hearthのお気楽洋書ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (ツイッターは、hearth@洋書&映画)

The Overflowing Brain (Torkel Klingberg) - 「オーバーフローする脳」- 74冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★★

  最近、ブログ村の洋書ランキングでこのhearthブログが急上昇していてビックリ!    「えーっ、そんな大した事書いてないのになんでだろう、プログラムエラー? ハッカー?」と思っていたら、小噺風ブログが洒脱なブロガー「人生壱年」さんから思いがけず高い評価を頂いていたのがキッカケのようでして。   有難いやら恥ずかしいやら。。  
    いろいろ書いて頂いておりましたが、僕は全く科学のシロウトでして、このブログも英語の勉強 & 印象に残った感想を自分の備忘のために残そうと始めたのがキッカケでした。 見当違いのことも書いているかと思いますがそこはどうかご容赦の程を。  ただ、本好きであるのは間違いありません。 他の方の書評も目ウロコ本選びの参考にさせてもらってます。  これからも好きな本の事をチマチマと書いていきたいと思いますので生暖かく見守って頂きたくよろしくお願いしまーす。


   さて、実際のところ僕自身頭の回転が速い方ではないので、前にも書いたことあるんだけどホントに頭がよくなりたいなと感じる機会は多いです。  会社や学校の中でとても優秀で頭脳明晰・当意即妙な人に出会った時に「すごいなー、こういう人たちって生まれつき頭の回転が早いのかなー」と感じた事ってありません? はたして後天的に頭脳は鍛えられるのか。 それならスゴく興味あるんだけど。

知能の高さは作業記憶(ワーキング・メモリー)に関連しているという話を耳にして興味を持ち少し調べてみた。   そこで出会ったターケル・クリングバーグによる本書「オーバーフローする脳」は目ウロコ本!    これはホントに面白かった。(2007年発刊)

  頭を良くする、つまり作業記憶を強化する(流動性知能の向上を図るという点で)ことはできるのだろうか?  本書のスタンスはYes!   (しかも筋トレみたいにだ!)     作業記憶とは一時的に記憶しておく脳のメモ帳の様なものだ。言い換えれば勉強机の広さに例えることができる。 広ければ広いほど同時に多くの資料を広げる事ができる。 机が狭いといちいち資料を片付けないと次の資料を見る事が出来ない。 仮にその机の横のキャビネットの中に膨大な有用な資料があったとしても(つまりベースとなる知識量が豊富にあったとしても)、同時に作業できなければ、効率はぐっと落ちてしまう。 創造性が既にある知識の組み合わせで生まれるとするならば、当然、同時に取り出す事が出来る要素が多ければ多いほど、より立体的で効果の高い組み合わせを創出することができる。


メモポイント
ニュージーランドの社会科学者ジェームズ・フリンによって唱えられたフリン効果。過去約40年間のIQテストの結果により、そのスコアが徐々に向上している現象を指す。10年間で約3%もIQスコアが向上しており、例えるなら1990年時点のIQ100の平均的な生徒が60年前の過去に戻れたとすると30人クラスの中でもトップ5に入れるということだ。 フリン自身はこの現象について本当に「頭が良くなった」訳ではなく、教育環境の改善等の他の要因によるものだと考えているようだが、それにしても多くの社会学者が実際にIQの向上があったと理解しているらしい。
   確かに教育改善の効果はあるだろう。しかしもし環境のみが貢献の要因であるならば、そのIQスコアの向上は語彙や一般知識のジャンルでその効果が顕著に認められそうなものである。 しかし実際に向上しているのは、驚く事に問題解決能力など、教育により向上を図ることが難しいと思われる分野に現れているのである。一方、語彙能力は大して向上していないという結果だった。 人類が数十年という短期間で知能的に「進化」するとは考えられない。 これは何らかの刺激等の要因により、作業記憶能力が強化されて実際にIQが向上したと考えるのが妥当と思う。

 Obviously this rise in IQ scores could be put down to educational improvements; however, if this were so, we would expect the greatest gains in tests measuring vocabulary and general knowledge, with lower gains on tests of problem-solving activities, which are generally considered culture-neutral and relatively impervious to level of education. However, when he looked in closer detail at the changes in the American IQ tests, he found that the exact opposite was the case: the increase was more marked for problem-solving activities, while there was hardly any change at all for the tests measuring vocabulary.


●  チェスは作業記憶向上の良い訓練となる。 ゲームの間中ずっと考え続ける事が大事なのだ。 読書も効果があるという。 意外にもクロスワードパズルは効果が見られなかったそうな。

Chess was the activity that had the most salient training effect; indeed, thinking several moves ahead is probably one of the most working-memory-loading activities we can do, and this is exactly what we do most of the time during an hour’s game. Consequently, the effective time for which we make maximum use of working memory is long. Reading, which the study also showed to be effective, also requires working memory (although the study did not specify whether this correlated with textual complexity, as might be expected). Solving crosswords, which is a popular form of mental gymnastics, had a slight but barely statistically significant positive effect.


●  作業記憶の訓練を最も効果的に行おうとする際、その方法論は人によってまちまち。訓練において大事な事はその機能を限界まで酷使することだ。  暗算や難しい用語の入った本を読むことも一時的に必要な情報を記憶に留める必要があるという点により、訓練効果があるらしい。
(みなさん、英語の多読は効果ありそうですよ。 がんばりましょうね!!)

  Training has been shown by several studies to deliver results if it is done close to the limits of our capacity.  What activities place the greatest demands on working memory vary by individual: for a schoolchild, math—especially mental arithmetic—can present the greatest challenge. Reading complex texts in unfamiliar and jargon-heavy fields or long sentences full of difficult lexical items puts large demands on our ability to retain information from the beginning of a sentence while we think about or try to remember the meaning of some difficult piece of terminology. 
 
   後天的に作業記憶を鍛えられるのであれば、生来それ程スマートでないと思う僕にも一筋の光明がさしてくる様に感じた。(アマデウスで言えば、モーツァルト派ではない。 そしてもちろん、僕はサリエリの肩を持つ。)

The Overflowing Brain: Information Overload and the Limits of Working Memory

The Overflowing Brain: Information Overload and the Limits of Working Memory

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