hearthのお気楽洋書ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (Twitter: @hearth2016)

Rita Hayworth and Shawshank Redemptions (Stephen King) - 「刑務所のリタ・ヘイワース」- 200冊目

ジャンル: 小説(サスペンス)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★★

ついに200冊目のキリ番になりました。 今日は大好きな本の感想を書くことにします😊
なので長くなりますが…

「男は強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」

フィリップ・マーロウにそう語らせたのはレイモンド・チャンドラーでした。 このハードボイルド私立探偵のセリフを聞いて僕がいつも思い出すのが、本作の主人公アンディ・デュフレーンです。

邦題「刑務所のリタ・ヘイワース」 (Different Seasons)に収録。 もうコレ、好き過ぎて何から書いていいか分からないぐらいの大ファンです。 アンディと刑務所でできた無二の親友レッド。 何度も何度も繰り返し読みました。

名画「ショーシャンクの空に」の原作であり、有名過ぎる話で今さら粗筋の紹介も必要ないですよね。 妻殺しの嫌疑により無実の罪で捕まった銀行員アンディの奇跡の復活の物語です。 フィクションの世界とは知りつつも本当にこのような人間に憧れます。 どのような悲惨な状況だったとしても、人としての尊厳を失わない、そして他人を思いやる気持ちを失わない。 どうせこの世に生を受けたからにはこのような高邁な精神を持った人になりたい、と感動させてくれる名作です。 フランクルの「Man’s Search for Meaning (夜と霧)」(47冊目)を彷彿とさせます。
(1982年発刊)


メモ
(印象に残るシーンばかり。自分のメモのために大量に引用してしまいました… かなりネタバレです。 映画も原作も読んでいない方はご注意を。)

● 刑務所内。休憩時間中のグラウンドで。新入りのアンディと古株囚人レッドの初対面のシーン。このような閉ざされた環境の中でも超然としているアンディにレッドは感心する。 どんなところにいても自分らしさを失わないアンディ。
「ヤツは自分の名を名乗り握手を求めてきた。 そしてムダな社交辞令の時間潰しなどせずにいきなり本題に入った。」
『ヤミの調達屋をしていると聞いたんだが』

“Hello,” he said. “I’m Andy Dufresne.” He offered his hand and I shook it. He wasn’t a man to waste time being social; he got right to the point. “I understand that you’re a man who knows how to get things.”

(鉱物を削るための小さなロックハンマーを調達して欲しいというアンディにレッドが尋ねる)
「何に使うんだ?」
「驚いたな。 君のビジネスには使用目的を明らかにしなけりゃいけないのかい?」
周りの連中はアンディをとてもスカしてお高くとまったクソ野郎だと言ってるのがよく分かった。 しかしオレはヤツの言い草に少しユーモアを感じたし、それほど嫌な気はしなかった」

“What would that be, and why would you want it?”
Andy looked surprised. “Do you make motivations a part of your business?” With words like those I could understand how he had gotten a reputation for being the snobby sort, the kind of guy who likes to put on airs—but I sensed a tiny thread of humor in his question.

「『商談』をしていると突然野球のボールがオレたちの方に飛んできた。ぶつかると思いきや、ヤツは少しも身じろがずに片手で受けとめサッとスナップを効かせて投げ返した。とても自然な動作だ。… オレは『調達屋』として、このムショでは一目置かれていたし、オレのサジ加減一つでヤツのここでの暮らし振りが決まるってのは明らかだった。 だがヤツはそんなオレに媚びる素振りも見せず淡々と話し続けた。 そう、オレはアンディを気に入っちまったのさ。」

An old friction-taped baseball flew toward us and he turned, cat-quick, and picked it out of the air. It was a move Frank Malzone would have been proud of. Andy flicked the ball back to where it had come from—just a quick and easy-looking flick of the wrist, but that throw had some mustard on it, just the same.
(......)
At Shawshank I was one of those with some weight, and what I thought of Andy Dufresne would have a lot to do with how his time went. He probably knew it, too, but he wasn’t kowtowing or sucking up to me, and I respected him for that.


● シスターと言われる刑務所内の同性愛者たちに付け狙われ暴行を受けるアンディ。 しかしどれだけ狙われても彼の超然としたスタンスは変わらなかった。 しかしついにランドリーの隅に追い詰められたアンディは、シスター達にレイプされ、さらにペニスを口に押し込まれブロージョブでイカせるように脅される。

『オレの口に入れたらソレを失うことになるぞ』とアンディ。
コイツはイカれたのかと思いながらシスターの一人は言った。 『オマエ、ちょっとオカしいんじゃねえか? オマエがオレのムスコをしゃぶらねえと、この8インチドライバーをオマエの耳にぶっ突き刺すって言ってんだよ』
『オレはオマエたちの言う事は100%理解している。分かってないのはオマエ達の方だ。オマエのソレが口に入った状態でオレの脳を傷つけたら、即座にオレは放尿、脱糞、歯を食いしばる。そしてオマエのソレを噛みちぎる。 簡単な話だ。』
その時のアンディはパンツを足首まで下ろされひざまずき、レイプの後で内股から血を垂らしていたにもかかわらず、まるでスリーピース・スーツを着た銀行員が株の取引を説明でもするような落ち着いた口調だった。」

Andy said, “Anything of yours that you stick in my mouth, you’re going to lose it.” Bogs looked at Andy like he was crazy, Ernie said.
“No,” he told Andy, talking to him slowly, like Andy was a stupid kid. “You didn’t understand what I said. You do anything like that and I’ll put all eight inches of this steel into your ear. Get it?”
“I understood what you said. I don’t think you understood me. I’m going to bite whatever you stick into my mouth. You can put that razor into my brain, I guess, but you should know that a sudden serious brain injury causes the victim to simultaneously urinate, defecate ... and bite down.”
He looked up at Bogs smiling that little smile of his, old Ernie said, as if the three of them had been discussing stocks and bonds with him instead of throwing it to him just as hard as they could. Just as if he was wearing one of his three-piece bankers’ suits instead of kneeling on a dirty broom-closet floor with his pants around his ankles and blood trickling down the insides of his thighs.

この超人的な精神力!!


● アンディに頼まれて女優(リタ・ヘイワース)のポスターを調達してやったレッドに、アンディからの贈り物が掃除担当の囚人経由でそっと届けられる。それは小さな箱だった。その箱を開けてみると、小綺麗に綿が詰められていた。 そして中に包まれていたのはとてもキレイに磨き上げられた二つの小さな水晶細工だった。
「オレはしばらくの間、それをじっと見つめていた。何分もの間、それに触れることさえもできなかった。それはとても小さくて可愛かった。」
グラウンドで拾った石ころから水晶を探し、そしてどれだけの気の遠くなる時間や手間を費やして、アンディはこの可愛いモノを磨き上げたのだろう。こんなヤサグレた所で心を洗われるような物に、随分と長いあいだ触れ合うことのなかったレッドは、この贈り物を見てほとんど泣きそうになった。

I looked for a long time. For a few minutes it was like I didn’t even dare touch them, they were so pretty. There’s a crying shortage of pretty things in the slam, and the real pity of it is that a lot of men don’t even seem to miss them.

レッドのこの小さな贈り物を抱えて涙ぐむイメージが思い浮かびます。


● 真夏の炎天下のある日、アンディはレッドたちと一緒に刑務所の屋上のタール塗り作業に。 作業監督の看守ハドリーは、女房の親戚の遺産が転がり込んだはいいが税金でゴッソリ取られてしまうと同僚にグチをたらたらとこぼしていた。 彼は物事をいつも捻くれて悪い方にしか捉えられないタイプの男だった。彼は狂犬のように凶暴・横暴で囚人たちからも看守仲間からもとても恐れられていた。 みんな目も合わせられなかった。
そんな中、ハドリーのグチをしばらく聞いていたアンディは作業の手を止めてハドリーに近づき穏やかな口調で突然話しかけた。

『ハドリーさん、あなたは奥さんを信用できますか?』
「ハドリーはジロリとアンディを睨み返した。 悪い流れだ。3秒後にはアンディは全身麻痺寸前までに叩きのめされるかもしれない。」

Then he said, very softly, to Hadley: “Do you trust your wife?” Hadley just stared at him. He was starting to get red in the face, and I knew that was a bad sign. In about three seconds he was going to pull his billy and give Andy the butt end of it right in the solar plexus, where that big bundle of nerves is.

「オレはホントは駆けつけてアンディに言ってやりたかった。
『看守の言うことに聞き耳を立てて口を挟んじゃならねえ。オレたちは石コロのように言われた時にだけ応えてりゃいいんだ。 殺されるぞ。』
しかしレッドはハドリーが恐ろしくて何も言えず、黙ってタールを塗り続けることしかできなかった。
しかし、 アンディは話を止めずに更にハドリーに話しかける。
『いや正確に言うと、奥さんを信用しているかどうかは大した話じゃない。要は奥さんがあなたを裏切らないと信用できるかどうかなんです』
顔を真っ赤にして激怒したハドリーや他の看守達も立ち上がってアンディに向かっていった。

“If you’ve got your thumb on her, Mr. Hadley,” he said in that same calm, composed voice, “there’s not a reason why you shouldn’t have every cent of that money. Final score, Mr. Byron Hadley thirty-five thousand, Uncle Sam zip.”

「アンディは穏やかに話し続けた。
『ハドリーさん、もし奥さんに指示できるのならば、1セントも国に取られない方法があります。税務上ノーリスクです。ミスター ハドリー 3万5千ドル、対 税務署ゼロ、という事です』
これを聞いた瞬間、今にもアンディを叩きのめそうとしていた他の看守のことをハドリーが留めた。『そりゃどういうことだ?』」

“You’ll need a tax lawyer or a banker to set up the gift for you and that will cost you something,” Andy said. “Or ... if you were interested, I’d be glad to set it up for you nearly free of charge. The price would be three beers apiece for my co-workers—”
“Co-workers,” Mert said, and let out a rusty guffaw. He slapped his knee. A real knee-slapper was old Mert, and I hope he died of intestinal cancer in a part of the world where morphine is as of yet undiscovered. “Co-workers, ain’t that cute? Co-workers? You ain’t got any—”

『簡単な話ですよ。 このスキームは税理士か銀行マンに尋ねて、生前贈与と言えばすぐに分かる話です。まあ、少しフィーがかかりますが… 』
アンディは続けた。
『あるいは…あるいはもし差し支えなければ私の方でも生前贈与の届出書を作成することももちろん可能です。 そうですね、フィーとしては、このタール塗り作業を一緒にしている私の『同僚達』に一人3本のビールでも頂ければと…フィーとすればリーズナブルだと思います』
他の看守が笑った。『聞いたかよ! 『同僚』だってよ。
『オマエはすっこんでろ!』ハドリーは口を挟んだその看守に叫んだ!

結局、ハドリーはこの申告をアンディに頼み、その報酬として、後日、タール塗り作業の休憩中にレッドたち囚人仲間にビールが振舞われた。 冷えてはいないものの、夏の暑い昼下がりにビールを飲めるなど、囚人達にとっては至福のひと時だった。 レッド達が美味そうにビールを飲む姿を見てアンディも満足そうだった。彼自身は一切アルコールは飲まなかったが。」

このシーンも大好き。 この日からアンディは彼の専門知識を駆使して刑務所内での会計事務所・税務事務所のような役割を務めて、刑務所全職員に対しても必要不可欠なアドバイザー的な存在にとなっていきます。
会計指南で横暴な看守と渡り合う。 すごーくミーハー(死語!)なんですが、このくだりを読んで、ぼくは知識を持つこと、そして会計や税務に精通することはカッコいいのかもしれないと思うようになりました。 今の会計や税務関連の仕事をしている時に、割とこのエピソードを思い出します。😅


● グラウンドの隅にいるアンディとレッド。
「いつかここを出られたなら」とアンディ。
はかない夢物語としてレッドは聞いている。
「君に僕の仕事を手伝って欲しい」
「アンディ、オレはダメだ。 確かにここの暮らしじゃオレは一目置かれる調達屋だ。 しかし外じゃなんの値打ちもない。ダメな奴なんだよ。」
「レッド、君は過小評価している。君は素晴らしい男だ。高校の学位の有無なんて関係ない。そんな紙切れ一枚で人の価値は測れない。」

“I couldn’t get along on the outside. I’m what they call an institutional man now. In here I’m the man who can get it for you, yeah. But out there, anyone can get it for you. Out there, if you want posters or rock-hammers or one particular record or a boat-in-a-bottle model kit, you can use the fucking Yellow Pages. In here, I’m the fucking Yellow Pages. I wouldn’t know how to begin. Or where.”
“You underestimate yourself,” he said. “You’re a self-educated man, a self-made man. A rather remarkable man, I think.”
“Hell, I don’t even have a high school diploma.”
“I know that,” he said. “But it isn’t just a piece of paper that makes a man. And it isn’t just prison that breaks one, either.”


● その後、アンディは驚くべき忍耐力と緻密な計画により刑務所を脱獄。しかし彼がうまく逃げおおせたのか、それとも失敗し再投獄されたのかについては囚人のレッドには知るすべもなかった。 そんなある日、レッドの元に差出人不明の絵ハガキが届く。

「それはメキシコとの国境近くのアメリカの片田舎の町から送られていた。 メッセージはまったく書かれていない。 しかしオレにはすぐに分かった。 それは人はいつかは死ぬのだと同じぐらい確かなことだ。オレには分かっていた。
いつもここを出たらメキシコのある町で暮らしたいとアンディは言っていた。 アンディはやり遂げたんだ!!」

But I’ll tell you this. Very late in the summer of 1975, on September 15th, to be exact, I got a postcard which had been mailed from the tiny town of McNary, Texas. That town is on the American side of the border, directly across from El Porvenir. The message side of the card was totally blank. But I know. I know it in my heart as surely as I know that we’re all going to die someday.

「これでオレの長い話も終わりだ。 読んでくれてありがとう。 これでペンを置くとするよ。 それからアンディ、オマエがよく話していたあのメキシコの町で暮らせているのなら、この塀の中のオレのためにも夕暮れを、そしてその後に現れる満点の星空を見てくれよな。そして砂浜で砂を触って海辺を歩いて自由を十分に味わってくれ。 このオレのためにもな…」

That’s the story and I’m glad I told it, even if it is a bit inconclusive and even though some of the memories the pencil prodded up (like that branch poking up the river-mud) made me feel a little sad and even older than I am. Thank you for listening. And Andy, if you’re really down there, as I believe you are, look at the stars for me just after sunset, and touch the sand, and wade in the water, and feel free.

ここまで書いてレッドの日記はいったん閉じられます。 無二の親友アンディがいない寂しさはあるが、塀の中でその幸せを心から願うレッドに胸が詰まります。
「さようなら、ドラえもんのび太くんの心境。


● それから随分と月日が流れた。そして驚くことに、レッドはすっかり老人となってから保釈された。 だが刑務所暮らしがあまりにも長かったために社会生活に溶け込めず、地方のスーパーマーケットの使えないヘルパーとして悶々と日々を過ごすレッド。
そんな生きがいのない暮らしの中、レッドはアンディの話をふと思い出す。 刑務所を出たら一緒にビジネスをやろうと言っていた。 その時は本当に刑務所から出られるとも思っていなかった。 それに最後にアンディと言葉を交わしてからずいぶん時も経っている。迷った末にレッドは、半信半疑ながら毎週末にバスに乗り、アンディが言っていた郊外の町に置いた二人の秘密の目印探しの小旅行をすることにした。 生きがい作りの趣味のようなものだった。 目印とは鉱物に詳しいアンディらしい物、ガラス素材の大ぶりの石だ。

そしてレッドはついにアンディの言っていたメイン州の片田舎の原っぱに黒っぽい珍しい素材の石を見つける。

「まさか! オレは確かにその『石』を目にした。間違いない。スベスベした黒いガラス素材の石だ。こんな珍しいものがメイン州の原っぱにそうは転がってなどいない。オレはしばらくの間、動けなかった。ずっとそれを見続けた。 泣きそうだった。」

Three-quarters of the way to the end, I saw the rock. No mistake. Black glass and as smooth as silk. A rock with no earthly business in a Maine hayfield. For a long time I just looked at it, feeling that I might cry, for whatever reason.

レッドはそのガラス石の下に何かがあるのに気づく。
「その下にあったのは封筒だった。それは丁寧にビニール袋に包まれて泥で汚れないようにしてあった。 オレの名前がそこに書かれていた。 間違いなくアンディの字だった。

『 親愛なるレッド

今これを読んでいるということは、どうにかして君はあそこから出られたということだね。 ここまで来られたのだから、もう少し足を伸ばしてくれないか。
二人でよく話した例のあの町の名前を覚えているだろう。 僕が何度も言ったように僕のビジネスには優秀な「調達屋」が必要なんだ。 君に来て欲しい。
ともかく、まずは僕のためにも再会を祝して、少しばかりのこの金でビールでも飲んでくれ。そしてよく考えてほしい。
君がここに来たらすぐに見つけられるようにしておくから。

それから、レッド、忘れないでくれ。希望というものはいいもんだ。 たぶんこの世の中で一番のものだろう。 そして、希望は決して滅びない。 君がこの手紙を見つけてくれることを心の底から願っている。 そして元気な君に会えることも。

君の心の友
ピーター・スティーブンス
(レッドの知るアンディの偽名)』

オレはこの原っぱでこの手紙を読めなかった。怖かった。誰かにこの瞬間を取り上げられ、消えてしまいそうで怖かったんだ。」


I had to look at what was underneath for a long time. My eyes saw it, but it took awhile for my mind to catch up. It was an envelope, carefully wrapped in a plastic bag to keep away the damp. My name was written across the front in Andy’s clear script.
I took the envelope and left the rock where Andy had left it, and Andy’s friend before him.

Dear Red,
If you’re reading this, then you’re out. One way or another, you’re out. And if you’ve followed along this far, you might be willing to come a little further. I think you remember the name of the town, don’t you? I could use a good man to help me get my project on wheels.
Meantime, have a drink on me—and do think it over. I will be keeping an eye out for you. Remember that hope is a good thing, Red, maybe the best of things, and no good thing ever dies. I will be hoping that this letter finds you, and finds you well.

Your friend,
Peter Stevens

この短編の締めくくりは、レッドがアンディとの約束の地イワタネホに向かうところで幕を閉じます。向かう道すがら、レッドはアンディの手紙に書かれていた言葉「Hope」を心の中で何度も繰り返します。
ホントこのシーンは最高!! この感動のラストはどうかあなたご自身の目で確かめてください。


アンディのように 怒らず 春風のように静かで 穏やかだが 人の哀しみを知り 強い心を持つ人
そういうものに わたしはなりたい。

Different Seasons

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The Code Book (Simon Singh) - 「暗号解読」- 199冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★☆

うーん、安定の面白さ! サイモン・シンの科学面白本第2弾は「The Code Book」です。
サイモン・シンの著作が比類なく素晴らしい点は、どの著作も専門知識のないシロートさんに対しても知的好奇心を120%満たして満足させてくれるところ。 読むと「賢くなった」と勘違いしてしまいそう。 それも全て著者の筆力によるものと思います。 読み終わった後は、ますます「知の大海原」に漕ぎだしたくなります。
(1999年発刊)


メモポイント
第二次世界大戦中に活躍したナチスドイツ軍の有名な暗号機エニグマを巡って、どこまでが解読されどこまでが未解読なのかのくだり、腹を探り合う国家間の権謀術数が満ちていて、面白くてページをめくる手が止まりません。

Enigma was considered invulnerable, until the Poles revealed its weaknesses.
(略)

In fact, Britain had captured thousands of Enigma machines, and distributed them among its former colonies, who believed that the cipher was as secure as it had seemed to the Germans. The British did nothing to disabuse them of this belief, and routinely deciphered their secret communications in the years that followed.
(略)
The German military were equally unenthusiastic, because they were oblivious to the damage caused by their insecure ciphers during the Great War. For example, they had been led to believe that the Zimmermann telegram had been stolen by American spies in Mexico, and so they blamed that failure on Mexican security. They still did not realize that the telegram had in fact been intercepted and deciphered by the British, and that the Zimmermann debacle was actually a failure of German cryptography.

最高峰マシンだったこのエニグマの解読に成功したのが当時、イギリス軍暗号解読班にいた天才アラン・チューリング
「イミテーションゲーム」って映画にもなりましたね。カンバーバッチ主演でした。


チューリング・テストでも有名なこの天才ヒーローの晩年は、同性愛の罪という時代錯誤な法律で警察に逮捕されホルモン療法を強制されたあげく、鬱となり自殺するという悲劇的な最期を遂げます。

Alan Turing was another cryptanalyst who did not live long enough to receive any public recognition. Instead of being acclaimed a hero, he was persecuted for his homosexuality. In 1952, while reporting a burglary to the police, he naively revealed that he was having a homosexual relationship. The police felt they had no option but to arrest and charge him with “Gross Indecency contrary to Section 11 of the Criminal Law Amendment Act 1885.” The newspapers reported the subsequent trial and conviction, and Turing was publicly humiliated. Turing’s secret had been exposed, and his sexuality was now public knowledge. The British Government withdrew his security clearance. He was forbidden to work on research projects relating to the development of the computer. He was forced to consult a psychiatrist and had to undergo hormone treatment, which made him impotent and obese. Over the next two years he became severely depressed, and on June 7, 1954, he went to his bedroom, carrying with him a jar of cyanide solution and an apple. Twenty years earlier he had chanted the rhyme of the Wicked Witch: “Dip the apple in the brew, Let the sleeping death seep through.” Now he was ready to obey her incantation. He dipped the apple in the cyanide and took several bites. At the age of just forty-two, one of the true geniuses of cryptanalysis committed suicide.


● 現在、一般的に使用されているRSA暗号公開鍵暗号についても、本作である程度、理解を深めることができました。 (現在も広く利用されている電子署名システムはこの原理の応用だそうです。)

if N is large enough, it is virtually impossible to deduce p and q from N, and this is perhaps the most beautiful and elegant aspect of the RSA asymmetric cipher.

ここで公開鍵暗号方式の話を少しばかり。

これは簡単に言うと暗号を掛ける時の鍵と解く時の鍵として異なるものを使用する方法です。
で、掛ける時の鍵は公開する、つまり仮に盗まれても大丈夫な鍵を相手に知らせて、それを解く時には自分しか知らない秘密鍵を使うというものです。 難しいのは、この二つの鍵が全く無関係であれば、そもそも成り立たないという点です。つまり、公開鍵で暗号を掛けるのは簡単だけど、その同じ鍵で暗号を解くのはとても難しいが別の鍵を使えば簡単に解けるという仕組みを作らなければなりません。

そこで数学で習った素因数分解の登場です。 例えば、今、323という数字があったとします。 たった3桁ですが、これを素数に分解しようとすると、まず小さい素数である2から順に3, 5, 7,11と総当たり戦の力技で割り算を試してみる他はありません。 この桁数を激しく増やした場合にはその割り算の計算はとても困難なものとなるのは明らかですよね。 で、上の答えは17X19なのですが、こちらから積である323を出すのはとても簡単です。 桁数がもっと増えたとしても、紙の上での筆算でも計算できるレベルです。

つまり、二つの鍵の関係性で、ある一方の方向への計算はとても難しいのにその逆はとても簡単である、という性質を利用して作られたのが公開鍵暗号です。この場合、公開鍵は積の結果である323であり、暗号鍵は17と19に当たります。 323を使って暗号化はできますが、これを解くには素数の要素である17と19を知らなければ解けないという仕組みです。 (これはホントに概念だけの例え話で、実際の更なる暗号化のところはもっと難しいんで割愛します😅)


シャーロック・ホームズの「Dancing Men (踊る人形)」でも有名である、古典的な暗号方法も紹介。 その解法とは使用頻度をベースにした確率による計算を行って、ジグソーパズルのピースを一つずつ埋めていく作業だった。

One way to solve an encrypted message, if we know its language, is to find a different plaintext of the same language long enough to fill one sheet or so, and then we count the occurrences of each letter. We call the most frequently occurring letter the “first,” the next most occurring letter the “second,” the following most occurring letter the “third,” and so on, until we account for all the different letters in the plaintext sample.


いやー、面白かった。
ちなみに、邦訳は「Fermat’s Last Theorem 」(197冊目)と同じく青木薫さんです。
こちらもとても分かりやすくて素晴らしい!

The Code Book: The Science of Secrecy from Ancient Egypt to Quantum Cryptography

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Live Girls (Ray Garton) - 「ライヴ・ガールズ」- 198冊目

ジャンル: 小説(ホラー)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

アダルトホラー。 ストリップのライブショーをする風俗嬢(ライヴ・ガールズ)が実は吸血鬼だった。「いいことしましょ❤️」別室に誘われ彼女たちから様々な”サービス”を受ける男達。 恍惚の状態で至福の時を過ごしていたら、いつのまにやら血も何もかも吸い取られてしまい、ついには人間ではなくなってしまうというお話。
(1987発刊)

プロットに魅せられて読んでみましたがエログロシーン満載でこってり感あり。 でもちょっとラブストーリーの要素もありました。 のび太の様なダメダメ主人公のDavyにと密かに恋心を抱いていた同僚のCasey。「そんなにしたかったのなら、どうしてあたしに言ってくれなかったのよ」

いま、歴史に残る一発屋Bram Stokerのクラッシックホラー小説「Dracula」も読んでいるんですが、この本家本元の話にも3人のセクシー美女ヴァンパイアが登場します。なんか艶めかしい感じで、吸血鬼物ってセクシャルな舞台設定が合うんですね。

Live Girls (English Edition)

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Fermat’s Last Theorem (Simon Singh) - 「フェルマーの最終定理」- 197冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★★

数学本を読んで鳥肌が立つことがあろうとは…

本作、最初に出会ったのは邦訳の方なのですが驚愕の面白さでした。 文句ナシの目ウロコ本。上質のミステリーのようです。 Malcom Gladwellの一連の作品ががオモシロ心理学読本とするならば、Simon Singhはドキドキ本格科学(数学)読本とでも言いましょうか。 文系出身の方が読む数学読本として最良の部類に入ると思います。特にこの「Fermat」は特上! 数学関連本を読んで手に汗をかいた経験は初めてです。 ぼくは(邦訳の方は)徹夜して読んでしまいました。
(1997年発刊)


内容を簡単に紹介します。
x2 + y2 = z2 (うまくタイプできなかったけど、後ろの数字は2乗と読んでください) 。 これは小学生でも習う有名な三平方の定理(ピタゴラスの定理)ですね。 直角三角形の三辺の長さについて習う公式です。 さてこの2乗を任意の数値nと置き換えたとします。 この場合、

「nが2より大きい自然数について、xn + yn = zn となる自然数の組x, y, zは存在しない」

はい、コレが「Fermat’s Last Theorem (フェルマーの最終定理)」です。 たったこれだけ。 E=mc2みたいにとてもシンプル。 しかし侮れません。 この定理は簡単そうに見えるのですが、歴代の数多くの名だたる数学者達がチャレンジしてもどうしても証明ができなかったのです。
(当然ですが無数の仮定の数字を代入してその結果が期待通りだったとしても、例外がないことの証明にはなりませんよね。)

17世紀のアマチュア数学者ピエール・ド・フェルマーが発見したこの定理(証明されるまでは「予想」)ですが、彼は「証明しちゃったよ」とは書いたものの、なんとその証明自体を残していなかったのです。 彼は数学を解くことを趣味としており、しばしば数学書の余白部分にその証明をメモするという習慣がありましたが、この定理に関しては「私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる」… これがこの物語の始まりでした。

なんとまあミステリードラマの様なお膳立て! そして結局はフェルマーのこの余白の走り書きから、アンドリュー・ワイルズという孤高の数学者が1994年に、この証明に成功するまで実に360年もの年月を要しました。


メモポイント
● 騒ぎの元となったフェルマーのコメント。 しかし、フェルマーも本当に証明できていたのかどうか怪しいな… 証明できたとの思い込みだったのかも知れません。

It is impossible for a cube to be written as a sum of two cubes or a fourth power to be written as the sum of two fourth powers or, in general, for any number which is a power greater than the second to be written as a sum of two like powers.

I have a truly marvelous demonstration of this proposition which this margin is too narrow to contain.

数学史を絡めての数学ロマンが展開する章はドキュメンタリーTV番組「コスモス」を観ているように面白く、また詳しくは書けませんが、ワイルズが最後の証明で手こずるところ、読んでいてあまりにもドキドキして少し呼吸困難になってしまったぐらい。 そしてQ.E.D., 感動の嵐。 数学者への畏敬の念がふつふつと湧き上がってきました。

フェルマーの定理を解く重要な鍵となったのが「谷山=志村予想」という日本人数学者二人による楕円方程式を元にした研究でした。 この辺りのドラマチックな盛り上がりも外せません。 こんなところに同胞の日本人の名前を見つけるなんて思わず嬉しくなってしまいます。(モジュラー形式とかいろいろ難しい数学用語は出てきますが、そんなもん分からなくてもこの本は十分楽しめます)

これは第一級品、読まないまま死ぬのはもったいない。文頭にも書きましたが、青木薫さんの翻訳も素人にも分かりやすく素晴らしい。 「Big Bang 」、「The Code Book」も併せてぜひぜひ読んでみて!!

Fermat’s Last Theorem

Fermat’s Last Theorem

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Outbreak (Robin Cook) - 「アウトブレイク - 感染」- 196冊目

ジャンル: 小説(推理)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

ロビン・クックによる医療ミステリー、というか医療ホラー小説。 死亡率90%以上といわれるエボラ出血熱がアメリカ本土で猛威を振るうというお話。 CDC(Center for Disease Control)という存在をこの本で初めて知りました。 その後、英語ニュースを聞いていると結構このCDCという組織を耳にします。 そのたびにこの小説を思い出したものでした。

感染源となったエボラの核を調べたところ、感染が報告されるのは隣接した地域ではないにも関わらず同じウイルスからの可能性が極めて高かった。 そしてそのウイルスが発見された場所はいずれも医療施設であり、医者とその患者たちが被患している。 この感染源を繋ぐミッシングリンクは何なのか? キュートな新人女医のMelissaがCDCの命を受け自身の命を危険に晒しながらも謎の解決に乗り出す!
(1987年発刊)

内容はシリアスな感じで始まりますが、後半に行くに連れて冒険活劇風に展開します。 好みが別れるところかもしれません。ちょっと軽い感じですが、ハラハラドキドキさせてくれること請け合いです。

作者のRobin Cookはドクターの経歴を持っていて、他にも医療ミステリーを書いています。手塚治虫マイケル・クライトンコナン・ドイル同様、医学部出身の作家はリアルな描写がウリですよね。 そう言えばチェーホフサマセット・モームも医者だったらしいですよ。

Outbreak

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The Meaning of It All ( Richard P. Feynman) - 「科学は不確かだ!」- 195冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★☆

「さーて、今回のファインマンさんは…」

ワシントン州立大学で3夜に渡って行った記念講演をまとめたものです。 没後10年ほどしてから発刊されました。 科学に対する考え方・姿勢や社会との関わりについて門外漢にも分かりやすく講義されています。 分かっていない事、懐疑心を持って問題に当たる事の重要性を唱えています。

さて、今回の講演は、
"The Uncertainty of Science" 「科学は不確か」
"The Uncertainty of Values" 「価値は不確か」
"This Unscientific Age",「非科学の時代」

の三本でーす。
(1998年発刊)


メモポイント
● 科学には想像の余地がないと考えている人たちがいる。これは驚きだ。芸術家が考えるようなものとは違うけれども科学には想像する力が必要だ。

It is surprising that people do not believe that there is imagination in science. It is a very interesting kind of imagination, unlike that of the artist. The great difficulty is in trying to imagine something that you have never seen, that is consistent in every detail with what has already been seen, and that is different from what has been thought of; furthermore, it must be definite and not a vague proposition. That is indeed difficult.

本コレ。 思考実験とはまさに想像力の賜物です。 アインシュタイン相対性理論に導いたのも想像力があるゆえ。観察で得られた結果に対して矛盾のない仮説を立てる。 想像力無くしてはとてもなし得ない。



● パワーとは価値である。パワーを使った結果が良くなるか悪くなるかとはどのようにパワーを使うのかで決まる。 しかしパワーそれそのものが価値であることは揺るがない事実である。 「いいも悪いもリモコン次第」(古いですね…)

I think a power to do something is of value. Whether the result is a good thing or a bad thing depends on how it is used, but the power is a value.


● そんなこと知らないでよく生きていけますね、という人がいる。何いってんだか。僕はいつも知らないことだらけの中で生きている。 どのように知っていくか(理解していくか)という事こそ僕が大事にしていることなんだ。

Some people say, How can you live without knowing? I do not know what they mean. I always live without knowing. That is easy. How you get to know is what I want to know.


● 例外があるって事は、その法則が間違っているって事だ。 これは科学の原則だ。 もし、ある法則に例外があるとして、その例外が実際に起こっているのなら、その法則自体が不完全なんだよ。

The exception proves that the rule is wrong.” That is the principle of science. If there is an exception to any rule, and if it can be proved by observation, that rule is wrong.




この読書感想ブログで何度か書いていますが、僕はファインマンさんの大ファンです。 科学に対する子供のような無邪気な好奇心、権威に対する反骨心。 ちょっとエッチで夜な夜なストリップ劇場に通っていたというツワモノ、単なる人格者ではないところまでも彼の魅力のうちだと思っています。
で、ファインマンさん本のおススメはなんといっても「Surely You’re Joking, Mr. Feynman!」でしょう。(感想は134冊目) 彼の魅力が満載です。 ファインマン関連本が初めての方はこちらを先に読まれることをぜひオススメします!

The Meaning of It All: Thoughts of a Citizen-Scientist (Helix Books) (English Edition)

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Of Mice and Men (John Steinbeck) - 「二十日鼠と人間」- 194冊目

ジャンル: 小説(モダンクラシック)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★☆

スティーブン・キングに「グリーンマイル」というホラー小説があります。(感想は65冊目) 映画も有名です。 コーフィーという大男が主人公なんですが、キングのこの小説は本作「Of Mice and Men」をモチーフにしているのでしょうかね。 設定がとても似ているように思えます。

子供のように純真、だけど少しオツムの弱い大男のレニー。 そして彼の兄貴分であり面倒を見ている機転の利いた小男のジョージ。 アメリカの農場を渡り歩く出稼ぎ労働者の二人が出会った悲劇。 なんとまあ切ない話ではありますが、この小説のベースには弱き者達、救いなき者達への共感に溢れているように思えます。 灰谷健次郎の作品のような切なさを感じました。読み始めは少し難しいと感じましたが、中盤に入るとストーリーが急展開してドンドン引き込まれていきます。(1937年発刊)


メモポイント(かなりネタバレあり。未読の方は読まないで下さい)

● 二人の関係。 ジョージが一方的に迷惑をかけられていると思いきや、さにあらず。 レニーの存在はジョージの心の支えでもあった。 二人は互いに精神面で依存していた。 辛い労働のあと、二人の将来の夢を語ってくれとレニーがジョージにせがむのが二人のいつもの決まり事だった。

ジョージ、もしおでがじゃまなんなら、おで、ひとりでほら穴みつけてくらすようにする。 もうジョージにはめいわくかけらんねえ」
「レニー、バカ言うんじゃねえぞ。俺にはお前にずっとそばにいてもらいてえんだ。 勘弁して欲しいのはお前のあの馬鹿力で、可愛がろうとしたハツカネズミをすぐに殺してしまうことさ。 俺が代わりに仔犬を見つけてやるよ」

George looked quickly and searchingly at him. “I been mean, ain’t I?”
“If you don’ want me I can go off in the hills an’ find a cave. I can go away any time.”
“No—look! I was jus’ foolin’, Lennie. ’Cause I want you to stay with me. Trouble with mice is you always kill ’em.” He paused. “Tell you what I’ll do, Lennie. First chance I get I’ll give you a pup. Maybe you wouldn’t kill it. That’d be better than mice. And you could pet it harder.”


● 農場主の息子の嫁。 娼婦あがりではすっぱ娘、だけどキレイ。 可愛いものが好きなレニーは思わず無邪気に彼女の髪に触れてしまう。恐れた彼女が騒ぎ始めたので、パニックになり力づくで抑えようとしてしまう。

「たのむから、大声ださないでくれろ。 おで、またジョージにおこられてまうよ」
そして悲劇が訪れる。ゾッとするシーン。

Lennie was in a panic. His face was contorted. She screamed then, and Lennie’s other hand closed over her mouth and nose. “Please don’t,” he begged. “Oh! Please don’t do that. George’ll be mad.”
She struggled violently under his hands. Her feet battered on the hay and she writhed to be free; and from under Lennie’s hand came a muffled screaming. Lennie began to cry with fright. “Oh! Please don’t do none of that,” he begged. “George gonna say I done a bad thing. He ain’t gonna let me tend no rabbits.” He moved his hand a little and her hoarse cry came out. Then Lennie grew angry. “Now don’t,” he said. “I don’t want you to yell. You gonna get me in trouble jus’ like George says you will. Now don’t you do that.” And she continued to struggle, and her eyes were wild with terror. He shook her then, and he was angry with her. “Don’t you go yellin’,” he said, and he shook her; and her body flopped like a fish. And then she was still, for Lennie had broken her neck.

レニー、悲し過ぎる。 恐ろしい事をしてしまった事をよく理解できていない。 分からない者の哀れさ。 罪の意識がなかったとしてもそこに罪はハッキリと存在する。無知とはその存在自体が罪であるのかもしれない。自らの衝動による破壊的なパワーを抑えることができない。 これはまさに野生の獣だ。普段は穏やかな獣。 その力があまりにも強過ぎるがあまり周りを不幸にしてしまう。終盤からの怒涛の展開に思わずページをめくる手が止まらない。


● 怖くなって逃げ出したレニー。 「何かあったらここに隠れてろ」とジョージが教えてくれた二人の秘密の場所。 レニーはやはりそこにいた。 ジョージに会えてホッとしたレニー。お決まりの夢語りをジョージにねだる。 二人の最期の時間が刻々と近づいていた。

ジョージ、おで、きっとおめえがすんごくおこってるっておもってた。 おで、悪いことしたから」
「怒ってなんかないさ、レニー。 怒ってなんかいるもんか。 これだけはお前に知っておいて欲しいんだ」
レニーを捕まえようとする男達の声が遠くに聞こえてきた。 レニーに向こうを向かせるジョージ。 そしてゆっくりと銃を持ちあげた。

“Go on, George. When we gonna do it?” “Gonna do it soon.”
“Me an’ you.”
“You . . . an’ me. Ever’body gonna be nice to you. Ain’t gonna be no more trouble. Nobody gonna hurt nobody nor steal from ’em.”
Lennie said, “I thought you was mad at me, George.”
“No,” said George. “No, Lennie. I ain’t mad. I never been mad, an’ I ain’t now. That’s a thing I want ya to know.”
The voices came close now. George raised the gun and listened to the voices.

男たちからリンチされる前に、最後に自らの手でレニーを楽にさせたジョージ。 老犬を楽にさせるのは飼い主である自分がやるべきだった、とカールソンが後悔していたシーンからのつながり。レニーは幸せなままで逝ったに違いない、そう思いたい。


● そして農園の労働者仲間のスリム。 酸いも甘いも噛み分けた奴。 ジョージの孤独を唯一理解できた男。 彼の存在がこの話にほんの少しだけ温かみを与えてくれているようです。

“Yeah. Tha’s how.” George’s voice was almost a whisper. He looked steadily at his right hand that had held the gun.
Slim twitched George’s elbow. “Come on, George. Me an’ you’ll go in an’ get a drink.”
George let himself be helped to his feet. “Yeah, a drink.”
Slim said, “You hadda, George. I swear you hadda. Come on with me.” He led George into the entrance of the trail and up toward the highway.



生きてることは ただそれだけで
哀しいことだと 知りました

Of Mice and Men: Teacher's Deluxe Edition

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