hearthのお気楽洋書ブログ

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Julius Caesar: To the Banks of Rubicon (Nanami Shiono) - 「ローマ人の物語 4」-19

ジャンル: 小説(歴史)

英語難易度: ★★☆

オススメ度: ★★★★☆

 

Julius Caesar: To the Banks of the Rubicon - The Story of the Roman People vol. IV

Julius Caesar: To the Banks of the Rubicon - The Story of the Roman People vol. IV

 

 

    ついにカエサル巻に突入! 「ユリウス・カエサル ルビコン以前」(1995年発刊)。  カエサルの前半生とガリア戦争について書かれている。  大器晩成型というか彼の真価が現れたのは、結構年配になってからだ。 

 

 

● 生涯を通じて彼を特徴付けた資質の一つに、どんな悲惨な状況にあっても上機嫌さを失わなかったという事だ。それは自分自身に対して揺るぎない自信があったからだという事で、その自信を植え付けたのは彼の母の愛情だったと塩野女史の見立て。 この資質はビジネスな世界においてもリーダーに求められる最も貴重な特性の一つだとぼくは思う。

 

● Dictator (独裁官) となった彼はそのイメージとは異なり、部下の個人的な考えややり方には一切干渉しなかった。部下が彼に敵対する派閥から妻を娶ったたしても口出しをしなかった。これは先行者Sulla とは器が違う。彼の信念だった。

 

● 彼は女好きで有名。ハゲで決して男前ではないが、彼は実にモテたそうな。ユーモアやシニカルさが会話を面白くさせ、また下心なくただ純粋に女性を喜ばせたいという気持ちが相手に伝わったからだった。

 

●借金まみれだったが彼個人の儲けには興味が無かった。当時の権力者は生前に豪勢な墓を建てるのが通常だが、彼は自分の墓を持っていない。

 

●総司令官には単なる戦略的な発想に加えて求められる重要な資質の条件がある。 それは死と隣り合わせの兵士達を戦場に赴かせる事ができる魅力と人気である。彼はそれを全て持っていた。

 

●腹心の部下が敵に寝返った時に彼はどう行動したか。 それは別の部下に命じてその私有物を全て届け返すように指示しただけだった。13年後の信頼していた部下からの裏切りに対して彼が行った事はただこれだけだった。

 

   塩野女史が理想とする男性像がふんだんに盛り込まれている。本当にこんな人物がいたのだろうか?  永遠のヒーロー像だね。