ジャンル: ビジネス・経済
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★☆
スティーブ・ジョブスに関わる話を他にも読んだ事があるけど、この本が自分には一番面白く読めました。 邦題は英語表記の「Think Simple 」だけど、原書のタイトルは実はもっと過激。「病的なまでにシンプル(Insanely Simple)」。アップル製品に対するスティーブ・ジョブスの採算を度外視したシンプルさへのこだわりがよく表れている。 つまり、「シンプルに考えよう」ではダメであり、「気が狂うほどシンプルであれ」と唱えている。 著者のケン・シーガルは彼の元でシンプルという哲学の伝道師として活躍した「iMac 」の名付け親でもある伝説のクリエイティブ・ディレクターだ。 (2012年発刊)
メモポイント
● 世間の会社は効率化のお題目の元、大金を使っている。 しかし実はシンプルこそが、究極の効率化なのだ。
● アップルとインテルの決定的違い。 それは最小化しようとするプロセスだ。これをアップルは持ち、インテルは持っていなかった。
● 時間があるから良いものを生み出せるとは限らない。 シンプルとスピードが素晴らしい成果のカギだ。
● 意外なことに、シンプルである事とは内容が単純であるということではない。 もしあなたがアップルのウェブサイトに入り、どんどん深くリンクを開いていけば、かなりたくさんの製品があり複雑な内容だという事がわかるだろう。 大事なのは、内容を単純化するのではなくサイトを一目見たときに「シンプルだな」と思わせる事なのだ。
● もしあなたがシンプルなプロジェクトチームを作るなら、大事なのはチームリーダーがプロジェクトに関するあらゆる質問に答えられるようにしておく事である。 自身が作業しなくとも全て理解しておかなければいけない。
● アップル製品と似た様な物は別のメーカーが全て既に作っていたケースが殆どだ。 違うのはたった一つ。 アップルのはシンプルだった。それだけだ。
● スティーブが作りたかった物。 それは誰も今まで想像もしなかった物だけど、実際に目の前にしたら、「これが欲しかったんだ!」と言わせる様な物。
● シンプルかどうかを見分ける方法。 それはマニュアルが必要かどうかという事。 マニュアルがなくても使い始める事が出来るもの、それがシンプルということ。
スティーブ・ジョブスをたくさんの素晴らしい製品を生み出した天才的発明家ととらえる向きがあるが、実際に彼自身が一から発明したものはあまりない(と思う。) 彼が天才だとすれば、それは彼の「シンプル」への愛とそれを死守しようとする情熱の凄さだ。 シンプルの持つ破壊的なパワーを紹介した本書はビジネス書としても一級品の目ウロコ本。
Insanely Simple: The Obsession That Drives Apple's Success
- 作者: Ken Segall
- 出版社/メーカー: Portfolio Penguin
- 発売日: 2012/04/26
- メディア: Kindle版
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