない。 あるのは「その知識はあくまでも仮説であり、その解釈の確からしさがどの程度のものか」ということだ。 自分たちがいかに無知であるかを認めて、決めつけずに議論の余地を残しておく。これが科学的な態度。

We have found it of paramount importance that in order to progress we must recognize our ignorance and leave room for doubt. Scientific knowledge is a body of statements of varying degrees of certainty- some most unsure, some nearly sure, but none absolutely certain.”

科学ライターの竹内薫さんも著書「99.9%は仮説」の中で以下のような同趣旨の考えを述べられています。
殆どの理論は仮説なんですがその信頼度合いにグラデーションがあるだけだという事。つまりどこまで行っても仮説なので、将来のいつかで覆される可能性があるということを多くの例を引いて説明してくれています。 デカルトの考えたエーテルの概念も当時は絶対的真実と見なされていたそうですが例外では無く、後の世にその理論はくつがえされてしまいました。


ぜんぜん関係ありませんが、量子電磁力学の専門家のファインマンさんが解く数学の証明問題は、やっぱりQ.E.D.で結ばれているんでしょうね。
知らんけど。

"What Do You Care What Other People Think?": Further Adventures of a Curious Character

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A Beginner’s Guide to the World Economy (Randy Charles Epping) - 172冊目

ジャンル: 経済・ビジネス
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★☆☆

世界経済についてコンパクトにまとめられたQ&A形式の81個のエッセイ。 文章も平易で読みやすく、とても基本的なことから書かれています。 例えば「What is Macroeconomics?」とか「How does International Trade Work?」とか。(2001年発刊)


メモポイント
● よく話題になる米国のチャプター11とチャプター7。 倒産について「ごっちゃ」にしていましたが、この本を読んで理解しました。

In most countries of the world economy, bankrupt companies are encouraged to try to continue operating, under legal supervision, in order to generate money to pay off creditors. Just as a mechanic may try to fix a broken-down car before sending it to the junk heap, companies are sometimes given a new life through court-appointed restructuring. This rehabilitation is called Chapter Eleven in the United States—referring to the relevant chapter in the U.S. Bankruptcy Code—and Administration in Britain. (中略)
If a company shows no prospect of being able to recover, it is simply forced into liquidation—called Chapter Seven in the United States and Receivership in Britain.


● ヨーロッパにないのにEuro Currency とはこれいかに! Eurobond もそうですが、Euroの概念についてのこの説明は分かりやすかったです。Euroyen はヨーロッパにあるとは限らない。 ドル国債は米国だけが発行するとは限らない。

During the Cold War, the Soviet Union was—understandably—reluctant to put its U.S. dollar reserves under the control of authorities in the United States. So, instead of putting its dollars on deposit in New York, it turned to European banks to keep those dollars abroad. Those deposits were soon being called Eurodollars to differentiate them from dollars kept on deposit in their home country. Today, any currency held abroad, even in banks that are not in Europe, is called a Eurocurrency. Japanese yen held in a New York bank, for example, are called Euroyen. Even the new European currency, the euro, can be held abroad. Euros held in Japan would be called—appropriately enough—“ Euro-euros.” (中略)
Arab oil producers, following the example of the Soviet Union, began keeping a large part of their “petrodollars” in European banks. This flood of foreign capital needed to be invested, so London-based banks began issuing U.S. dollar bonds, outside the control and regulations of the U.S. government. These bonds were called Eurobonds. (中略)
Eurobonds were bearer bonds. Unlike normal domestic bonds, which were registered with the government, bearer bonds allow the investor to remain anonymous. And since there was no withholding tax on interest payments, investors could pocket the interest income without reporting it to the tax authorities at home.


巻末に簡単な用語集(glossary)も載っています。 知ってるつもりでも正しく理解していなかった用語がいっぱい… 読み物としてもオススメです。

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