hearthのお気楽洋書ブログ

洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中 (ツイッターは、hearth@洋書&映画)

Walden (Henry David Thoreau) - 「森の生活」- 217冊目

ジャンル: 古典
英語難易度: ★★★
オススメ度: ★★☆☆☆

ふー、やっと読み終えました。 美文調で古語もふんだんに使われており、かなり読みづらかったです。 ハーバード大学卒の意識高い若者が「持たない生活」を志向し元祖ミニマリストとして、ウォールデン湖のほとりで、二年間の「森の生活」をおくった際のエッセイ。(1854年発刊)

日々の暮らし振りはけっこう詳細に書き込まれています。 ローラ・インガルス・ワイルダーを思い出しました。いや「下ノ畑ニ居リマス」の宮沢賢治か。

後半は池の周りに棲息する動植物についての観察がファーブル昆虫記やシートン動物記並みに細かく記されています。 そして、これらの英語名称がサッパリ分かりません。 辞書で引いても記憶しておくのも難しく… おおよその雰囲気で飛ばし読みしてました。
シツコイですが、それにしても読みにくい。 専門単語以外は一見すると難しくなさそうなんですが、読んでいて意味がよく分かりません。 古今東西の古典の引用もふんだんに使われています。 ちょっと衒学趣味でナルシスト風なのが鼻につきましたが、それでも自身のプリンシプルに正直な人なのでしょう。 僕の買ったkindleには「On The Duty of Civil Disobedience」というエッセイも収録されていますが、当時のアメリカ政府の政策(奴隷制メキシコ戦争の対応など)に反対して税金を払うのを拒否して投獄されたときの顛末も記されています。


メモポイント

● ただ歳を取るだけの人は尊敬するに値しない。30歳の著者がバッサリ!

Practically, the old have no very important advice to give the young, their own experience has been so partial, and their lives have been such miserable failures, for private reasons, as they must believe; and it may be that they have some faith left which belies that experience, and they are only less young than they were. I have lived some thirty years on this planet, and I have yet to hear the first syllable of valuable or even earnest advice from my seniors.


孔子の言葉を引用。 「これを知るをこれを知ると為し、知らざるを知らざると為せ。これ知るなり」

Confucius said, “To know that we know what we know, and that we do not know what we do not know, that is true knowledge.”


● どんだけ一人が好きやねん! 旅路では、妙に孤独でそして切ない感じがこみ上げる。 この感覚、けっこう好きです。

I find it wholesome to be alone the greater part of the time. To be in company, even with the best, is soon wearisome and dissipating. I love to be alone. I never found the companion that was so companionable as solitude. We are for the most part more lonely when we go abroad among men than when we stay in our chambers. A man thinking or working is always alone, let him be where he will. Solitude is not measured by the miles of space that intervene between a man and his fellows.


● 本作の締めの言葉。「ただ待っているだけでは夜明けは来ない。我々が目を開けようとして初めて夜明けはやって来る。」

I do not say that John or Jonathan will realize all this; but such is the character of that morrow which mere lapse of time can never make to dawn. The light which puts out our eyes is darkness to us. Only that day dawns to which we are awake. There is more day to dawn. The sun is but a morning star.



英文読解力が上がれば、もっとスムースに読み終えていたと思います。原仙の英文標準問題精構をやり直そうかな。

Walden (AmazonClassics Edition) (English Edition)

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A Random Walk Down Wall Street (Burton Malkiel) - 「ウォール街のランダムウォーカー」- 216冊目

ジャンル: 投資・マネー
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★☆☆

小説「赤毛のアン」に出てくるマシューおじさんは、ぼくの好きなキャラクターの一人です。 寡黙で優しいこのおじさんの命を奪う心臓発作の引き金となったのは、彼の全財産を預けていた銀行が破綻したとのニュースでした。 これ、児童小説にしては結構シビアで生々しい話ですが、年配のマシューおじさんにとっては、それだけショッキングなことだったのでしょう。 お金の話題ははしたないと少し敬遠されがちなのですが、人が生きていく上で避けては通れないものです。 最低限の知識は身につけておくべきことですよね。

ということで、今日はお金と投資運用のお話です。 「株」というと危険で大損するかもというイメージを持たれている方も多いと思います。 確かにこの種の取引ではリスクは避けられないのですが、やり方次第によってはかなり高い確率で安定した運用を行うことが可能である、と主張している本です。
「え〜、そんなウマイ話があるのなら、みんなやってるでしょう? 怪しいなあ」と思うのが道理ですが、本書の説かれた通りであれば「フンフン、なるほど」と納得。ただしご注意、この投資手法には覚悟と根気が要ります。(詳しくは下段で)

株運用、インデックス投資最強説。「ほったらかし投資術」のはしりでしょう。投資の話題だけではなく、経済、金融の歴史をとても分かりやすくまとめた一級品です。 英語もとても読みやすい。 お金の運用にお悩みの方には必読の書。
(1973年 初版発刊)


メモポイント
● 投資で金を稼ぐことは何も難しいことではない。 単純に株を買って広い範囲のポートフォリオの割合に従って長期保有すること。 たったこれだけ。 ただ難しいのは、短期的に儲かりそうに見える個別銘柄に投機的に金をつぎ込みたいとの誘惑に打ち勝つこと。

It is not hard, really, to make money in the market. As we shall see later, an investor who simply buys and holds a broad-based portfolio of stocks can make reasonably generous long-run returns. What is hard to avoid is the alluring temptation to throw your money away on short, get-rich-quick speculative binges.


● 10年以内での投資では成功するかどうかは保証できない。 つまり、インデックス投資で成功するには10年以上ホールドするつもりでないとダメだということ。

CAPEs do a reasonably good job of forecasting returns a decade ahead and confirm the expectation presented here of modest single-digit returns over the years ahead. But if your investment period is for less than a decade, no one can predict the returns you will receive with any degree of accuracy.


● 本書の肝要。分厚い一冊を5点にまとめるとコレ!

1. リスクとリターンは表裏一体であることを忘れるな。ハイリスクはハイリターン、ローリスクはローリターン。バブル期にあるようなウマイ話などない。 当たり前ですね。
2. 投資のリスクは長期間保有することで低減できる。 瞬間の相場の変動に一喜一憂しない。
3. ドルコスト平均法は効果あり。(異論があることは認めるが。) 一定額を定期的に投資することでリスクを低減させる。つまり、相場が下がっている時でも一定額で株を購入するということはより多くの株を安く買えるということ。 長期スパンで経済規模が拡大していれば、いずれはある程度の運用益が見込める。
4. 個別銘柄ではなく世界全体の経済活動を反映したポートフォリオの割合に従って株を買い(インデックス投資)、定期的にその割合が想定通りとなるように調整すること。(リバランシング)
5. 当然、長期間の投資の過程では相場が激しく下落することもある。 その局面においても耐えられる経済状況であることが大事。 自身のリスク許容度を超える投資を行ってはならない。 運用状況が気になって眠れない、なんてことは絶対ダメ!

1. History shows that risk and return are related.

2. The risk of investing in common stocks and bonds depends on the length of time the investments are held. The longer an investor’s holding period, the lower the likely variation in the asset’s return.

3. Dollar-cost averaging can be a useful, though controversial, technique to reduce the risk of stock and bond investment.

4. Rebalancing can reduce risk and, in some circumstances, increase investment returns.

5. You must distinguish between your attitude toward and your capacity for risk. The risks you can afford to take depend on your total financial situation, including the types and sources of your income exclusive of investment income.


ローソクの様な折れ線グラフを使って相場の動きを観察して買い時・売り時を決める人をテクニシャン(著者はチャーティストと表現) と言いますが、「こんな相場の先読みなど分かるハズがない」とバッサバッサと切り捨てる、小気味良いキレ味です。 一方、投資対象会社の過去の財務諸表等から会社の底力を判定して投資する人をファンダメンタリストと言いますが、著者はこちらが良いとも言っていません。 つまり、潮目を見て株価の変化を予測するとか、会社の過去実績を見て将来利益を予測するとか、そもそも無理筋だと切り捨てています。唯一、うまくいく可能性があるのはインデックス型投資で長期保有、これのみと主張しています。 実際に過去の運用成績を見ると、個別銘柄にピンポイントで投資を行うアクティブ投資よりも、マーケット全体の株価に連動させた指標に基づいて投資を行うインデックス投資(パッシブ投資)の方が僅かに上回っています。 (しかもアクティブ投資のアドバイザーにはフィーの支払いが発生します)

While it sounds suspiciously like an argument used by technical analysts, fundamentalists pride themselves on the fact that it is based on specific, proven company performance. Such thinking flunks in the academic world. Calculations of past earnings growth are no help in predicting future growth.


面白いエピソードが満載で、読み物としても楽しめます。 過去のバブルの話とか、株価と女性のスカート丈の長さの流行を連動させて予想するトンデモ予想屋とか。 CAPM理論やカーネマンの行動経済学についても随分ページを割いて分かりやすく説明してくれてます。 これ一冊で投資にまつわる様々な知識を仕入れることができます。
この本、初版が発行されたのが1973年なのですが、一貫してこの点を主張していて、50年経った現在も版を重ねていてブレていません。(インデックス・ファンドという商品そのものがまだ存在していなかった初版当時から、著者はこの概念を主張しています。) この主張の正当性は、この長い時間を経ることで証明を与えられています。 ぼくが読んだのは11th edition (2015年発刊)でした。版を重ねる中で常に最新の話題も加えられており信頼感が持てます。

今日の教訓。「果報は寝て待て」

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Around the World in Eighty Days (Jules Verne) - 「80日間世界一周」- 215冊目

ジャンル: 小説 (ファンタジー)
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★★☆☆


なんとまあ、痛快にして愉快な話! 児童小説とは言うもののこれこそページターナー小説の真骨頂でしょう。 ドキドキハラハラのストーリー展開はまるでよくできた映画を観ているようです。

病的なまでに時間に厳しく、全ての行動が論理にて構成されているFogg氏。イギリス紳士特有の融通が利かない頑固者と見えている彼ですが、実は情熱と優しさを持ったロマンスを愛する人物でした。

冷静でドライ、人間の感情を持っているのかと思わせる人物がふと見せる温かい感情の一片。 これが主人公のキャラクターをいっそう魅力的なものにしています。 めったに感情のブレがないホームズが、親友ワトソンを傷つけられた時に激怒するあの感じにちょっと似ているような気がします。

さて、もう有名なんでしょうが粗筋を少し。(ネタバレあります)
謎の堅物で大金持ちのイギリス紳士、Fogg氏。 ロンドン紳士クラブの仲間たちとのふとした雑談の中で「ちょうど80日間で世界一周できる」と主張し、細かい旅程を根拠として説明したことから、「ホントに自信があるなら実際にできるかどうか賭けてみるかい」との展開に。

彼の全財産の半分をクラブの仲間との賭け金に、そして残りの半分をこの世界一周の旅費に充てて、自らそれを実行して証明することになりました。
早速、冷静沈着なFogg氏は新しく雇いいれたフランス人の執事Passepartoutと共に慌ただしく世界一周の旅に出ますが、その道中は、強盗に間違えられて刑事に追いかけられたり、先に亡くなった旦那の人身御供として命を奪われようとしている絶世のインド美女Aoudaとのロマンスがあったりと、波乱万丈のエピソードがてんこ盛り。 果たして彼は80日間でロンドンに帰ってこれるのか! 最後のハラハラ感がたまりません!
(1873年発刊)


メモポイント

● Fogg氏の病的なまでの几帳面さがお話の最初に出てきます。 自宅を出てから何歩で「紳士クラブ」の建物に到着するかも決まっている。 カントの散歩の時間があまりにも正確なので、近所の人が時計がわりに使っていたというエピソードを思い出しました。

Phileas Fogg, having shut the door of his house at half-past eleven, and having put his right foot before his left five hundred and seventy-five times, and his left foot before his right five hundred and seventy-six times, reached the Reform Club.


● インド美女Aoudaの美しさを讃える表現が、盛りだくさんで面白い。

Her shining tresses, divided in two parts, encircle the harmonious contour of her white and delicate cheeks, brilliant in their glow and freshness. Her ebony brows have the form and charm of the bow of Kama, the god of love, and beneath her long silken lashes the purest reflections and a celestial light swim, as in the sacred lakes of Himalaya, in the black pupils of her great clear eyes. Her teeth, fine, equal, and white, glitter between her smiling lips like dewdrops in a passion-flower's half-enveloped breast. Her delicately formed ears, her vermilion hands, her little feet, curved and tender as the lotus-bud, glitter with the brilliancy of the loveliest pearls of Ceylon, the most dazzling diamonds of Golconda. Her narrow and supple waist, which a hand may clasp around, sets forth the outline of her rounded figure and the beauty of her bosom, where youth in its flower displays the wealth of its treasures; and beneath the silken folds of her tunic she seems to have been modelled in pure silver by the godlike hand of Vicvarcarma, the immortal sculptor.


● 「さて、この長くて辛い旅で彼が得たものなど何もなかった、と皆さんはお思いですか? 何もない? 確かにそうかもしれません。 ただ1人、彼を世界で最も幸せにした美しい女性を除いては。」

But what then? What had he really gained by all this trouble? What had he brought back from this long and weary journey?
Nothing, you say? Perhaps so; nothing but a charming woman, who, strange as it may appear, made him the happiest of men!
Truly, would you not for less than that make the tour around the world?


作家Jules Verneはフランス人ですが、主人公の堅物をイギリス人としたのは、イギリス人一般の傾向性をデフォルメして描いたんでしょうかね。

Around the World in Eighty Days (AmazonClassics Edition)

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The Firm (John Grisham) - 「法律事務所」- 214冊目

ジャンル: 小説(サスペンス)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★☆

アメリカでは、税務周りの交渉ごとは弁護士がやるだなんて、この本で初めて知りました。 日本で言えば、法律事務所と言うよりも、法人・個人所得税対策専門の法律すれすれのヤバい系税理士事務所ですね。

粗筋を少し。
ハーバード・ロースクールを優秀な成績で卒業したミッチ。 破格の報酬条件とBMW付きでメンフィスの片田舎のある名門法律事務所に就職した。 順風満帆に思えた彼。しかしこの事務所、不審な点が多く、過去にも多くの先輩弁護士たちが不審死を遂げている。実はこの事務所、違法マフィアの脱税とマネーロンダリングの片棒担ぎを生業としていることに気づく。逃げ出そうともがくものの、既に彼の外堀は埋められていた。 タックスヘイブンケイマン諸島を舞台にして、命の危険を感じながらも頭脳一本で事務所と渡り合うミッチ。さらにマフィアを摘発しようとFBIも登場。 果たして彼はこの包囲網から抜けだせるのか!

トム・クルーズ主演の同名映画もヒットしましたね。
(1991年発刊)


● 作者が言わんとしていたテーマから外れるかもしれませんが、この小説(とトム・クルーズ主演の映画)を読んで僕が一番に考えたことは、「知識は身を助けるのだ」ということです。 絶対絶命の状況に陥りながら主人公ミッチがかろうじて犯罪組織と渡り合えたのは、「知識による武装」があったからだと思います。

「男はタフでいないと生きていけない。優しくないと生きている資格がない」はプレイバックでのフィリップ・マーロウの台詞です。 この「タフであり強くある」という点は上に書いた「知識による武装」も含まれているように思えるのです。 大事な人を守るためにも強くなければならない。 もっと端的に言えば、「無知」は罪なことなんだな、と感じたものでした。

本作で、ミッチは大学でアカウンティングの学位を取り、US-CPA試験にパスした後に、くだんの法律事務所に入って司法試験に挑戦するという設定でした。 むかーしむかしに僕はUS-CPAの資格を取った事があるのですが、頭脳一本で組織と渡り合うこの小説の主人公に憧れたことが、この資格を取ろうとした動機付けの一つであったように思います。


それから、この本が好きな人は橘玲の「マネーロンダリング」と「タックスヘイブン」もおススメです! 面白いですよ!

The Firm: A Novel

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Harry Potter and the Chamber of Secrets - 「ハリー・ポッターと秘密の部屋」- 213冊目

ジャンル: 小説(ファンタジー)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

ハリーポッター、第2弾!

ざっくりと3行でまとめると、

1. 魔法学校ホグワーツで二年目を迎えるハリー。

2. ますます強くなるロンとハーマイオニーとの三人組の友情の絆。

3. そして、ホグワーツの地下にある「秘密の部屋」に住む魔物との戦いの一幕。


しかし、本作の陰の主役はなんといっても「君のハートをロックオン」、ギルデロイ・ロックハート先生でしょう! 名前からして過剰装飾なこの人、ホントに使えんヤツです。 なぜ、ダンブルドア校長は彼を闇の魔術の教授としてホグワーツに採用したんでしょうねー。 目が曇ったかな? あの才女ハーマイオニーでさえも彼にメロメロになるなんて不思議。 いや、そうは言っても嫌いなわけじゃありません。 強烈な印象を残す面白くて好きなキャラクターです。 もちろん映画も観ましたよ。ケネス・ブラナーの演技、本当に原作通りでうま過ぎます。(先日は映画「オリエント急行殺人事件」でポワロ役もされてましたね。) 一方、しもべ妖精のドビー(ノルウェーのトロルみたいな鼻の長い妖怪) はちょっと苦手です… ハリーに対するからみがシツコい感じもあり、もう少し違う感じの方が良かったかも。
(1998年発刊)



メモポイント (ネタバレ注意)

● 謎の美少年、トム・リドルの正体とは…

“Voldemort,” said Riddle softly, “is my past, present, and future, Harry Potter. . . .”

He pulled Harry’s wand from his pocket and began to trace it through the air, writing three shimmering words:

TOM MARVOLO RIDDLE

Then he waved the wand once, and the letters of his name rearranged themselves:

I AM LORD VOLDEMORT”


ロックハート先生の肩書き…
「ギルデロイ・ロックハート: マーリン勲章 勲三等、闇の魔術に対する防衛術連盟名誉会員、「週刊魔女」の「チャーミング・スマイル賞」5回受賞」
このうさんくさい臆面のなさ、いいわー(^^;

“Gilderoy Lockhart, Order of Merlin, Third Class, Honorary Member of the Dark Force Defense League, and five times winner of Witch Weekly's Most Charming Smile Award. But I don't talk about that; I didn't get rid of the Banden Banshee by smiling at him.”


ダンブルドアの名言。
「自分を本当に示すものとは、能力などではない。どういう選択をするのかじゃよ、ハリー。」

It is our choices, Harry, that show what we truly are, far more than our abilities.


● ウィーズリー父さんがジニーに一言。結構いいこと言う。
「脳みそがどこにあるのかも分からないのに、ひとりで勝手に考えることができるものなんて、信用してはいけないよ。」

Ginny!" said Mr. Weasley, flabbergasted. "Haven't I taught you anything? What have I always told you? Never trust anything that can think for itself if you can't see where it keeps its brain?



純粋に楽しめます。完全に僕の主観ですが、ストーリーの展開は名作と言われる「ホビット」よりも断然面白かった。本作の邦訳版については今ひとつ、との声もいくつかあったようですので、未読の方は夏休みの読書として、ぜひ原文で挑戦してみてはいかがでしょうか。

Harry Potter and the Chamber of Secrets

Harry Potter and the Chamber of Secrets

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Flowers for Algernon (Daniel Keyes) - 「アルジャーノンに花束を」- 212冊目

ジャンル: 小説 (SF)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★★★


小説を読んでいて、最後の一頁(もしくは最後の一行)に思いっきり心を揺さぶられた経験はありませんか? そんな類まれなる本に出会えた時、しばらくの間シビれてしまって茫然としてしまうことがあります。
 
それは必ずしも読者の予想の裏をかいた「どんでん返し」ネタというわけではありません。 この最後の一頁に出会うために長いストーリーを追いかけてきたんだという満足感と、もうこれでこの話は終わりなんだという寂しさに似たような感慨でしょうか。


例えば、Garcia Marquezの「One Hundred Years of Solitude」 (百年の孤独、107冊目) の最後のページ。

この一説を読んだとき、映画「レイダース」のラスト近く、亡霊たちが巻き起こした雷鳴を伴う大混乱の後、聖櫃の蓋が閉じられ一気に静寂が戻るシーンを思い出しました。

Before reaching the final line, however, he had already understood that he would never leave that room, for it was foreseen that the city of mirrors (or mirages) would be wiped out by the wind and exiled from the memory of men at the precise moment when Aureliano Babilonia would finish deciphering the parchments, and that everything written on them was unrepeatable since time immemorial and forever more, because races condemned to one hundred years of solitude did not have a second opportunity on earth.


それから短編では、Jack Finneyの「The Love Letter」(愛の手紙、12冊目)とか。

(ちなみに、これは絶対に原文で読むのがオススメ! 翻訳では、過去形・未来形の違いが表現しきれないため、このラストの魅力が半減します。)

Only a week ago, on my fourth day of searching, I finally found it. It was late in the evening and the sun was almost gone, when I found the old headstone among all the others stretching off in rows under the quiet trees.

Then I read the inscription etched in the weathered old stone: HELEN ELIZABETH WORLEY—1861–1934.

Under this were the words, I NEVER FORGOT.

And neither will I.


そして、前置きが長くなりましたが、本日のご紹介本、「Flowers for Algernon」。

前回の「All She Was Worth」(火車、211冊目)に続いての、徹夜本です。間違いなし!!



粗筋を少し。(ここからネタバレがあるので注意!)

心優しく誰からも愛される青年で知的障害者のチャーリー。 昼はパン屋で働き、夜は障害者の学習クラスに通っていた彼は、ある日、学習クラスの担任であるアリスから開発されたばかりの脳手術を受けることを勧められた。 それは、動物実験対象であるハツカネズミの「アルジャーノン」がこの脳手術により驚異的な知能を獲得したとの臨床結果によるものだった。

そして手術は成功、チャーリーはIQ185という驚異的な知能の持ち主となる。 高知能を持った彼は知識を得る喜びを得たものの、過去に自分が周りの人々から虐げられていたり親に捨てられていた事実を理解するようになる。 また、彼はかつての担任のアリスを恋人として愛しはじめるが、ついには彼女をはるかに超える高知能を得たがゆえに皮肉にも二人は相いれなくなってしまう。 やがて回りの人間を見下し肥大した自尊心を抱えるようになったチャーリーは孤独にさいなまされるようになる。 そんなある日、脳手術を先に受け彼が世話をしていた高IQハツカネズミのアルジャーノンに異変が現れる。 手術で獲得した知能が退行し、しかも以前よりも下降してしまうというものだった。 そしてその手術の欠陥は彼にもいずれ迫ってくる事実であった。

「どんどん 分からなくなっていく」

手のひらからこぼれる落ちる砂のように少しずつチャーリーの知能も退行していく。。。

最後の一文が涙をさそいます。
(1966年発刊)


メモ:
● チャーリーの日記に綴られた言葉。 最初は誤字脱字だらけの文章だったが、手術の効果によりどんどん高度な内容にシフトしていく。 そこには学びの喜びがあった。 その過程は「フランケンシュタイン」(93冊目)のくだりを思い出させる。 このフランケンシュタインが作り上げた怪物も、書物によりミルトン、プルタークゲーテを知り、後天的に高度な知能を獲得していく。

It’s exciting to hear them talking about poetry and science and philosophy—about Shakespeare and Milton; Newton and Einstein and Freud; about Plato and Hegel and Kant, and all the other names that echo like great church bells in my mind.



● 「僕は以前、ウスノロで無知だったからみんなの笑いものにされていた。 ところが今では、僕が知識と知性を持っているからといってみんなから憎まれている。 どうして! 僕はどうすりゃいいんだ!」

Before, they had laughed at me, despising me for my ignorance and dullness; now, they hated me for my knowledge and understanding. Why? What in God's name did they want of me?



● チャーリーより先に知能が低下して狂暴になった後、死んでしまったアルジャーノン。 チャーリーは自らの行く末をこのネズミに重ね合わせる。

「僕はアルジャーノンの小さな亡骸をチーズの箱に入れ、そして裏庭に埋めた。 僕は泣いた。」

I put Algernon's body in a cheese box and buried him in the backyard. I cried.


● もうすぐ知能が低下する事を知ったチャーリー。 全てが分からなくなってしまう前に、今までは真相を知ることを恐れて近づけなかった生みの母親に意を決して会いに行った。チャーリーは幼い頃ずっと、母親に褒められたかった記憶を思い出した。

「お母さん、ほら、僕だよ。チャーリーだよ。捨てられたあなたの息子です。でも恨んでいるわけじゃないんだ。 ただ、僕がこんなに頭がよくなったことを母さんに知って欲しかったんだ。 ほら、なんでもいい、試しに何か難しいことを僕に尋ねてみて。 僕は20か国語も話せる、数学の天才と言われている、後世に残るような素晴らしいピアノコンチェルトも作曲できるんだ。本当だよ」

Here look at me. I'm Charlie, the son you wrote off the books? Not that I blame you for it, but here I am, all fixed up better than ever. Test me. Ask me questions. I speak twenty languages, living and dead; I'm a mathematical whiz, and I'm writing a piano concerto that will make them remember me long after I'm gone.



● 「お願いだからどうか僕を可哀そうだなんて思わないで。。 少しの間だけでも頭がよくなるチャンスを得れらたこと、ほんとに嬉しかったんだ。 たとえ僅かだったとしても僕が今までまったく知らなかったこの世界のことを学ぶことができたんだから。 ほんとに嬉しかった」

...Don't feel sorry for me. I'm glad I had a second chance in life like you said to be smart because I learned a lot of things that I never knew were in this world, and I'm grateful I saw it even for a little bit.



● 最後にチャーリーが記すたどたどしい手紙が胸を刺す。 それは彼にとって、一時的に知能が高くなった時に恋人として愛した人であり、今では「そんけいするキニアンせんせい」に戻ってしまったアリスに宛てたものだった。

「ついしん  もし せんせいが こんど きてくれることがあったら うらにわのアルジャーノンのおはかに おはなをあげてください」

“P.S. please if you get a chanse put some flowrs on Algernons grave in the bak yard.”


愛する人さえも分からなくなってしまう」
この美しいラストはずいぶんと僕の中でショッキングなもので、この切なさに、智恵子抄の「山麗の二人」を重ね合わせてしまいました…

Flowers for Algernon (English Edition)

Flowers for Algernon (English Edition)

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All She Was Worth (Miyuki Miyabe) - 「火車」- 211冊目

ジャンル: 小説(推理)
英語難易度: ★★☆
オススメ度: ★★★☆☆

徹夜本推理小説と言えばこれ! 文句なしの面白本として、誰にでもオススメしているのがこの本。

今から20年ぐらい前でしょうか。 本作がテレビドラマ化されていたのを観た記憶があります。 確か、主人公の刑事を三田村邦彦さん、謎の女性を財前直見さんが演じていました。 とても良くできたドラマで、今でもよく覚えています。 特にラストシーンで謎の女性が待ち合わせ場所である喫茶店の階段を降りてくるシーンがゾクゾクするくらい怖くて良かった。  バックでウィルマ・ゴイクが歌った60年代のイタリアのポップス「In un fiore(花のささやき)」が流れていたかと思います。


粗筋を少し。 失踪した婚約者ショウコの行方を捜してほしい、とある親戚(カズヤ)から私的に相談を持ち掛けられたちょっとくたびれた休職中の中年刑事シュンスケ。 ショウコが失踪したきっかけとは、彼女がクレジットカードを持っていないと知ったカズヤが「それでは不便だろう」と作成を進めたところ、審査の段階で彼女が自己破産経験者であることが判明した事によるものだった。 カズヤが自己破産について問い詰めたところ、彼女は突然、職場からも住まいからも姿を消す。 人探しの依頼を受けたシュンスケは、「少し調べればすぐ分かるだろう」と考えていた。 ところが調べれば調べるほど、不審な点が次から次へと出てくる。 ショウコの自己破産手続きを行った弁護士に実際に会って聞き出したところ、自己破産したショウコとは水商売に手を出し容貌も人並みの女性であり、失踪した真面目そうで清楚なイメージの美人であるショウコとは全く似ても似つかなかい。 二人は別の女性だった。 それではショウコと名乗りカズヤと婚約までした後に、行方が分からなくなってしまった彼女はいったい誰なのか。。。
(1996発刊) 

このストーリーはもう有名ですので言うまでもありませんね。 前にも書きましたが、英語の小説に慣れるには既に内容を知っている面白本を読むのが効果的かと思います。  特に本作は名作ですので、既に知っている展開でもハラハラドキドキが止まりません! 十分に楽しめるかと思います。(ただオリジナルは日本語の小説でしたので、オススメ度は星3つにしました)


知らぬ間に借金地獄に陥ってしまったショウコ。 彼女はどこにでもいる普通の若い女性でした。 それほど華美な暮らしを夢見たわけではありません。 少し良い服を着たかっただけ。 少し良い暮らしをしたかっただけ。  「私、どこで間違えたんだろう。 こんなはずじゃなかった。」  

この独白が心に残ります。

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