hearthのお気楽洋書ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (Xは、hearth@洋書&映画)

Around the World in Eighty Days (Jules Verne) - 「80日間世界一周」- 215冊目

ジャンル: 小説 (ファンタジー)
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★☆☆


なんとまあ、痛快にして愉快な話! 児童小説とは言うもののこれこそページターナー小説の真骨頂でしょう。 ドキドキハラハラのストーリー展開はまるでよくできた映画を観ているようです。

病的なまでに時間に厳しく、全ての行動が論理にて構成されているFogg氏。イギリス紳士特有の融通が利かない頑固者と見えている彼ですが、実は情熱と優しさを持ったロマンスを愛する人物でした。

冷静でドライ、人間の感情を持っているのかと思わせる人物がふと見せる温かい感情の一片。 これが主人公のキャラクターをいっそう魅力的なものにしています。 めったに感情のブレがないホームズが、親友ワトソンを傷つけられた時に激怒するあの感じにちょっと似ているような気がします。

さて、もう有名なんでしょうが粗筋を少し。(ネタバレあります)
謎の堅物で大金持ちのイギリス紳士、Fogg氏。 ロンドン紳士クラブの仲間たちとのふとした雑談の中で「ちょうど80日間で世界一周できる」と主張し、細かい旅程を根拠として説明したことから、「ホントに自信があるなら実際にできるかどうか賭けてみるかい」との展開に。

彼の全財産の半分をクラブの仲間との賭け金に、そして残りの半分をこの世界一周の旅費に充てて、自らそれを実行して証明することになりました。
早速、冷静沈着なFogg氏は新しく雇いいれたフランス人の執事Passepartoutと共に慌ただしく世界一周の旅に出ますが、その道中は、強盗に間違えられて刑事に追いかけられたり、先に亡くなった旦那の人身御供として命を奪われようとしている絶世のインド美女Aoudaとのロマンスがあったりと、波乱万丈のエピソードがてんこ盛り。 果たして彼は80日間でロンドンに帰ってこれるのか! 最後のハラハラ感がたまりません!
(1873年発刊)


メモポイント

● Fogg氏の病的なまでの几帳面さがお話の最初に出てきます。 自宅を出てから何歩で「紳士クラブ」の建物に到着するかも決まっている。 カントの散歩の時間があまりにも正確なので、近所の人が時計がわりに使っていたというエピソードを思い出しました。

Phileas Fogg, having shut the door of his house at half-past eleven, and having put his right foot before his left five hundred and seventy-five times, and his left foot before his right five hundred and seventy-six times, reached the Reform Club.


● インド美女Aoudaの美しさを讃える表現が、盛りだくさんで面白い。

Her shining tresses, divided in two parts, encircle the harmonious contour of her white and delicate cheeks, brilliant in their glow and freshness. Her ebony brows have the form and charm of the bow of Kama, the god of love, and beneath her long silken lashes the purest reflections and a celestial light swim, as in the sacred lakes of Himalaya, in the black pupils of her great clear eyes. Her teeth, fine, equal, and white, glitter between her smiling lips like dewdrops in a passion-flower's half-enveloped breast. Her delicately formed ears, her vermilion hands, her little feet, curved and tender as the lotus-bud, glitter with the brilliancy of the loveliest pearls of Ceylon, the most dazzling diamonds of Golconda. Her narrow and supple waist, which a hand may clasp around, sets forth the outline of her rounded figure and the beauty of her bosom, where youth in its flower displays the wealth of its treasures; and beneath the silken folds of her tunic she seems to have been modelled in pure silver by the godlike hand of Vicvarcarma, the immortal sculptor.


● 「さて、この長くて辛い旅で彼が得たものなど何もなかった、と皆さんはお思いですか? 何もない? 確かにそうかもしれません。 ただ1人、彼を世界で最も幸せにした美しい女性を除いては。」

But what then? What had he really gained by all this trouble? What had he brought back from this long and weary journey?
Nothing, you say? Perhaps so; nothing but a charming woman, who, strange as it may appear, made him the happiest of men!
Truly, would you not for less than that make the tour around the world?


作家Jules Verneはフランス人ですが、主人公の堅物をイギリス人としたのは、イギリス人一般の傾向性をデフォルメして描いたんでしょうかね。

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