hearthのお気楽洋書ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (ツイッターは、hearth@洋書&映画)

Blink (Malcolm Gladwell) - 「第1感 - 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい」- 132冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★☆

マルコム・グラッドウェルの科学読本の一つ。 これはどんどん続きが読みたくなってしまうタイプの面白本。 オススメです。 最初の一瞬で得られる情報量をナメてはいけない! 手間暇かけてやっと導き出した結論よりも、一目見てフッと出した判断の方が正確な場合がある。そんな興味深いエピソードがたくさん紹介されています。 邦題では「最初の2秒」と表現したようですが、具体的な数字を使って印象づけるなんてうまいですね。 (原題「blink」は、まばたき、一瞬の意) (2005年発刊)
ただ注文をつけるとすれば、データ検証の点についてはもう少しページを割いて掘り下げた方がよいかなと感じました。
このジャンルに興味があり、もう少し掘り下げて読みたい方には、 Daniel Kahnemanの「Thinking, Fast and Slow」の方をオススメします。(72冊目に感想書きました)。 この中で説明されている「システム1」の項と結びつきます。



メモポイント
● アメリカの美術館があるギリシャ彫刻を購入した。 科学的鑑定検査を通じてこの彫刻はホンモノであるとのお墨付きがついたものだ。 しかし芸術品に触れるキャリアの長い学芸員たちは一目見て(つまり最初の2秒で)「なんか変」と感じた。 それが何かははっきり表現できないが、とにかく違和感があるというのだ。 果たしてその彫刻は贋作であることが分かった。 無意識下での認知力のスゴさ。

There can be as much value in the brink of an eye as in months of rational analysis.


● 「ひらめき」とは、無意識下で膨大な計算を行なった後に、結論部分のみが意識の上にヒョイと出てくるようなもの。 ただその結論に達した過程を意識的にはトレースできないので、理論立て説明することが難しい。

Did they know why they knew? Not at all. But the Knew!


● 瞬間で目に入る情報量の多さに驚き。 ただそれだけに見た目の情報を過大に信頼してしまうバイアスも大きくなってしまう。 「人は見た目で」とはよく言ったもんですね。 無意識下でくだした判断が必ずしも正しいとは限らないのが悩ましいところ。

In the general American population, 3.9 percent of adult men are six foot or taller. Among my CEO sample, almost a third were six foot two or taller.


● これも「見た目」が…

Testers for 7-Up consistently found consumers would report more lemon flavor in their product if they added 15% more yellow coloring to the package.


● そりゃそうだ。 パッケージをひっくるめての「味のうち」

The entire principle of a blind taste test was ridiculous. They shouldn't have cared so much that they were losing blind taste tests with old Coke, and we shouldn't at all be surprised that Pepsi's dominance in blind taste tests never translated to much in the real world. Why not? Because in the real world, no one ever drinks Coca-Cola blind.


● 多くの夫婦を対象にした調査。 この二人の会話を聞いてみると15年後に離婚するかどうかについて驚くほど正確に予測できるらしい。 どちらかがもう一方に対して軽んじる雰囲気を持っているかどうかで判断できるんだそうな。 パートナーに軽んじられることは大きなストレスと免疫力の低下を引き起こし、どれぐらいの頻度で風邪を引くのかまで分かってしまうそうだ。

Gottman has found, in fact, that the presence of contempt in a marriage can even predict such things as how many colds a husband or a wife gets; in other words, having someone you love express contempt toward you is so stressful that it begins to affect the functioning of your immune system. (中略) the simplest way that respect is communicated is through tone of voice.

「Outliers」や「Tipping Point」など、このマルコム・グラッドウェルの本はどれも面白くオススメです。 特に「Outliers」はイチオシですね。 有名な「一万時間のトレーニングと天才との関係性」の話が書かれています。 また後日に、感想を書きたいと思います。

Blink: The Power of Thinking Without Thinking

Blink: The Power of Thinking Without Thinking

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