ジャンル: 小説(推理)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆
痛そうな描写が苦手です。 家の中をバタバタと走っていて小指をタンスのカドにぶつけるとか、カミソリの背と腹を間違えて指でスーッとやるとか…
少し話は逸れますが、前にサルバドール・ダリ展を観に行った時のこと。 展示室の一角にダリが製作した映画がエンドレスで映写されていて、ふと暗幕をめくって覗いたところ、ちょうど眼球をスッとナイフ?で切るシーンに出くわしてしまいました。 「アンダルシアの犬」とかいう有名な小品だそうです。 痛そうで背中の辺りがチリチリとして、まいりました。 この手の「痛そう」小説はなるべく避けていたのですが、なんでこの本を選んでしまったんだろう… 本作も「痛そう」レベルがマックスです。 一人暮らしの女性が夜に読むのはオススメできないかも。
被害者を残虐な手口で辱めた上で絞殺する猟奇的連続殺人事件がリッチモンドで発生、検屍官として立ち会った美人医ケイ・スカーペッタは犯人の特定に全力を上げるが、やがて彼女にも恐怖の手が忍び寄る…(1990年発刊)
メモポイント (ネタバレ注意)
● くたびれた感満載の中年、マリノ警部がケイに対して彼の推理を披露するのだが、いい線いってる。 この手の役回りはレストレード警部のようにホームズの引き立て担当として登場するものと思っていたが、なかなかの推理力。 ケイがマリノ警部の推理を認めたくない心理描写がずっと続くが、それは理屈ではなく彼が傲岸な白人男性だから嫌っている、認めたくないというように見える。 ケイが少し頑な過ぎるようで、読んでいて感情移入が難しい。 (シリーズが進むにつれて意外な展開になるそうですがそれはもっと後の話)
● ケイの姪っ子ルーシーがITの天才ぶりを発揮するところがワクワクして面白い。コンピュータを学びたくなる 。 「ジュラシック・パーク」の少女レックスを思い出す。原作じゃなくて映画の方。もしくはコニー・ウィリス「航路」(41冊目で紹介)のメイジーって感じ。 )
文章が簡潔で洗練されてかなり読みやすいと思います。 後半の犯人が迫り来るシーンの盛り上がりといったらさすがベストセラーですね。 ただ、惜しむらくはラストの展開。 「えっ」というか、「こんなんかーい!」っていうか… いずれにしても、姪っ子のルーシーのキャラクターが立っているので一度、手にして見ては。 本作が気に入った方には「ボーン・コレクター」(2冊目で紹介)もオススメです。
- 作者: Patricia Cornwell
- 出版社/メーカー: Sphere
- 発売日: 2008/09/04
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