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hearthのお気楽洋書多読ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (Twitter: @hearth2016)

Thinking, Fast and Slow (Daniel Kahneman) - 「ファスト&スロー」- 72冊目

ジャンル: サイエンス・ロジック
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★☆

  ダニエル・カーネマンは、行動ファイナンス理論とプロスペクト理論により2002年にノーベル経済学賞を受賞した人。  心理学と(行動)経済学の橋渡しを行なった功労者だ。 それまでの経済学では、理論を簡便化・抽象化するためにその登場人物を経済的合理性でのみ行動する人物として描いていた。が、実際にはそんな思考機械みたいな人はいないし、実際の経済活動が理論通りには行かない事も理論上の約束事として分かった上での学問だった。 そんな中でカーネマンは、 人はバイアスにまみれながら判断を行うものであり、それを行動経済学として理論に組み込んだ。 そこがスゴいところ。
   そんなカーネマンさんによる本作「ファスト&スロー」は文句なしの目ウロコ本。 (2011年発刊)


いくつかメモポイント
(システム1、システム2のお話は既に多くの書評で取り上げられているので割愛。 個人的に心に残った部分のメモ)

●  知性とは論理能力のみを指すのではない。 必要に応じて記憶を自在に取り出す事ができるのもまた知性のある側面だ。

Intelligence is not only the ability to reason; it is also the ability to find relevant material in memory and to deploy attention when needed.


●  どんな状況でも穏やかにそして優しくあるべき、というアドバイスはホントに有効。 行動がメンタルを誘導するのだ。

You can see why the common admonition to “act calm and kind regardless of how you feel” is very good advice: you are likely to be rewarded by actually feeling calm and kind.


● もしあなたが本気で知性的になりたいなら、難しい言い回しを避けてよりシンプルに表現すべし。

If you care about being thought credible and intelligent, do not use complex language where simpler language will do.


● 創造性とは、とびきりズバ抜けて素晴らしい連想記憶にて作られるのだ。 つまり創造性とは何もないところから生み出されるのではなく、過去に培った記憶・経験の組み合わせに依るものである。

  creativity is associative memory that works exceptionally well.


● 通な人しか分かり得ないと考えられていたワインの評価。 実は3点ほどのシンプルな評価軸のみで価格を算定したところ、実際の時価にピッタリだったのにびっくり。 今まで通ぶって秘儀の様な扱いだったのに。 師匠と弟子に伝えられる一子相伝の秘儀も、案外こんなものなのかもしれないな。

 Ashenfelter converted that conventional knowledge into a statistical formula that predicts the price of a wine—for a particular property and at a particular age—by three features of the weather: the average temperature over the summer growing season, the amount of rain at harvest-time, and the total rainfall during the previous winter. His formula provides accurate price forecasts years and even decades into the future. Indeed, his formula forecasts future prices much more accurately than the current prices of young wines do.


● いい人を採用したい時のアドバイス。人は最初の第一印象で選び過ぎるのでそんなバイアスを排除する必要がある。
一つ: 必要最低条件を定義する。たくさんはダメ。6つぐらいで十分。二つ: その条件について事実かどうかを確認する。三つ: それを5点満点で数値評価する。 そして一番高いポイントの人を機械的に迷わず採用!  他にどれだけ良さそうな人がいたとしてもだ。 

If you are serious about hiring the best possible person for the job, this is what you should do. First, select a few traits that are prerequisites for success in this position (technical proficiency, engaging personality, reliability, and so on). Don’t overdo it—six dimensions is a good number. The traits you choose should be as independent as possible from each other, and you should feel that you can assess them reliably by asking a few factual questions. Next, make a list of those questions for each trait and think about how you will score it, say on a 1–5 scale. You should have an idea of what you will call “very weak” or “very strong.”  (中略) 
 Firmly resolve that you will hire the candidate whose final score is the highest, even if there is another one whom you like better—try to resist your wish to invent broken legs to change the ranking. A vast amount of research offers a promise:

  
  ノーベル賞を受賞した研究を、われわれにも分かるようにとても噛み砕いて柔らか〜くして書いてくれている。 凡百の同ジャンルの本は本作の焼き直しじゃないかと思うくらいだ。  そんなのを読むよりも本作を何度も読んだ方がいい。 何よりも、学術的な題材を扱った本にも関わらず内容がとにかく面白い。ぜひ目からウロコを落として欲しい。

Thinking, Fast and Slow

Thinking, Fast and Slow

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